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言語の壁を超えて複雑な文章や画像も理解できる新検索アルゴリズム「MUM」をGoogleが発表


世界最大の検索エンジンを運営するGoogleが、日本時間2021年5月19日から開催されている開発者向けカンファレンス「Google I/O 2021」で、新検索アルゴリズムである「MUM(Multitask Unified Model、マルチタスク統合モデル)」を発表しました。

MUM: A new AI milestone for understanding information
https://blog.google/products/search/introducing-mum/

Search, explore and shop the world’s information, powered by AI
https://blog.google/products/search/ai-making-information-helpful-io/


知りたいことがあるとき、GoogleやBingなどの検索エンジンで検索し、必要な情報を集めることは、現代では当たり前の行動となりました。しかし従来の検索エンジンでは、調べたい物事が複雑になればなるほど、必要になるクエリも増えていきます。また、検索エンジンは専門家ではないので、ユーザーが求めている情報を的確に選び抜いて表示することは困難です。


そこでGoogleが開発したのがMUMです。MUMは従来の自然言語処理モデルである「BERT」と同様に、言語理解タスクに秀でたニューラルネットワークアーキテクチャ「Transformer」上に構築されており、75の異なる言語と多くのタスクでトレーニングが行われているため、言語を理解するだけではなく生成することも可能。また、文章や画像全体の情報を理解し、将来的には動画や音声の情報も処理できるとのこと。

例えば富士山について漠然と知りたい場合は、検索エンジンの入力欄に「富士山」と入力すれば、富士山に関連するページが大量にヒットします。しかし、「以前にアダムズ山に登ったことはあるが、今度は富士山に登りたいと考えている、どういう準備をすればいいのか?」と考えている場合、従来の検索アルゴリズムで的確な答えを得るためには、さまざまな言葉を組み合わせて何度も検索を重ねることが求められました。


しかしMUMは、上記の質問を理解した上で、「アダムズ山と富士山を比較すること」「登山の準備には、トレーニングや適切な装備の購入が必要であること」を把握し、「アダムズ山と富士山はほぼ同じ標高」「富士山は秋に雨が降りやすい」「防水ジャケットが必要」といった情報を提示できます。


また、富士山の情報は日本語のサイトにまとめられていることが多く、従来の検索アルゴリズムでは、日本語で検索する必要がありました。一方でMUMは言語の壁を越えてソースから知識を集めて提示してくれるので、アメリカ人でも富士山の絶景ポイントや近場の温泉、人気の土産屋をすぐに調べられるようになります。

さらに画像の情報も理解できるのがMUMの特徴の1つ。例えば普段使っている登山靴の写真を撮り、「これで富士山を登れますか?」と検索エンジンに尋ねると、MUMは登山靴と質問をそれぞれ理解し、「この登山靴なら問題なく登山ができます」と回答したり、他に推奨される登山靴をリストアップしたブログを表示したりすることもできるとのこと。


Googleは「記事作成時点でMUMは実験段階で、今後数カ月から数年以内に実用化する予定」と明かし「MUMは、人々が自然に行うさまざまなコミュニケーションや情報の解釈を、Googleの検索エンジンが理解できるようになるという、未来に向けた重要なマイルストーンです」と述べました。

Googleは他にも、スマートフォンのカメラで写すだけで検索できる「Google Lens」から100以上の言語で教育コンテンツにアクセスできるようにしたり、AR(拡張現実)コンテンツを検索結果に表示したりする計画も発表しています。さらにGoogle I/O 2021では、Googleマップのルート検索機能の向上も明らかにされました。

Googleマップの5つの新機能が発表、マップの高精細化や混雑状況の視覚化など - GIGAZINE


なお、Google I/O 2021の基調講演におけるMUMのプレゼンテーションは、以下のムービーの43分頃から見ることができます。

Google Keynote (Google I/O ‘21) - YouTube

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1i_yk

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