元Google幹部による広告ゼロの検索エンジン「Neeva」がスタート、検索エンジンとして異例のサブスク方式を採用
2021年6月29日、Google検索の代替ツールとなるべく開発されている広告ゼロの検索エンジン「Neeva」が、ついに利用可能になったと発表されました。NeevaはGoogleで広告部門の幹部を務めた経歴を持つシュリダール・ラマスワミ氏が立ちあげたスタートアップで、検索エンジンとしては異例のサブスクリプション方式を採用しています。
???????? Today, we're thrilled to announce that Neeva, the world's first ad-free, private, and customizable search engine, is now publicly available to everyone in the United States! #SearchReimagined #TryNeeva
— Neeva (@Neeva) June 29, 2021
Learn more here: https://t.co/TUyKjsDPWs
Neeva Announces Public Availability of its Ads Free, Private Search Engine - Neeva
https://neeva.com/blog/neeva-announces-public-availability
Former top Google executives take on Google Search with new startup Neeva - SiliconANGLE
https://siliconangle.com/2021/06/29/former-top-google-executives-take-google-search-new-startup-neeva/
Neeva is an ad-free search alternative from ex-Googlers
https://www.fastcompany.com/90650719/neeva-search-engine-google-alternative-privacy-sridhar-ramaswamy-tech
広告を表示しない検索エンジンとして開発されてきたNeevaは6月29日、公式ブログで「本日、アメリカで広告なしのプライベートなサブスクリプション検索エンジンが利用可能になったことをお知らせします。サインアップしてから3カ月間は無料で、その後は月額たったの4.95ドル(約550円)です」と発表しました。NeevaはChrome、Safari、Firefox、Edge、Braveなど全ての主要なブラウザと互換性のある拡張機能を提供しており、iOSアプリも提供しているとのこと。
Neevaの共同創設者兼CEOであるラマスワミ氏は、「Neevaは『検索は広告主ではなく、消費者に焦点を当てるべきだ』という前提に基づいて構築されました。検索結果は広告販売や行動追跡ではなく、消費者の質問に対する最良の回答を見つけることを常に優先させるべきです。本日のサブスクリプションに基づくモデルの発表は、信頼と透明性の上に構築された、実行可能な検索の代替手段を提供するための最初のステップです」と述べています。
Neevaが備えている主な特徴は以下の通り。
・広告なし
Neevaによると、主要な検索エンジンでは検索結果の最大40%が広告で占められており、有用な検索結果が埋もれてしまうとのこと。一方でNeevaは100%広告なしの検索結果を表示するため、ユーザーが広告に邪魔されることなく目的のウェブサイトを見つけられると主張しています。以下の画像は左が「一般的な検索エンジンの検索結果画面」で、右が「Neevaの検索結果画面」を示したもの。Neevaの方には「Ad」の表示が一切見当たりません。
・安全かつプライベートなブラウジング
Neevaの拡張機能をブラウザにインストールすることにより、インターネット上でユーザーの行動を追跡するトラッカーをブロックすることが可能。もちろん、Neevaもユーザーデータを販売したり、他の企業と共有したりすることはないとのことです。
・検索結果のカスタマイズ機能
他の検索エンジンと同様に、Neevaはユーザーの検索ワードに応じた結果を表示しますが、検索画面上部のウィジェットを自由にカスタマイズできる点が特徴です。現地の天気や株価などを表示させることができるほか、「好みのニュースサイト」などの設定も可能となっています。
・電子メールやカレンダー、ドキュメントなどの統合
検索をさらに便利にするため、Neevaでは「電子メール」「カレンダー」「ドキュメント」「チャットツール」などのアカウントを統合し、検索バーからこれらのアカウントに保存されている文書などを検索できるとのこと。これにより、ユーザーは検索にかける時間を節約することができます。
・検索クエリでコンテンツのクリエイターをサポートする
NeevaはGoogleなどと同様に、検索ワードに対してウェブサイトから抜粋したテキストスニペットを検索画面に表示することがあります。この場合Neevaは売上の20%を、パートナーシップを結んだコンテンツのクリエイターに分配するとのこと。既にNeevaは質疑応答フォーラムのQuoraやブログサービスのMediumとパートナーシップを結んでいるとのことです。
Neevaを立ちあげたラマスワミ氏がGoogleに参加した2003年の時点では、検索結果画面の横に広告を表示することの有効性は認知されていたものの、ほとんどの人は広告がかつてないほど巨大なビジネスになるとは予測していなかったとのこと。その後、Googleの広告部門は急成長してきましたが、次第にラマスワミ氏はウェブ上にターゲット広告を表示するやり方に不満を持つようになりました。検索エンジンにおいて「ユーザーデータを分離しておくこと」は非常に重要だとラマスワミ氏は考えていましたが、ラマスワミ氏の考えとは逆にGoogleはユーザーデータを積極的に広告表示に活用し、Google検索の内容がYouTubeで表示される広告にも影響するようになりました。
そして2018年にGoogleを離れたラマスワミ氏はベンチャー投資家として再スタートを切ったものの、やがてYouTubeの元収益化担当副社長であったビベック・ラグネイサン氏と共に、広告を表示しない新たな検索エンジン・Neevaを立ちあげました。2人の他にも多くの元Google従業員がNeevaに加わっているそうで、記事作成時点では60人ほどの従業員のうち約30%が元Google従業員だとのこと。
「検索エンジンをサブスクリプション方式で提供する」という仕組みは奇妙に思えますが、ビジネスメディアのFast Companyは、SpotifyやNetflix、ニューヨーク・タイムズの有料会員などへの支払いが一般化した結果、「インターネットでは誰もお金を支払うつもりはない」という常識は過去のものになっていると指摘。Neevaの取締役であるマーゴ・ジョージアディス氏は、「消費者は、生活に関連性がありパーソナライズされた体験にお金を支払うことに、ますます意欲を見せています。彼らは生活のあらゆる場面でそうしてきました」と述べています。
なお、記事作成時点ではNeevaを利用できるのはアメリカ在住のユーザーのみであり、日本での展開時期などは未定です。
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