デザイン

「計算機科学の父」アラン・チューリングを採用したイギリス50ポンド紙幣の新デザインが発表される


イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁が、2021年3月25日に新しい50ポンド紙幣のデザインを発表しました。プラスチック製の新しい50ポンド紙幣に描かれる人物は、イギリスの数学者で「計算機科学の父」「人工知能の父」と呼ばれるアラン・チューリングで、チューリングの誕生日である2021年6月23日に発行されます。

The new £50 note unveiled | Bank of England
https://www.bankofengland.co.uk/news/2021/march/the-new-50-note-unveiled


Alan Turing Honored As The Face Of The U.K.'s New 50-Pound Bank Note : NPR
https://www.npr.org/2021/03/25/981242121/new-u-k-currency-honors-alan-turing-pioneering-computer-scientist-and-code-break


アラン・チューリングが新50ポンド紙幣の肖像に起用されることは、2019年に発表されました。

天才数学者アラン・チューリングが新50ポンド紙幣の肖像に - GIGAZINE


新50ポンド紙幣の表面にはエリザベス女王の肖像が描かれています。イギリスでは既に10ポンド紙幣・20ポンド紙幣がプラスチック製のポリマー紙幣に置き換えられており、50ポンドもポリマー紙幣で発行される予定。50ポンド紙幣には偽造防止のためにホログラム画像やホイルの組込み、透かしが採用されています。また、左上隅には視覚障害者が判別できるための凹凸がついているとのこと。


そして新50ポンドの裏面はこんな感じ。中央にはチューリングの肖像が描かれており、背景には1936年に発表されたチューリングの論文「(PDFファイル)On Computable Numbers, with an application to the Entscheidungsproblem」にある数表と公式が書かれています。また、数表と公式の下にあるリボンに書かれているのは、チューリングの誕生日である19120623を2進数に変換したもの。さらにチューリングの業績に関わる技術図面も背景にあしらわれています。さらに名前の横には「This is only a foretaste of what is to come and only the shadow of what is going to be.(これはこれから起こることの前触れであり、影でしかありません)」と、チューリングが1949年のインタビューで語った一節が書かれています。


チューリングは第二次世界対戦時にドイツ軍の暗号機「エニグマ」を解読した人物として知られています。その後、計算機科学の基礎となる理論を発表し、人工知能についての研究分野を開拓しました。

しかし、チューリングは1952年に同性愛であることを理由に不当に逮捕され、1954年に青酸カリによる自殺を遂げました。このことに対し、チューリングの死から50年以上経った2012年にチューリングの名誉を回復することが政府で審議され、2013年にエリザベス女王の名をもって正式に恩赦となりました。

ベイリー総裁は「お金には国民的キャラクターが描かれます。私たちは紙幣で国民を祝福する権利があります。そのため、イギリスで最も重要な科学者の一人であるアラン・チューリングが新たに50ポンドに描かれたことを嬉しく思います。チューリングは、第二次世界大戦の終結に貢献したエニグマの解読で最もよく知られています。しかし、彼は一流の数学者であり、発生生物学者であり、コンピュータサイエンスの分野における先駆者でもありました。彼はまたゲイであり、その結果ひどい扱いを受けました。彼をポリマー製の新50ポンド紙幣にデザインすることで、私たちは彼の業績と彼が象徴する価値を祝っています」とコメントしました。

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in デザイン, Posted by log1i_yk

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