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ナマケモノの50%以上は「うんちをする時に死ぬ」、なぜ危険な方法でうんちをするのか?


生涯のほとんどを木にぶら下がって過ごすナマケモノは、週に1回ほどの頻度で排便するために地面に下りてきますが、なんとナマケモノの50%以上が「排便時」に死んでいると言われています。なぜナマケモノは排便時に死んでしまうのか、そしてわざわざリスクを取って木から下りて排便するのかについて、動物関連のトピックを扱うYouTubeチャンネルのBioArkがまとめています。

Why 50% of Sloths Die While Pooping - YouTube


ナマケモノは中南米の熱帯雨林に生息する動物であり、ずっと木にぶら下がってほとんど動かない上に、動いたとしても非常に動きがゆっくりしていることからSloth(怠惰/なまけもの)と名付けられています。


食事時も木からぶら下がったまま葉などを食べているナマケモノですが……


1週間に1回ほどの頻度で、うんちをするために地面まで下りてきます。


しかし、樹上生活を送るナマケモノが木にぶら下がったまま排便するのではなく、わざわざ地面まで下りて排便するのは奇妙な選択だとのこと。


2014年の研究では、研究チームが記録した成人のナマケモノが死亡したケースの半分以上が、排便時に地面の近くまで下りた時に外敵に襲われたことが原因だったそうです。つまり、木から下りて排便することは、ナマケモノにとって非常に危険な行為であると言えます。


また、わざわざ地面まで下りて排便する行為は、ナマケモノが1日に消費するエネルギーの8%を占めると推定されています。できるだけエネルギーを消費しないライフスタイルを確立することで生き延びてきたナマケモノが、非常にエネルギーコストがかかる排便を行うことは不自然です。


ナマケモノが地面の近くで排便する理由について知るには、より深くナマケモノについて理解することが大事だとBioArkは指摘。


ナマケモノはミユビナマケモノ科とフタユビナマケモノ科に分類され、このうちミユビナマケモノは前脚の指が3本、フタユビナマケモノは前脚の指が2本あります。


移動速度は分速13フィート(約3.9メートル)ほどであり、危機が迫った場合でも分速15フィート(約4.6メートル)ほどにしかスピードアップできません。


なお、意外にもナマケモノは泳ぐことができますが、やはり進むスピードはゆっくりです。


しかし、ナマケモノのゆっくりとした動きは、外敵から身を守る役割も果たしています。樹上生活を送るナマケモノの主な捕食者はオウギワシなどの鳥であるため、動くスピードが遅いほど見つかる可能性が下がるとのこと。


動きが少ないことは生存に必要なエネルギー量を抑える上でも役立ちます。フタユビナマケモノは葉の他にも果物や小さなトカゲなどを食べますが、ミユビナマケモノは葉しか食べません。葉に含まれるエネルギーは少ないため、ミユビナマケモノは生存戦略としてエネルギー消費をとことん抑える方向に特化しています。


ナマケモノは1日15~18時間も眠る上に、哺乳類では珍しい変温動物で、外気に合わせて体温が5度も上下することがあります。これによって冬眠状態のような低エネルギー状態を作り出し、基礎代謝量を他の哺乳類より格段に低く抑えています。


また、通常の哺乳類は体重の40~45%の筋肉を持っていますが、ナマケモノの筋肉量は体重の30%ほどであることも特徴です。樹上生活を送るナマケモノは木からぶら下がる上で必要な筋肉だけに特化しており、死んだ後も木にぶら下がり続ける場合があるとのこと。


一方、ぶら下がることに特化した筋肉は移動することには向いていないため、移動スピードは非常にゆっくりです。


逆さにぶら下がって長時間過ごすナマケモノは、内臓で肺を圧迫しないように独特の構造を有していることもわかっています。


ナマケモノは腸内細菌の助けを借りて食物を消化しているため、1枚の葉を消化するにも最大30日かかることがあるとのこと。そのため、寒い時期になって腸内細菌の活動が鈍ると消化スピードが落ちるため、ナマケモノは寒くなるほど食べる量が減るそうです。


また、ナマケモノの赤ちゃんは母親にくっついて育ちますが……


赤ちゃんが地面に落ちても、母親は連れ戻しに地面まで下りることはありません。


そんなエネルギー消費を徹底的に抑えるナマケモノの毛皮には「小さな生態系」が存在し、これが特殊な排便習慣に関係しているとBioArkは指摘。


ナマケモノの毛皮には小さなダニなどに加え、ガも生息しています。このガはナマケモノの共生関係にあると見られており、ナマケモノの毛皮に生える「藻」の量に関係しているとのこと。


ナマケモノの毛皮が緑色に見えるのは、毛そのものの色ではなく、藻が繁殖しているからです。毛皮に生えた藻は熱帯雨林におけるカモフラージュになるだけでなく、ナマケモノにとっての「軽食」にもなります。毛皮の藻は脂質が豊富であり、炭水化物の発酵を助けると考えられているのこと。


ナマケモノの毛皮に住んでいるガが多いほど、毛皮に含まれる窒素の量が増えるため、それを栄養源とする藻の密度も高くなります。


そして、このガはナマケモノが地面に落としたフンに卵を植え付けます。幼虫はフンを食べて育ち、成虫になったらナマケモノを探しに飛び立つそうです。というわけで、BioArkは「ナマケモノが軽食としての藻を育てるために共生関係にあるガを利用し、リスクを取って地面まで下りて排便する」という説を紹介しています。


平均的なナマケモノには125gの藻が生えているそうで、これは体重の2.6%に当たります。


なお、体重の2.6%という重さを人間に換算して考えると小型犬ほどの重さとなります。


毛皮に生えている藻の量は、食事が豊富なフタユビナマケモノより葉しか食べないミユビナマケモノに多く、しっかり地面まで下りて排便することもミユビナマケモノの方が多いとのこと。


一方、「藻を育てるガを利用するためにリスクを取って地面まで下りて排便する」という説には賛否あるそうです。「ナマケモノが実際に毛皮の藻を食べる頻度は少ない」という指摘があるかと思えば、「ナマケモノの胃から毛皮に生えている藻が見つかった」という指摘もあります。


また、ナマケモノの排便パターンはメスが発情する周期と関係しているとの説もあるそうで、BioArkは「ナマケモノの奇妙な排便習慣には、まだ議論の余地があります」と述べました。

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in サイエンス,   生き物,   動画, Posted by log1h_ik

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