特攻ドローンが「完全自律」で人を爆殺した可能性があると国連が報告
2018年には世界初となるドローンを使った大統領暗殺計画がベネズエラで実行されたほか、IS(イスラミックステート)を自称する過激派組織が爆薬を搭載した民生品のドローンを実戦投入していることが確認されているなど、ドローンは多くの戦場で兵器として使われるようになっています。そんなドローンの中でも「完全自律」で動くドローンが標的の爆殺に成功した可能性があると国連が報告しました。これが事実であれば、機械学習機能を備えた自律兵器が人を殺傷した初めてのケースだと報じられています。
Final report of the Panel of Experts on Libya established pursuant to Security Council resolution 1973 (2011)
(PDFファイル)https://undocs.org/S/2021/229
The age of killer robots may have already begun - Axios
https://www.axios.com/age-killer-robots-begun-8e8813d9-0fa1-4529-baf9-3358c1703bee.html
Killer AI drones 'hunted down humans without being told to' warns bombshell UN report - Daily Star
https://www.dailystar.co.uk/news/world-news/killer-ai-drones-hunted-down-24203431
国連が2021年3月に、リビア内戦に関して安全保障理事会が設置した専門家パネルの報告書を発表しました。専門家パネルはその中で、「2020年3月の戦闘で、トルコ製のKargu-2ドローンが兵士を追跡して攻撃した可能性がある」と報告しました。
Kargu-2は、トルコの軍事企業・STMが開発したクワッドコプター型のドローンで、自爆攻撃を行うことから「カミカゼドローン(kamikaze drone)」とも呼ばれています。Kargu-2の標的となった兵士が死亡したかどうかは明らかにされていませんが、専門家パネルがドローンを「致命的な自律兵器システム」と呼んでいるため、死亡した可能性は高いと見られます。
報告書は、顔認識システムにより標的を自ら発見して攻撃することができるKargu-2を、「この自律型殺傷兵器は、操縦者とのデータ接続を必要とせずに目標を攻撃するようにプログラムされており、実質的に真の『発射・忘却・発見』能力を備えているものでした」と評価しています。
また、この件を報じたニュースサイト・Axiosは「これが事実であれば、機械学習ベースの自律兵器が殺人に使われた初のケースとなり、戦争が危険な新時代を迎えたことを示しています」と述べました。
今回の事例について、専門家はAIを搭載した兵器の法規制が急務だと指摘しています。イギリスの防衛シンクタンクである王立防衛安全保障研究所のジャック・ワトリング氏は、「AIを搭載した兵器の規制についての議論が緊急かつ重要なものだということは間違いありません。テクノロジーは我々を待ってはくれないわけですから」とコメントしました。
ドローンが軍事利用される危険性については、以下の記事に詳しくまとめられています。
ドローンが大量破壊兵器になる危険性について専門家が警鐘を鳴らす - GIGAZINE
by John
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