生き物

卵から生まれる前にヒヨコのオスメスを識別する機械が誕生


ニワトリが産み落とす卵は人類の食卓に欠かせない食材の1つですが、採卵業においては卵を産まないオスは不要であるため、ヒヨコの段階で大量殺処分されています。こうした大量殺処分を減らすため、フランスの養鶏企業が「卵の段階からオスメスを識別する機器」を新たに開発しました。

French technology detects egg embryo sex to save killing male chicks
https://www.connexionfrance.com/French-news/French-technology-detects-egg-embryo-sex-to-save-killing-male-chicks

オスだと判明した段階で処分されるヒヨコはEU全体で年間3億匹に達すると算定されています。近年こうした慣行は動物の権利の観点から批判が強く、ドイツは他国に先駆けてオスヒヨコの大量殺処分を禁じています。

ドイツ、雄ひよこの大量殺処分禁止へ 世界初:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=20210122041076a


フランス政府も2020年に、「2021年末までにオスヒヨコの大量殺処分を禁じる」と公約しており、養鶏の効率化のためにヒヨコのオスメスを識別する技術が緊急に求められています。こうした状況の中、フランス・ブルターニュの養鶏企業Hy-Line FRANCEと養鶏専門のテクノロジー企業Agri Advanced Technologiesが、ハイパースペクトルによって卵内で形成されつつあるヒヨコの羽の色を識別し、オスとメスを見分けるという機器「CHEGGY」を開発しました。

Hy-Line FRANCEによると、CHEGGYの導入コストは低く、CHEGGYで鑑定した卵の価格は1箱で1円ほどしか増加しないとのこと。Hy-Line Franceのフレデリック・マッソンCEOは「オスのヒヨコが生後1日で殺されるというスキャンダルに比べれば本当に微々たるものです」と表現しています。


CHEGGYの他にも、ドイツのSeleggtがレーザーで卵殻を突き破り、女性ホルモンを識別する液体を注入するという技術を、イスラエルのEggXYTが紫外線で性染色体を照らし出すという技術を開発しており、孵化前にヒヨコのオスメスを識別する技術は複数の選択肢が存在する状況です。

しかし、Seleggtには2%の鑑定エラーと卵1個あたり1~2円ほどのコストがかかるという問題があり、イスラエルのEggXYTには遺伝的に干渉しているという批判があります。Hy-Line FRANCEのCHEGGYも識別が行えるのは産み落とされてから13日目以降の卵に限られており、鶏の卵は13日時点で胚からくちばし・毛・足などが形成されつつある段階であることから、「卵を割ってオスメスを識別するのと大差ない」と非難する声が上がっています。

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in 生き物, Posted by darkhorse_log

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