レビュー

精霊が能力を振り絞りどんどん押し寄せてくる侵略者から島を守る協力型ボードゲーム「スピリット・アイランド」レビュー


「精霊の島(スピリット・アイランド)」に住まう精霊たちが、島にやってきては略奪を行いどんどん島を荒廃させる侵略者たちを追い出すために団結して戦いを挑むゲームが「スピリット・アイランド」です。

精霊たちの力は千差万別で、それぞれ超自然的な力を用いたり、数世紀前から島に住み精霊とともに暮らしている人類・ダハンと協力したりして侵略者を排除しようとしますが、侵略者たちはどんどんと後続の遠征隊を送り込んでくるため、そう簡単には島から追い出すことはできません。


2021年1月にこのゲームの日本語版がエンゲームスから登場したので、島を侵略者の手から守り切れるか、実際に遊んでみました。

スピリット・アイランド - Engames Shop
https://www.engames-s.com/product/2028

◆目次
開封
プレイ準備1:侵略者ボード
プレイ準備2:島ボード&サプライ配置
プレイ準備3:プレイヤー準備
ゲームプレイ:ゲームの流れ&精霊フェイズ
ゲームプレイ:即効能力フェイズ
ゲームプレイ:侵略者フェイズ
ゲームプレイ:遅延能力フェイズ
ゲームプレイ:時間の経過
ゲームプレイ:その後の島

◆開封
箱はこんな感じ。


プレイ人数は1~4人、プレイ時間目安は90分~120分以上、対象年齢は14歳以上です。


「精霊の島(スピリット・アイランド)はあなたたちの助けを求めている」


内容物はかなり多め。


カードやコンポーネントも多く、プレイ前の準備にちょっと時間がかかるので、初プレイ時は開封作業を早めに進めておいた方が無難です。


◆プレイ準備1:侵略者ボード
プレイ時はまず、侵略者ボードの準備から始めます。これが「侵略者ボード」。


中央の不安プールという枠の上に「不安マーカー」をプレイ人数×4枚置きます。4人プレイだと16枚です。


15枚ある不安カードをよくシャッフル。裏返した状態で、3枚を「不安デック」上に置きます。続いて、恐怖レベル3のディバイダーを挟んで再び不安カードを3枚置き、次は恐怖レベル2のディバイダーを挟んで、みたび不安カードを3枚置きます。


このように不安カード3枚おきにディバイダーを挟み込む形です。


続いては侵略者カード15枚から「侵略者デック」を作ります。侵略者カードは裏面イラスト上部に「I」と書かれたものが4枚、「II」が5枚、「III」が6枚あるので、一緒にはせずに「I」のみ・「II」のみ・「III」のみでシャッフルして、各カード束から1枚ずつ裏返したまま箱に戻してゲームから取り除きます。


残った12枚は、まず「III」5枚を侵略者ボード右下の「遠征」の欄に置き、次に「II」4枚、そして「I」3枚を重ねて山にしておきます。つまり、侵略者の行動は3つのステージに分かれているということです。


次は、侵略者ボード右側中央の上にある「荒廃」エリアに、荒廃駒をプレイヤー1人につき5個置きます。


◆プレイ準備2:島ボード&サプライ配置
侵略者ボードの準備が完了したら、島ボードの設置を行います。ボードは4枚あり、海の部分の「A」から「D」のアルファベットが割り振られていますが、「1人プレイのときはAを使う」と決まっているわけではなく、プレイ前にシャッフルし、ランダムなものを使用します。


裏面はゲームバランスよりテーマを優先した「テーママップ」。アートが写実的なものになっただけではなく、配置もより現実的なものに寄せてあり、難度がアップします。ゲームに慣れるまでは先ほどの表面を使用したほうがベター。


ソロプレイの場合、島ボードは任意の1枚。2人プレイだと海が両側に来るように任意の2枚を配置して、細長い島として使います。


3人プレイだと、ちょっとゴツゴツとした丸い島に。


そして4人プレイだと最大サイズの島になります。


島を作ったら、島ボード上のアイコン表示に従って駒を配置します。この時点で配置する駒は以下の4種類。左から町駒、都市駒、ダハン駒、荒廃駒。


「海A」の島ボードを例に取ると、2に都市とダハン、3にダハン×2、4に荒廃、6にダハン、7にダハン×2、8に町を置きます。どのボードも、海以外の地形が2つずつあり、配置される駒の総数は同じです。なお、このとき島ボード上に置く荒廃駒は、先ほど侵略者ボード上に置いたものとは別に箱から取ってきてください。


続いて、小能力カード36枚と大能力カード22枚を、それぞれシャッフルして山を作り、ボード周辺に置きます。


精霊力マーカー、都市駒、町駒、遠征隊駒もボードの近くに置いておきます。駒は毎ターンかなり動かすことになるので、きれいに並べておく必要はありません。


◆プレイ準備3:プレイヤー準備
ようやくプレイヤー準備で、マーカーと精霊の選択に入ります。4色のマーカーのうち好きな色を選び、木製の分厚い「存在マーカー」と紙製の「1ターン効果マーカー」をすべて受け取ります。精霊ごとに色が決まっているわけではありません。


続いて、8体いる精霊から自分がプレイしたい精霊を選びます。「稲妻の迅き一撃」「陽光を浴びた大河のうねり」「生命に満ちた大地の力」「炎のごとく揺らめく影」はプレイ内容の複雑度が低く、初心者でも安心な精霊です。


雷と話す者」「生い茂った緑の広がり」「大海の飢えた一飲み」「夢と悪夢の運び手」は、ややプレイ内容が複雑になるので、ある程度ゲームに慣れた人向けです。


それぞれ「精霊パネル」には当該精霊でプレイする際の最初の準備行動やプレイの指針、プレイの複雑度、攻撃・操作・不安・防御・有用性の5つで示された概要が示されています。複雑度が低めな精霊のうち、攻撃型の「稲妻の迅き一撃」の場合はこんな感じ。


同じく攻撃型でも、複雑度高めの「大海の飢えた一飲み」だとこんな感じ。


パネルの反対面には、精霊をプレイしたときの行動内容が記されています。


まずは裏面の「準備」に従って存在マーカーを配置します。「稲妻の迅き一撃」の場合、「あなたの初期ボード上で、最も番号が大きい沙漠に存在マーカーを2枚置く」とあるので、島の中でも自分の目の前にあった海Aのボードで最も番号が大きい「7」の沙漠に存在マーカーを置きました。準備は精霊によって異なり、存在マーカーを最初から3枚配置する精霊もいます。最初の存在マーカーの配置だけはそれぞれ別の島ボードに行いますが、以後は別の島ボードに進出していって問題ありません。


また、初期配置が終わったら表面の「存在」欄の「各ターンの精霊力」と「カードプレイ」のトラックの点線で描かれたスペースに存在マーカーを置きます。要するに、左端の2つだけ見えていればOK。存在マーカーが1つ余りますが、これはゲームから除外しておきます。


必要があれば、ルールや進行の早見カード2枚を配布します。


そして、裏面が精霊のイラストになっているカードをそれぞれの精霊のプレイヤーに配ります。複雑度低の精霊は5枚、複雑度中・高の精霊は4枚あります。


カードのうち4枚は精霊が初期状態から使用可能な固有能力カードです。


複雑度低の精霊にのみあるのが「能力進行カード」です。これはゲームプレイ中に獲得することがある「小能力」「大能力」のうち、プレイする精霊に向いているカードを事前に見繕ってくれるもの。通常、能力獲得は「カードを4枚引いて1枚を保持し、残り3枚を捨て札にする」という手順なので、どの能力が有用なのかを検討する必要がありますが、その判断をしなくても済むというわけです。


該当するカードは、それぞれカードの左上と右下に能力進行カードと同じ色がつけられています。


「能力進行カード」で抽出したカードは、あくまで「能力獲得時はこれがオススメ」と抜粋されたもので、プレイ開始時にはまだ能力獲得前なので、固有能力カードとは別の場所に置いておきます。


これでプレイヤーの準備も完了。仕上げに、侵略者ボードの「遠征」欄に置いた侵略者デックの1番上のカードをめくります。


侵略者は島にある都市・町から遠征隊を出すほか、海から新手が押し寄せてくるということで、カードで示された土地のうち、「町・都市がある」「町・都市がある土地か海に隣接している」のいずれかに該当すると遠征隊駒が配置されます。


◆ゲームプレイ:ゲームの流れ&精霊フェイズ
このゲームは、1ターンが「精霊フェイズ」「即効能力フェイズ」「侵略者フェイズ」「遅延能力フェイズ」「時間の経過」の5つで構成されています。


最終的に「侵略者が島を放棄」すれば精霊の勝利です。そのパターンは、

恐怖レベル最大:不安カードをすべてめくる
恐怖レベルに応じた侵略者排除:恐怖レベル1のとき島に侵略者がいない or 恐怖レベル2のとき島に町・都市がない or 恐怖レベル3のとき島に都市がない

のいずれか。一方で、敗北は以下の3パターンがあり得ます。

島の荒廃:侵略者ボード上の荒廃駒がなくなる
いずれかの精霊の消滅:配置されたいずれかの精霊の存在マーカーが0になる
時間切れ:侵略者デックが残り0枚になる(次にカードを引く機会に侵略者カードを引けない場合)

最初のフェイズは、精霊がそのターンの行動を決定する「精霊フェイズ」です。精霊フェイズでは、プレイヤーは「成長」「精霊力の獲得」「能力カードの使用とコストの支払い」の3つを順番に行います。

「成長」は、精霊パネルの上部に示された行動グループの1つを選び、実行します。「稲妻の迅き一撃」の場合、「カードの回収・能力カードの獲得(1枚)・精霊力の獲得(1ポイント)」「存在を1追加(到達距離2)・存在を1追加(到達距離0)」「存在を1追加(到達距離1)・精霊力の獲得(3ポイント)」の3つから選びます。なお、示された行動はすべて実行しなければいけませんが、グループ内の行動をどの順番で行うかはプレイヤーが決めてOKです。


「カードの回収」は使用した能力カードの全回収のことなので、1ターン目に行うのは無駄。「存在を追加」は、いずれかの存在トラックの存在マーカーを「到達距離」(自分の存在マーカーがある位置からの距離)内にあるマップ上の任意の土地に追加できます。基本的に、精霊は存在がある場所を起点に力を振るうので、できるだけ存在マーカーは広く展開した方が、島の上のあちこちにいる侵略者に対応できます。……ということで、最初は「存在を1追加(到達距離2)・存在を1追加(到達距離0)」をプレイすることにします。存在マーカーを置くと、精霊の存在が強くなり、各ターンに得られる精霊力やカードプレイ枚数が増加します。以下の例では上のトラックのマーカーを2つ使いましたが、どちらから取ってもOK。どう成長させていくかが今後の戦いに影響していきます。


各精霊がそれぞれの「成長」を行った結果、島はこんな感じに。


続いて「精霊力の獲得」。「稲妻の迅き一撃」が得られる精霊力は初期状態だと1ですが、マーカーを2つ置いたことで精霊力を2獲得できるようになりました。


そして「能力カードの使用とコストの支払い」です。能力カードは左上の数字が使用時のコストで、コストを囲んでいる輪の色で「即効能力」(赤)と「遅延能力」(青)の2種類に分かれます。使用できるカードの枚数は精霊の「存在」欄で示されたカードプレイ枚数で決まっており、また、持っている精霊力でコストの支払いができないカードはプレイできません。今回は他精霊の援護として、任意の精霊の遅延能力2つを即効能力として使えるようになる「稲妻の恵み」を使用。支払うコストはカードの上にのせておくと、支払い忘れが起きにくくなります。


このフェイズは、「目の前の侵略者にどう対応するか」と、すでに侵略者ボードに見えている「次の侵略者の行動をどう防ぐか」の2つを、それぞれの能力を使ってどう防ぐかを考えるので、かなり時間がかかります。よほど行動指針が絞られている場合を除くと、5分以上かかるケースもありました。

使用能力も出そろったら、次のフェイズに移ります。


◆ゲームプレイ:即効能力フェイズ
精霊がすべての行動を決定したら、まず「即効能力」が発動します。どの精霊のどの能力が最初に発動するかは自由に決めてOKですが、ある能力の発動中に別の能力で割り込むことはできません。

先ほど「稲妻の迅き一撃」がセットした「稲妻の恵み」の効果で、「生命に満ちた大地の力」が自分の遅延能力「実り豊かな大地の渓谷」を即効能力として使用します。効果は「遠征隊駒を2つまで集める。ダハン駒を2つ集める」というもので、到達距離は1、対象の土地は任意。


「駒を集める」の効果は、対象の土地から到達距離1(隣接)の土地にいる該当駒を、対象土地に向けて移動させることができるというもの。遠征隊駒を集めておいて、この先のフェイズでの処理を狙った動きです。


なお、カードの左端には「エレメント」が記されています。プレイするカードのエレメントの数が、精霊の先天能力の発動条件を満たしている場合、即効・遅延の条件に従って発動することができます。下記の「炎のごとく揺らめく影」の場合、この4枚で得られるエレメントは上から順に「月」×4、「火」×2、「大気」×3、「植物」×1、「動物」×1。エレメントは「消費」ではなく「存在するかどうか」なので、先天能力「不用心な者を飲み込む闇」の2段目までの効果を得られます。もし「火」を+1することができれば、3段目の効果も得られます。


また、精霊独自の特殊ルールとして、「稲妻の迅き一撃」は「大気」のエレメント1つごとに、遅延能力を即効能力として使うことができます。


このフェイズは各自、大きな動きはありませんでした。


◆ゲームプレイ:侵略者フェイズ
精霊が即効能力を使ったあとは、侵略者が動き出します。侵略者フェイズの処理内容は「荒廃した島」「不安」「略奪」「建設」「遠征」「侵略者カードの移動」の6つ。このうち、「荒廃した島」は今回のルールでは処理しません。

「不安」は、精霊の能力や、町・都市の破壊により発生するもので、1つ発生すると侵略者ボードの不安プールからマーカーが1つ「生み出された不安」に移動します。


マーカーがすべて「生み出された不安」に移動したとき、不安デックの一番上のカードを1枚、「獲得した不安カード」に移動させます。こうして得た不安カードを、ここで解決します。1ターン目は不安カードがないので、何も処理はありません。


次は「略奪」。侵略者カードで示された土地に侵略者駒があるとき、遠征隊は1点、町は2点、都市は3点のダメージを土地とダハンにそれぞれ与えます。もし土地が2点以上のダメージを受けたら、侵略者ボード上の荒廃マーカーを1つ該当する土地に移動させます。

たとえば以下の例だと、遠征隊・町・都市がそれぞれ1つずつあるので、ダメージは合計6点。


これにより、荒廃マーカーが1つ付与されます。なお、2点以上のダメージなら3点でも10点でもマーカーは1つです。


また、ダハンは1体につき2の体力があり、町や都市から攻撃を受けると倒されてしまいます。しかし、受けたダメージが1だったときは駒を裏返すだけで生き残り、同じ土地にいる侵略者のいずれかに対して反撃して2のダメージを与えます。以下の場合、ダハンは遠征隊から1のダメージを受けました。しかし、反撃で遠征隊に2のダメージを与え、倒します。


町や都市もダメージを受けると駒を倒して表現します。


実際は1ターン目には「略奪」はなく、最初の動きは「建設」。侵略者カードで示されている土地のうち、侵略者駒がある土地で、町の数が都市より多い場合は都市を、そうではない場合は町を建設します。以下の土地はすでに町が1つあるので都市ができました。


こっちは遠征隊がいるので、町ができました。


あちこちへの建設を終えた結果、島中に町がわんさか誕生。


しかも、このあと「遠征」が来ます。処理はゲーム開始時のものと同じ。序盤は都市や町の破壊がそれほど進まないので、ターンごとに新たな遠征隊がうじゃうじゃと湧いてきます。


一連の処理が終わったら、侵略者カードは1つ左にずれます。つまり「遠征」に出た土地で次のターンに「建設」が行われ、さらに次のターンに「略奪」があり、最後は捨て札になる、という順です。


◆ゲームプレイ:遅延能力フェイズ
嵐のように侵略者のフェイズが終わると、精霊の能力のうち遅延能力を処理するフェイズになります。

「炎のように揺らめく影」の能力「恐怖の外套」は、不安×2を発生させ、任意の精霊を対象として存在マーカーのある土地から遠征隊1つと町1つを押し出せるというもの。不安をじわじわためていきます。


遅延能力は侵略者の動きより後に発動するため、土地によっては略奪が行われて荒廃してしまうケースもありますが、建設・遠征が行われた後でもあるので、次の略奪や建設を防ぐ行動が可能。精霊全員が即効能力ばかり使っていると、遠征に対して無防備になってしまうので、精霊によっては遅延能力をいかにうまく使って遠征隊の作業を妨害するかがキーとなります。

◆ゲームプレイ:時間の経過
ターンの最後は「時間の経過」。プレイしたカードがすべて捨て札になるほか、エレメントとダメージがすべて消滅します。ひっくり返っていたダハンや横倒しになっていた町・都市は元通りになります。つまり、町や都市を破壊したいのであれば、1ターンの間に集中的に攻撃する必要があるというわけです。


◆ゲームプレイ:その後の島&別の島
精霊がその強大な力で侵略者を追い払っても、すぐに海や町から遠征隊が出てくるといういたちごっこの中、じりじりと侵略者はステージIIに突入。すると、連続で沙漠への遠征が登場。うまく備えられればしばらく沙漠が安泰になるところでしたが、対応しきれず厳しい状況に。


さらに、ステージIIの侵略者カードで厳しい「沿岸の土地」が登場。通常の土地なら島ボード1つあたり2カ所ですが、沿岸は該当するのが3カ所。


しかも海に接している以上、絶対に遠征隊が現れます。おかげで、海岸線はひどいことに……。


それぞれの町が同じ土地にいる遠征隊を破壊するという、強力な「不安」効果でちょっと盛り返す精霊。不安カードが3枚出るごとに侵略者の「恐怖レベル」が上がり、不安カードの効果が強化されるほか、勝利条件が緩和され、精霊の勝利の目が大きくなります。


しかし、さすがに侵略者の勢力拡大を止められず、とうとう沙漠に2つめの荒廃が発生。同じ土地に2つめの荒廃が発生すると、周囲の土地のいずれかに荒廃が連鎖します。連鎖先は精霊たちで話し合って決めてOK。


岩山に連鎖させることにしましたが、存在マーカーのある土地が荒廃すると、存在が消えてしまいます。


連鎖はさらなる連鎖を呼び、気がつけば、侵略者ボードから手にしたのは最後の荒廃駒。ということは……


精霊の敗北です。


別の島では、複雑度の高い精霊「夢と悪夢の運び手」を呼び出しました。この精霊の先天能力「精霊もまた夢を見る」は、任意の裏向きの不安カード1枚を表向きにするという効果があり、次に出る不安カードの効果が何かを事前に知ることができます。「夢を悪夢の運び手」は特殊能力「千の死を夢見て」により、能力で遠征隊・町・都市を破壊しそうになると代わりに不安を生み出すため、うまく能力カードと組み合わせて、ガンガン不安を産出しては不安カードをめくるというサイクルを確立。


恐怖レベルを3まで進めて、島内の都市を一掃し、「恐怖レベル3のとき島に都市がない」という侵略者排除条件で勝利を収めました。


何度かプレイしてみましたが、精霊によってプレイスタイルが全く異なるため、毎回まったく違う新鮮なプレイ経験が得られます。また、同じ精霊でプレイしたときでも、島ボードの配置が違うと開始時の存在マーカーの位置が異なり、さらに侵略者の初動も異なるため、まったく同じ動きでは対応できず、やり応えもあります。

ゲーム難度も、早々に投げてしまうほど難しくはないものの、「これはさすがに勝っただろう」と確信を持てるようになるのは本当に終盤という絶妙なバランス。

難点があるとすれば、コンポーネントの多さからもわかるルールの複雑さ。プレイすればわりとつかめるものなのですが、そこまでは「これはこの解釈で合っているんだろうか」と何度もルールブックを読み返すことになりました。

なお、上記のプレイは設定されている難易度でいうと「0」レベルで、いわばチュートリアルプレイ。ここにさらに、規定の荒廃駒がカード上からなくなると「荒廃した島」になって各精霊の存在マーカーが1つ破壊されるルールや、「シナリオ」や「敵対国」の設定が加わることで、難度は格段にアップしていくことになります。

用意されているシナリオは「ダハンの暴動」「恐怖の儀式」「島の中心部の防衛」「急襲」の4本。


「急襲」は難易度0、つまりシナリオなしのときと難易度変化のないシナリオ。すべての「遅延」が「即効」扱いになり、もともと「即効」の能力は精霊力コストが1減少。コストが0の即効能力なら、使用するたびに精霊力を1得られるようになります。一方で、ゲーム開始準備時の侵略者の行動がもう1セット増えて、最初の精霊フェイズより前に1回目の「建設」が行われるほか、「遠征」時に追加される遠征隊が1つ増加します。


難易度3のシナリオ「恐怖の儀式」。「恐怖レベル」を上げるにあたって不安カード3枚の獲得ではなく、「各精霊の存在マーカーが少なくとも1つはあり、プレイ人数×3のダハンがいる」土地で合計3精霊力の支払い&存在マーカー3つを破壊することで行える「恐怖の儀式」が必要になります。


登場する敵対国は「ブランデンブルク=プロイセン王国」「スウェーデン王国」「イングランド王国」の3つ。「レベル」0のままでもステージIIの効果が強化されて難度が上がりますが、さらに難しさを加速させるレベル設定が6まであります。


それぞれのシナリオと敵対国の難易度をまとめた表がコレ。注意書きがあるように、精霊の能力と敵対国の特性との相性もあるので、一概にこの通りとはなりません。


プレイした編集部員の感想は総じて「めちゃくちゃ難しい……けど、面白い」というものだったので、歯ごたえのあるゲームに複数人協力プレイで挑んでみたいという人は、ぜひプレイしてみてください。ソロプレイも可能ですが、精霊1体で戦うことになり、弱点を誰も補ってくれないので、これもなかなかの難しさです。

「スピリット・アイランド」は記事作成時点ではイベント販売分以外在庫切れで、再生産中となっています。

スピリット・アイランドがイエローサブマリンさまの週間販売ランキングにて1位を獲得いたしました。Engamesの出版作品としては、初めてのことであり、大変うれしく思っております。

本商品は、現在、イベント販売分以外は在庫切れとなっており、再生産を進めております。 https://t.co/6gQWIiFAqV

— Engames (@EngamesToyama)


定価は税込9900円です。

Amazon | スピリット・アイランド 日本語版/Engames/R. Eric Reuss | ボードゲーム | おもちゃ

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in レビュー,   ゲーム, Posted by logc_nt

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