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「パテント・トロールとは何か?」をわかりやすく解説したムービー


特許権を駆使して賠償金やライセンス料の獲得目的訴訟を起こす行為は「パテント・トロール」と呼ばれ、Eolas社がマイクロソフトに勝訴して5億2100万ドル(当時のレートで約625億円)もの巨額の賠償金を獲得したことが広く知られています。Appleとサムスンのように大手テクノロジー企業間でも泥沼のような特許戦争が繰り広げられており、パテント・トロールの被害は年々増え続けていますが、そもそも「パテント・トロールとは一体どういうことなのか?」ということがムービーでわかりやすく解説されています。

Rise of the Patent Troll: An "Everything is a Remix" Special Presentation - YouTube


アメリカのコメディアン、アダム・カローラさんは、1日に25万回以上ダウンロードされている有名なPodcast放送を配信するポッドキャスターとしても知られています。


コンピュータに関してはあまり詳しくありません。


そんなカローラさんのもとに1通の手紙が届きました。


手紙はPodcastソフトの特許を持っているという会社からのもの。書面には「特許を侵害しているため、Podcast放送の特許使用料の支払いを求める」という内容が書かれており……


「ソフトウェア」、「特許」など、カローラさんには全く耳慣れない言葉が並んでいました。


そんな彼のように、開発者としてソフトウェア開発に携わっているわけではなくても、誰でも特許戦争に巻き込まれる可能性があるのが現状。


このような行為が「パテント・トロール」の実例の1つ。トロールたちはどのようにして標的を探しているのかというと……


特許はもともと発明家のアイデアが勝手に盗み出されて、利益を奪われないために設けられたもの。


アイデアを法的に保護して、発明を促進するために意図された制度ですが、エジソンが発明した電球が至る所で使われているように、特許期間が終了すれば公の資産となります。


この特許制度は「個人の利益」と「公の利益」のバランス・ゲームになっており、どちらかに傾きすぎるとイノベーションを減速してしまいます。


そんな特許制度は便利な反面、「特許権」のシステムが強力過ぎるために、常に問題を抱えていました。


そして、「ソフトウェア」と呼ばれるテクノロジーの登場で、「特許がいつ取得されたのか?」という境界線が分からなくなるという、奇妙な方向に進んでいます。


これまでの発明品と異なり、ソフトウェアは機械ではありません。


スキャナーにはネットワークスキャナーシステムが搭載され、ネットワークスキャナーシステムのためのメソッドがあり……


ネットワークを通じてシステムとメソッドから情報を収集するユニットがあり……、と言い出せばキリがないほどに機能を定義することが非常に困難。


こういったソフトウェアの特許範囲が見分けづらい現状の法律が、パテント・トロールを促進させる結果を生み出しています。


パテント・トロールは広義に渡る特許の中の一部から利益を得るためにライセンス料を要求して利益を生み出す企業であり、一般的な企業とはまったく異なります。


彼らの主なターゲットは、高額な訴訟を行う余裕のない中小企業や開発者です。


狙われた開発者は裁判所で敗訴になった場合の「高額な賠償金」を回避するため、比較的少額な「ライセンス使用料」を支払ってしまいます。


そして、トロールたちは新たな標的を狙い始めており、その中にはしばしば「通常の製品」も含まれています。


例えば、Wi-Fiの基礎的な技術的特許を持っているパテント・トロールのグループは、ルーターの製造会社を訴えて……


顧客にWi-Fiを提供するため製造会社からルーターを導入しているスーパーマーケットやレストランまで標的に加えることができる、というわけです。


カローラさんはまさにこの手のパテント・トロールの標的となったわけで、アメリカで2013年に騒動を巻き起こした「アダム・カローラ事件/Podcast事件」として知られています。


2013年のパテント・トロールによる訴訟数は3608件にのぼり……


2012年の特許訴訟の全体の中で、パテント・トロールの割合が62%を占めるという状況。


2011年だけでおよそ290億ドル(約2兆9500億円)の被害が発生しています。


「今こそパテント・トロールに立ち向かう時です」


「もはや現状の特許システムは機能しておらず、長所は見られません。消費者1人1人が支援を行うことで、安全に製品を使用することができ、パテント・トロールを退けることができます」と締めくくられています。なお、パテント・トロールの標的となったカローラさんですが、影響力のある有名人が要求を飲んでしまうと、その後全てのPodcastユーザーに標的が広がってしまうため、Podcastを守るための出資を募っています。記事執筆時点で約32万7000ドル(約3300万円)もの資金が集まっていることからも、Podcast利用者が支持していることがわかります。


というわけで、パテント・トロールのムービーを制作したカービー・ファーガソン氏が登場。2、3年前にもパテント・トロールに関する4部作のムービー「EVERYTHING IS A REMIX」を制作していますが、当時とはパテント・トロールの標的が変化しているなど、状況が悪化しているために今回のムービー制作に至ったとのこと。


ファーガソン氏は、アメリカ大統領の署名が得られる内容の法案を作成済みで、特許に関する法律の代替案として上院へ提出を予定しています。法律改革に必要なのは、「申し立てをより具体的にすること」、「利害関係者のさらなる詳細開示」、「被告側の訴訟費用の制御」であるとのこと。


なお、ファーガソン氏のウェブサイト「Fix Patents」では、パテント・トロールに関する情報を見ることができ、この運動の支持者を募集しています。

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in ソフトウェア,   動画,   メモ, Posted by darkhorse_log