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15の名門大学が立ち上げた特許管理会社は「パテント・トロール会社」だとの指摘


パテント・トロールとは、特許権を駆使して巨額の賠償金やライセンス料を得ようとする行為のことを指します。このパテント・トロールまがいの活動を目的にしているとおぼしき企業を、ハーバード大学を始めとするアメリカの名門大学15校が設立したと、電子フロンティア財団(EFF)が訴えました。

15 Universities Have Formed A Company That Looks A Lot Like A Patent Troll | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2021/06/15-universities-have-formed-company-looks-lot-patent-troll

2021年1月に、アメリカの15大学が共同でUniversity Technology Licensing Program LLC(UTLP)という民間企業を立ち上げたと発表しました。発表声明の中でUTLPは、各校が保有する知的財産のライセンシングの効率化が設立の目的だと説明しています。

これについてEFFは、「15の大学がUTLPを設立した目的は、知識を共有することではないようです。もし大学がそうしたいのであれば、すぐにでも無料で知識を共有できます。本当の目的は、特許を侵害しているように見える人を探し出してつるし上げて、お金を絞り取ることではないでしょうか」と述べて、否定的な見方を示しました。


EFFが「UTLPはパテント・トロールだ」と主張しているのは、UTLPが低質な特許のライセンシング方法を模索する議論の中で設立されたものだとされているからです。EFFによると、2019年9月に開催されたカリフォルニア大学の理事会の資料には、「UTLPの設立の目的は、『特許1件につき1つのライセンス』というようなライセンシングに成功していない特許を収益に結び付けること」と書かれていたとのこと。また、他にはない独自性の高い特許技術を単独でライセンシングすることではなく、「包括的なサブライセンスに重点を置くことが設立の目的」とも説明されているそうです。

資料の中で言及されている特許が、自動運転車やモノのインターネット(IoT)、ビッグデータの分野であることから、EFFは「カリフォルニア大学の資料は、『UTLPはたくさんあるソフトウェア特許を抱き合わせにしてお金を取ろうというものだ』と認めたも同然です。ソフトウェア特許は、一般的に特許としては最も低質なものです。また、このビジネスモデルは、悪名高いパテント・トロール企業であるIntellectual Venturesと同じものでもあります」と指摘しています。

その上でEFFは、「大学が民間企業とテクノロジーを共有したり、研究を元にしたベンチャーが発足したりするのはいいことです。大学の研究の多くが公的資金で賄われているのは、まさにこのためだと言えます。しかし、特許の取得はテクノロジーを普及させるどころか、逆にそれを妨げるものです。大学は、幅広い社会的使命を帯びている教育や研究の拠点なのですから、パテント・トロールまがいの活動を目的とした特許管理企業を設立すべきではありません」と訴えました。


なお、UTLPを設立した15校は以下のとおりです。
ブラウン大学
カリフォルニア工科大学
コロンビア大学
コーネル大学
ハーバード大学
ノースウェスタン大学
プリンストン大学
ニューヨーク州立大学ビンガムトン校
カリフォルニア大学バークレー校
カリフォルニア大学ロサンゼルス校
イリノイ大学
ミシガン大学
ペンシルベニア大学
南カリフォルニア大学
イェール大学

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in メモ, Posted by log1l_ks

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