ハードウェア

10年ぶりに登場したArmアーキテクチャの最新版「Armv9」を採用した新CPUが登場


電子機器にとってなくてはならない存在といえる「Armアーキテクチャ」の10年ぶりの新バージョンである「Armv9」を採用した新しいCPUが発表されました。

First Armv9 Cortex CPUs for Consumer Compute - Processors blog - Processors - Arm Community
https://community.arm.com/developer/ip-products/processors/b/processors-ip-blog/posts/first-armv9-cpu-cores


Arm Announces Mobile Armv9 CPU Microarchitectures: Cortex-X2, Cortex-A710 & Cortex-A510
https://www.anandtech.com/show/16693/arm-announces-mobile-armv9-cpu-microarchitectures-cortexx2-cortexa710-cortexa510

Arm 2021 CPUs and GPUs: Everything you need to know
https://www.androidauthority.com/arm-cpu-gpu-2021-1226408/

2021年3月末、世界中のスマートフォンで採用されているARMアーキテクチャの最新版となるArmv9が発表されました。Armv9はSVE2テクノロジーを介して従来よりもはるかに高速な機械学習を可能にし、メモリタグ付け拡張機能を介することでより優れたハードウェアセキュリティを実現しています。Armv9の詳細については以下の記事にまとめられています。

Armが新アーキテクチャ「Armv9」を発表、追加された機能とは? - GIGAZINE


そしてArmv9を採用した新CPUとしてこのたび、「Cortex-X2」「Cortex-A710」「Cortex-A510」の3つが発表されました。Cortex-X2はCortex-X1の、Cortex-A710はCortex-A78の、Cortex-A510はCortex-A55の後継モデルとされています。Cortex-X2は16%、Cortex-A710は10%、Cortex-A510は35%も前モデルからパフォーマンスが向上。


そして、機械学習パフォーマンスはCortex-A510が3倍、Cortex-A710が4倍、Cortex-X2が8倍向上しています。以下のグラフを見ると、Cortex-A510の機械学習パフォーマンスはCortex-A55だけでなくCortex-A78も上回っていることがわかります。


Cortex-A510の前モデルにあたるCortex-A55は、2018年以降スマートフォン向けのプロセッサとして定番となっています。Cortex-A510は前モデルよりも小さなコアを採用しており、パフォーマンスは35%、効率は20%向上。Armによると、Cortex-A510はCortex-A57よりも強力で、Cortex-A73に近い性能となっているとのこと。

ArmはArmv8を採用したCortex-A55の後継モデルの開発に取り組んできました。しかし、AndroidAuthorityがArmに問い合わせたところ、「(Armv8ベースの)Cortex-A55の後継モデルのリリースを早めることを検討していたものの、代わりにArmv9ベースのCortex-A510を優先する方針に転換した」との回答が返ってきたそうです。

Cortex-A78の後継モデルとなるCortex-A710は、Arm CPUの中ではミドルレンジに位置するCPU。Cortex-X2ほどパワフルなコンピューティング能力は有していませんが、より効率的なCPUとなっています。前モデルのCortex-A78と比べるとパフォーマンスは10%の向上ですが、効率は30%も向上しています。


そして、フラグシップモデルとなるCortex-X2は、QualcommのSnapdragon 888やSamsungのExynos 2100といったSoCに採用されているCortex-X1の後継モデルです。Cortex-X2はCortex-X1よりも16%もパフォーマンスが向上しているとのことですが、効率面についての詳細な言及はありません。


加えて、Armは2023年にスマートフォン向けプロセッサから32ビットサポートを完全に廃止する予定であると発表しています。今回発表された3つのプロセッサのうち、Cortex-A510とCortex-X2は64ビットをサポートしているものの、Cortex-A710は32ビットをサポートしています。

その他、Armは新しく「Mali-G710」「Mali-G610」「Mali-G510」「Mali-G310」という4つのGPUも発表しています。


フラグシップモデルとなるのがMali-G710で、コア数は16コア。前モデルの「Mali-G78」と比べると、コア数は24コアから16コアに減っているものの、機械学習パフォーマンスは20%、効率は35%も向上しています。

Mali-G710とほぼ同等の性能のGPUがMali-G610で、大きな違いはシェーダーコアの数です。シェーダーコアが7つ以上ある場合はMali-G710、それ以下の場合はMali-G610となるとのこと。

Mali-G510およびMali-G310はより安価なエントリー向けのGPUで、それぞれMali-G57Mali-G31の後継モデルという位置づけです。Mali-G510はMali-G57と比べてパフォーマンスが100%超、効率が22%、機械学習パフォーマンスが100%超も向上しています。一方、Mali-G310はMali-G31と比べて、テクスチャリングパフォーマンスが6倍、Vulkanパフォーマンスが4.5倍向上します。なお、AndroidAuthorityがArmに問い合わせたところ、「Mali-G310はMali-G31と比べてパフォーマンスが100%向上することが期待できる」との返答があったそうです。


4つの新しいGPUはすべてValhallアーキテクチャおよび、ロスレス圧縮機能のArm Fixed Rate Compressionを採用しており、これによりゲームやビデオなどのコンテンツの帯域幅を60%節約し、パフォーマンスを80%向上させることが可能になるとのことです。

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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