チタン製の義足を装着した世界初の「バイオニックバード」が爆誕
一般的に、ほとんどの鳥類は足を失うと木に留まったりエサをとったりできなくなるため、必然的に短命となってしまいます。ウィーン医科大学の医師たちが、右足を失ったヒゲワシに「チタン製の義足を骨と一体化させる手術」を施したと発表しました。この形成外科手術がヒゲワシに施術されたのは世界で初めてのことです。
Avian extremity reconstruction via osseointegrated leg-prosthesis for intuitive embodiment | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-021-90048-2
Bionic reconstruction: New foot for "Mia" the bearded vulture | MedUni Vienna
https://www.meduniwien.ac.at/web/en/ueber-uns/news/default-871192d93f/bionische-rekonstruktion-neuer-fuss-fuer-bartgeier-mia/
ミアと名付けられたヒゲワシの右足は、母親が巣作りのために集めた羊毛が絡まって壊死(えし)してしまいました。ヒゲワシをはじめ多くの鳥類は、足を失うと木に留まったりエサをとったりできなくなるため、必然的に短命となってしまうとのこと。
獣医師たちはヒゲワシを救うべく、ウィーン医科大学の形成外科医であるオスカー・アスマン氏に協力を要請。翼幅が最大2.6mにも達するというヒゲワシの足はさまざまな負荷に耐える必要があるため、アスマン氏はチタンと骨を結合させる特殊な技術「オッセオインテグレーション」を採用しました。
アスマン氏はオッセオインテグレーションを人間に使用したことはあったものの、鳥類に対して使用したことはなかったとのこと。そこで、アスマン氏は死亡した別のヒゲワシを解剖し、生体について学んでから手術に臨みました。
アスマン氏はヒゲワシに全身麻酔を施し、足の骨髄にネジ付きのチタン固定具を挿入。ヒゲワシのために特殊に設計された円筒形のゴムのような義足を固定具に装着しました。この義足によってヒゲワシが高度な触覚を得られるほか、円筒形のデザインによってヒゲワシが枝に引っかかった時に損傷する可能性を最小限に抑えます。
手術は無事に成功。ミアは術後3週間で歩けるようになり、6週間後には義足に負荷をかけて生活できるようになったとのこと。アスマン氏は「ヒゲワシは再び両足を使って着地や歩行ができるようになり、最初の『バイオニックバード』になりました」と述べています。
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