TCPに代わる次世代のインターネット通信プロトコル「QUIC」が正式スタート、RFC 9000の発表で
インターネット技術の標準化団体であるIETFが、TCPに代わるインターネット通信プロトコルとして注目を集めているQUICの技術仕様をまとめたRFC 9000を発表しました。これにより正式に「バージョン1」へと移行することが決まったQUICの将来について、RFC 9000の作成を手がけたジャナ・アイヤンガー氏が解説しています。
QUIC is now RFC 9000 | Fastly
https://www.fastly.com/blog/quic-is-now-rfc-9000
QUIC is RFC 9000 | daniel.haxx.se
https://daniel.haxx.se/blog/2021/05/27/quic-is-rfc-9000/
QUICは、現行のインターネットに使われているTCPの遅延を減らし、信頼性と安全性を改善させることを目的に開発された新しいトランスポートプロトコルです。IETFは2021年5月に、QUICの技術仕様であるRFC 9000を公開しました。アイヤンガー氏によると、RFC 9000の発表はQUICがバージョン1として正式化されたことを意味しているとのこと。
RFC 9000のほか、QUICのバージョンに依存しないプロパティであるRFC 8999、TLSによるQUICの保護を策定したRFC 9001、損失検出と輻輳制御を行うRFC 9002により、QUICは次のインターネットの標準として始動することになります。また今回の発表に伴い、当初は「HTTP over QUIC」と呼ばれていたHTTPの次世代バージョン「HTTP/3」も、間もなく公開される予定です。
もともと、Googleが試験的に実装したプロトコルとしてスタートしたQUICは、約5年の歳月と26回の対面会議、1749件のイシュー、数千通にもおよぶ電子メールのやりとりを経て、正式版の完成を見ました。長年のTCPの課題である、トランスポート、セキュリティ、アプリケーションの領域のサイロ化を解消するプロトコルの開発に至るまでには、白熱した議論が何度も展開されたとアイヤンガー氏は述懐しています。
アイヤンガー氏は、QUICの将来的な見通しについて「インターネットのトランスポートにまつわるエコシステムは、過去数十年の間にすっかり硬直化していましたが、QUICは暗号化やバージョニング、豊富でパフォーマンスの高い一連のサービスを通じて、インターネットの柔軟性を取り戻します。その未来に向けて、QUICは次世代のインターネットイノベーションを主導する準備を整えており、その一部はMASQUEやWebTransportといった有望な技術によって実現し始めています」と話しました。
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