サイエンス

地球文明を観測できる惑星はどれだけ存在するのか?


世界各国の宇宙機関が地球外生命体の存在をさまざまな方法で探していますが、もしかしたら宇宙人のほうも我々のことを探しているのかもしれません。アメリカの天文学者2名が新たな研究で、「人類を見つけ出すことのできる宇宙人が住んでいる可能性のある惑星」を数え上げました。

Past, present and future stars that can see Earth as a transiting exoplanet | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-021-03596-y

Exoplanets get a cosmic front-row seat to find backlit Earth | Cornell Chronicle
https://news.cornell.edu/stories/2021/06/exoplanets-get-cosmic-front-row-seat-find-backlit-earth

Astronomers Identify The Star Systems That Could Be Watching Earth From Space
https://www.sciencealert.com/these-nearby-star-systems-could-have-spotted-life-on-earth

Who could know we’re here on Earth? | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2021/06/who-could-know-were-here-on-earth/

天文学では太陽系外惑星を直接観測するだけでなく、その惑星が公転する恒星を利用して惑星の理解を深めることがあります。観測対象の惑星の後ろに恒星が来るタイミングでは、恒星が放つ光が惑星によって遮られるため、その光の変化から惑星の外形や大気組成などの情報を得ることが可能です。この手法は、トランジット法と呼ばれます。


惑星の外形が確認できれば木星のように巨大ガスで形成された星などの生命にとって適さない星を除外でき、大気組成がわかれば生命に必要な酸素などの存在を確認できる可能性があるため、トランジット法は惑星における生命の兆候を調べる際に用いられています。コーネル大学のカールセーガン研究所のリサ・カルテネッガー所長とアメリカ自然史博物館のジャッキー・ファハティ博士が新たに発表した研究は、「トランジット法を地球に使えるチャンスのある恒星系」を数え上げるというものです。

前述のようにトランジット法は、惑星の真後ろに恒星が来なければ使えない手法です。従って、トランジット法で地球を観測したい宇宙人がいた場合は、「宇宙人の住む恒星系から見て、太陽の前側を地球が通過する」という事態が一度でも発生しなければなりません。この事態が発生するチャンスのあった恒星系について、カルテネッガー所長らは史上最も詳細な銀河系地図を作成したガイア計画のデータを用いて、地球から100パーセク(約326光年)の距離内かつ、問題のチャンスが発生したタイミングを現代から5000年前~5000年後の1万年の間に絞って検索。その結果、5000年前~現代の期間では1715個、現代~5000年後の期間では319個と計2034個の恒星系が地球に対してトランジット法を使えた、ないしはこれから使えると判明しました。

これら2034個の恒星系には、人類が居住可能だとされるロス128トラピスト1ティーガーデン星が含まれています。ロス128は約2158年にわたってトランジット法を地球に使えるチャンスを持ち、トラピスト1は西暦3663~6034年に使用可能。ティーガーデン星は西暦2050~2460年にトランジット法を使えるそうです。

By European Southern Observatory/M. Kornmesser

なお、人類は1900年頃に無線電波を発明したため、この無線電波をキャッチする可能性のある「地球からの距離は100光年以内&期間は1900年~現代まで」という条件下では、地球にトランジット法を使えた恒星系は75個まで絞られます。今回の研究について、カルテネッガー所長は「太陽系外惑星にとっては、私たちはエイリアンです。我々はどの星が地球にトランジット法を使うのに適しているのかを調べようと考えました」とコメント。ファハティ博士は「地球以外の世界が我々と同じ手法で我々をすでに発見しているかもしれないと考える人もいるかもしれません。この研究は、宇宙人が人類を見つけるかもしれないという興味深い思考実験です」と語っています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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