ファイザー製の新型コロナワクチンは投与から6カ月が経過しても有効、南アフリカの変異株にも
アメリカの製薬大手ファイザーが現地時間の2021年4月1日、ドイツのバイオテクノロジー企業BioNTechと共同開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」について、2回目の投与から6カ月が経過しても有効だとする分析結果を発表しました。
Pfizer and BioNTech Confirm High Efficacy and No Serious Safety Concerns Through Up to Six Months Following Second Dose in Updated Topline Analysis of Landmark COVID-19 Vaccine Study | pfpfizeruscom
https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-and-biontech-confirm-high-efficacy-and-no-serious
Pfizer's COVID-19 vaccine effective after 6 months and works against problem variant | Live Science
https://www.livescience.com/pfizer-vaccine-effective-six-months.html
ファイザーとBioNTechが「BNT162b2」の第III相臨床試験に参加した4万6000人以上を追跡した研究では、ワクチンまたは偽薬の投与から6カ月後までに合計927件のCOVID-19発症例が確認されました。このうち850件が偽薬を投与された対照群で確認されたものであり、ワクチンを投与された実験群での発症例は77件にとどまったとのことで、ワクチンの有効性は91.3%だったとファイザーは述べています。
調査で確認されたCOVID-19発症例のうち、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が「重度のCOVID-19症例」と定義するものは32件ありましたが、その全てが偽薬を投与された対照群で確認され、ワクチンを投与された人は重度の症状を示さなかったとのこと。また、ワクチンの有効性は年齢・性別・人種といった人口統計やさまざまな基礎疾患にかかわらず、おおむね一貫していたそうです。
今回の分析には、より感染力が高い変異株が流行する南アフリカに住む800人も含まれていましたが、実験群の人々がCOVID-19を発症するケースは確認されませんでした。800人という数は十分に多いとはいえないものの、南アフリカの変異株に対しても「BNT162b2」が有効である可能性が示唆されています。なお、対照群で確認されたCOVID-19発症例は9件であり、そのうち6件が南アフリカの変異株によるものだったとのこと。
ファイザーはワクチンを投与した4万4000人以上の被験者を追跡して安全性を調査しており、少なくとも1万2000人は2回目の投与から6カ月間にわたって追跡され、依然として重大な問題を呈していないことも報告しています。ファイザーの会長兼CEOであるアルバート・ブーラ氏は、「2回目のワクチン投与から最大6カ月間にわたり、南アフリカの変異株に対して観察された有効性の高さは、ワクチンの全体的な有効性にさらなる信頼を提供します」とコメントしました。
記事作成時点では、「BNT162b2」は16歳以上の人々に対しての接種が承認されていますが、ファイザーとBioNTechは子どもたちを対象にした臨床試験も進めています。ファイザーの発表によると、アメリカに住む2260人の12~15歳の子どもたちを対象に臨床試験を行った結果、100%の有効性と安全性が確認されたとのこと。
Pfizer-BioNTech Announce Positive Topline Results of Pivotal COVID-19 Vaccine Study in Adolescents | pfpfizeruscom
https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-biontech-announce-positive-topline-results-pivotal
Pfizer says Covid vaccine 100 percent effective in children ages 12 to 15
https://www.nbcnews.com/health/health-news/pfizer-says-its-covid-vaccine-100-percent-effective-young-teens-n1262550
12~15歳の子どもたちを対象にした実験では、約半数にCOVID-19ワクチンが投与され、残りの半数に偽薬が投与されました。その後の追跡調査で、被験者のうち18人がCOVID-19を発症したものの、その全ては偽薬を投与された対照群の被験者でした。また、ワクチンを接種した被験者のからは16歳以上の成人と同様に、ウイルスと戦うために十分な中和抗体も作られていることが判明したとのこと。
ブーラ氏は、「私たちは若い世代に対するワクチン使用の承認を拡大することが急務だと考えており、12~15歳の青少年を対象とした臨床試験データに勇気づけられました。これらのデータを数週間以内に緊急使用許可の修正案としてアメリカ食品医薬品局(FDA)や、その他の世界中の規制当局にも提出する予定です。これにより、次の年度が始まる前にこの年齢層に対するワクチン接種を開始したいと考えています」と述べました。
また、ファイザーとBioNTechは2021年3月下旬に、5~11歳の子どもたちを対象にした「BNT162b2」の臨床試験を開始したことも発表。4月中には2~5歳の幼児に対しての臨床試験を開始し、ワクチンの有効性と安全性を評価するとのことです。
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