AppleとGoogleは「アプリ内の支払いオプションを増やすべき」「アプリの収集情報を隔離すべき」など当局が調査報告で指摘

AppleおよびGoogleはiOSとAndroidというスマートフォン向けのOSで市場を二分しており、世界中で独占禁止法に関する調査を受けています。オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)も2020年9月頃からAppleおよびGoogleが提供するアプリストアについて調査を進めており、2021年4月28日、同調査における2回目の中間調査報告を発表しました。
このレポートはスマートフォンを始めとするモバイルデバイスにおける、モバイルアプリの配布に関する競争や消費者問題に焦点を当てています。

Digital platform services inquiry - March 2021 interim report | ACCC
https://www.accc.gov.au/publications/serial-publications/digital-platform-services-inquiry-2020-2025/digital-platform-services-inquiry-march-2021-interim-report

Dominance of Apple and Google’s app stores impacting competition and consumers | ACCC
https://www.accc.gov.au/media-release/dominance-of-apple-and-google%E2%80%99s-app-stores-impacting-competition-and-consumers

まずACCC会長のロッド・シムズ氏は、現代ではアプリがニュースへのアクセスのほか、友人との連絡、ストリーミングサービスの利用、食事、買い物など日常生活において必須のものになっていると言及。その上で、消費者によるアプリ利用に関して、iOSユーザーはAppleのApp Storeでしかアプリをダウンロードできず、Androidユーザーのアプリダウンロード場所のメインはGoogle Playになっていると述べました。

そしてAppleとGoogleのアプリストアは、消費者と開発者の双方でゲートとして機能し、両者に利益を提供しているものの、一方で市場での運営については問題があると指摘しました。

AppleやGoogleは市場を提供していることに加え、自社アプリをその市場で他のアプリと競争させています。しかし、その立場上、他社のアプリよりも自社アプリを優先してプロモーションする能力と動機を持ち、規約で「アプリストアを利用するには遵守しなければない条件」を課すことで、サードパーティー製のアプリに制限を課しているとのこと。

「この問題に対処するには、アプリ開発者が『消費者に発見されやすいアプリの作り方』をもっと知る必要があり、消費者がデフォルトあるいはプリインストールされているアプリを容易に変更もしくは削除できるようにすべきです。またAppleとGoogleは自社のアプリを優位に立たせるためにサードパーティーアプリの情報を収集することをやめなければなりません」とシムズ氏は述べています。

加えてシムズ氏は、「アプリ開発者がアプリ内課金においてAppleやGoogleの支払いシステムの利用を強制されていること」を懸念点として挙げているほか、両社は悪意のあるアプリの排斥について、さらに多くのことが行えるはずだと指摘しました。

ACCCは上記の調査結果に基づき、「代替となる支払いオプションの提供」「サードパーティーアプリの収集情報の隔離」「プリインストールアプリに関して消費者の選択肢を増やすこと」など、いくつかの提案を行っています。

なお、ACCCは引き続き調査を行っていく予定であり、3回目のレポートは2021年9月30日に財務担当者に提出される予定とのことです。