闇に包まれた世界を仲間とエレメントで切り開く対戦冒険ゲーム「グロウ~トモシビノタビ~」プレイレビュー
色彩が失われてしまった世界で仲間を集め、ダイスを振ってアビリティを発動させて「光のカケラ」を集めていく、対戦型ボードゲーム「グロウ~トモシビノタビ~」が、2021年5月22日(土)に発売されるということで、一足早くどんなゲームなのかプレイしてみました。
グロウ ~トモシビノタビ~ | ANALOG GAME INDEX
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「グロウ~トモシビノタビ~」の箱は、ゲーム世界のイメージを反映したモノクロトーンなもの。
対象年齢は10歳以上、プレイ人数は2~4人、目安時間は45分。
内容物はこんな感じで、説明書、旅ボード、出会いトラック、カードとコマ類、トークン類があります。
カードは裏側が白と黒の2種類あり、さらに黒は中央が「A」と「B」の2種類に分かれます。
裏側が白色のカード7枚は、プレイヤーが選ぶ「冒険者」。それぞれ、カードの下の方には、ダイスの出目によって発動するアビリティが書かれています。赤の「ポキャナ」にはアビリティが描かれていませんが、代わりにダイスが他キャラより1個多くなっています。
黒いカードは、これから冒険者たちがスカウトする「仲間」。AとBは別の山にしておき、そこから3枚ずつ抜いて、ゲームから取り除きます。プレイするごとに異なる仲間がゲームから外れるので、「同じ仲間の組み合わせで必勝パターンを構築」というのが難しくなっています。
「仲間」はAを上、Bを下にして1つの山にして、上から5枚めくり「出会いトラック」の下に並べます。左端の「スカル」シンボルのところは空けておきます。また、冒険者の大ダイスとは別に用意されている小ダイスを振り、出会いトラックに描かれた出目のエレメント(元素)シンボルのスペースに置きます。シンボルは左から「火」「水」「岩」「雲」「木」で、この例だと「雲」と「木」はダイスがないので、代わりに足跡トークンを置きます。
冒険者の色のマーカーをマップボード左上の得点トラックスタート地点に置き、キャラクターとキャンプのマーカーを左下のマップスタート地点に置いたらゲーム開始です。今回はオリウム、ブラチオ、ポキャナ、イオルの4人で遊んでみます。
ゲームの目的は「光のカケラ」を集めること。「光のカケラ」は仲間のアビリティなど様々な手段で入手可能で、そのためにとにかく「自分の役に立ってくれる仲間を集める」ことになります。冒険に使える日数は8日間(8ラウンド)で、1日は5つのステップに分かれます。
・早朝
まずスタートプレイヤーから順番に、仲間を1人ずつスカウトしていきます。仲間をスカウトすると、その仲間のいたスペースにああったダイスかトークンが得られます。以下の図だと、イオルがスナレクスをスカウト。
スナレクスのスペースにあったダイス4つも入手しました。仲間は冒険者の横に加入順に並べていきます。
4人のプレイヤーが仲間をスカウトし終えると、残った仲間は左端の「スカル」シンボルのところ、墓地へ送られます。このとき、墓地に送られた仲間のスペースにあるダイスやトークンはそのまま残します。
・午前
プレイヤーは、もともと冒険者が持っているダイスと仲間が持ってきたダイスをあわせた、すべてのダイスを振ります。「リロール」のトークンを持っている場合、トークンを消費してダイスを最大2つ振り直せます。この出目で問題ない、あるいはもう振り直しができないという状態になったら、出目を確定します。イオルの出目は「水」1、「岩」3、「雲」1、「木」1でした。
・真昼
午前フェイズに確定した出目をもとに、冒険者と仲間のアビリティが発動します。イオルのアビリティは「雲」1・「岩」1の出目があるとき、蛍トークン1個と光のカケラ2個を獲得するというもの。なお、以下の写真ではわかりやすいようにイオルのアビリティに該当するダイスを左側に移動させていますが、アビリティはダイスを消費して発動するのではなく、出目を参照するものなので、「イオルのアビリティで出目を消費したから、他キャラのアビリティが発動しない」ということはありません。また、出目によってはアビリティが複数回発動することもあります。どの仲間・冒険者から進めていくかはプレイヤーが決めてOKですが、たとえ不利なアビリティだからといって「発動させない」ということはできません。
アビリティによる光のカケラの増減は、ただちに得点トラックに反映させます。トラック上にはリロールの絵が描かれているマスがありますが、これは午前フェイズで出目が気に食わないとき、マーカーをリロールの絵があるマスまで後退させることでリロールすることができるというもの。「0」のところにも描かれているので、得点が0になるまで光のカケラを消費してダイスを振り直すということも可能です。
・午後
アビリティの処理が終わったら、パーティーが世界をどう旅するかを決めます。この「影の領域」のマップには、出目が描かれたマスがあり、手元のダイスの同じ出目を1つ消費することで進むことができます。今回はみんな「木」の出目が多く、同じような道を進むことになりました。なお、足跡トークンを消費すると、移動時に必要なエレメントの代わりにすることができます。
・夕方
次の日の向けての処理を行います。各自が午前中に振ったダイスのうち、冒険者固有の大きなダイスは手元に残し、小さなダイスは出目を参照して、出会いトラック上の当該シンボルのスペースに置きます。午後の移動でみんなが「木」のマスを移動したことからもわかるように、このラウンドは「木」の出目が多く、なんとダイスが5個に。一方、「火」と「雲」はダイスがゼロなので、足跡トークンを補充します。
そして次の仲間が5体、山から出会いトラックへと現れました。これで1日の処理は終わり。……というのを8日間行います。
「スケタル」はちょっと特殊な仲間で、仲間に加わるとき、追加ダイスを1つ持ってきてくれます。このスケタルは、名前の左側に緑のダイスが描かれているように「木のスケタル」。しかも、ちょうどこのスケタルのいたスペースにはダイスが5個あり、獲得したブラチオはほくほくの様子。
しかし、そのラウンドのダイスの出目で「岩」が2つ出たことにより、スケタルは光のカケラ2つを残して死んでしまいました……。スケタルが死ぬと、追加ダイスはストックに戻されます。
イオルが最初の広場に到着し、キャンプを作りました。ゲーム終了時、キャンプがある広場に示された数の光のカケラが得られます。キャンプは一度に1つしか置けませんが、次の広場に到着したときに移動させることができます。
イオルはこのあと、仲間に加えていたクロマゥグがアビリティにより死亡。
しかし、クロマゥグは「墓地に送られた仲間から1人を選んで手元に加える」という効果も発動するので、墓地に送られていたルミピリを蘇生することに成功。ルミピリは1ラウンドに1回リロールできるアビリティを持つ強力な仲間です。
やがて、仲間の山が尽きました。夕方に仲間が補充できなくなると冒険は終わりなので、これが最終ラウンドだということを示しています。
イオルはこのラウンドにドゥレルを加えて、仲間8人体制に。仲間のうち5人が「最後までパーティーにいると光のカケラのボーナスがある」という編成で、なんとか全員で生き残って点数を稼ごうという方針です。
イオルはマップ上でも、最もスタート地点から遠かった「20点」の地点にキャンプを立てることに成功。
冒険を終えて得点を計算してみると、得点はポキャナが51点、ブラチオが55点、イオルが63点、オリウムが65点で、勝者はオリウムとなりました。
オリウムはスケタル2体を仲間に加えてダイスを増やした上で、自分とムンダルー、トールコスのアビリティで直接カケラの点数を増やしていました。一方で、本来なら8人いるはずの仲間は5人に減っており、かなり厳しい旅だったことがうかがえます。
冒険者と仲間の組み合わせにより、冒険の旅路は大きく変わります。たとえば、ノクティルキャはアビリティがダイス3つの出目が同じとき5点なのですが、初期ダイスが2つなので、アビリティで稼ぐためには何らかの形でダイスを1つ増やす必要があります。スカウトがうまくいかないときでも、ダイスを確実に1つ増やしてくれるスケタルは必須の仲間といえます。
マップ裏面は「闇の群島」となっていて「出目のエレメントの合計数が航路と一致すれば移動できる」というルールになるので、「影の領域」とはまた別のプレイ感覚になります。
対戦ゲームではあるものの、基本的には「いかに光のカケラを集めるか」を追求して仲間を加え冒険を進めていくので、途中で得点を奪い合うのではなく、それぞれの冒険の結果が最後に照合されて勝者が決められるという印象でした。
ただし、確実に相手の邪魔をする仲間も存在します。1体はこの「カァール」。カァールが誰かの仲間に加わると、ゲームに「黒いダイス」が加わります。
黒いダイスも他のダイスと同様、出目のエレメントの所に置かれます。ただし、黒いダイスは、出目と同じエレメントを「なかったものにする」という呪い効果があります。カァールを仲間にしているとこの呪いを受けないので、プレイヤーが「黒ダイスを持っているからこの仲間は取りにくい」というときでもカァールを仲間にしたプレイヤーは気にせずプレイできます。
そして、非常に厳しいのがこの「ザールゴーキ」。仲間に入れると1点を失いますが、「火」2が出ると墓場に行くと同時に、他のプレイヤーに呪いトークンを残していきます。呪いは条件を満たすと発動するのですが、内容は「足跡トークンを3つ失う」「光のカケラを5個~7個失う」「仲間が1人死ぬ」と、どれも食らいたくないようなものばかり。冒険が滞ることは間違いありません。
カードとコンポーネントの数が多いこの種のゲームはルールが難解だったり、どう処理するのか説明書を読み直さなければならないようなものがあったりするのですが、「グロウ」は凝ったゲームでありつつもプレイしてみると、手番で長時間悩むことも少なく、一本道ですいすいと進む印象でした。
仲間も様々な能力があって「こいつは役に立たない」ということはなく、どういった編成でカケラを集めるかはプレイヤーの腕次第。デザインも個性的で、見た目優先でパーティーに加えたい仲間もいたりします。また、いい感じのパーティーになっても、最後はダイスの出目が全てを決めるので、「初回プレイでルールをあまり知らないから勝てない」ということもなく、バランスも絶妙でした。
「グロウ~トモシビノタビ~」はAmazon.co.jpで、記事作成時点では4852円で販売されています。
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