メールソフト「Thunderbird」が2億5000万円超の寄付金やその使い道を示す2020年の財務報告書を公開
オープンソースのMozillaプロジェクトから生まれたメールソフトの「Thunderbird」は、2020年1月にMozilla Foundationの完全子会社となりました。そんなThunderbirdが、2020年の財務報告書を公開しました。
Thunderbird 2020 Financial Report
https://groups.google.com/g/tb-planning/c/-jbmYvYdX1g
Thunderbirdのコミュニティ&ビジネス開発マネージャーを務めるライアン・サイプス氏は、2020年のThunderbird財務報告書を公開した理由について、「プロジェクトが非常に健全であることを報告できてうれしく思います。このレポートではコミュニティを支えるユーザーからの幅広いサポートを明確に示すことができていると思います」と記しています。
2020年はThunderbirdにとって最高の年となったそうで、寄付金は年間で230万ドル(約2億5000万円)以上集まっています。月別の寄付金総額をまとめたグラフが以下で、赤色が2019年の寄付金、青色が2020年の寄付金を示しています。特に11月と12月には30万ドル(約2500万円)超の寄付金が集まっており、他の月よりも10万ドル(約1100万円)以上も多くの寄付金が寄せられています。
年別の寄付金総額を比較すると以下の通り。年々寄付金の総額は増加しており、2020年にはついに200万ドルの大台を突破。
そして2020年のThunderbirdの支出内訳が以下の通り。2020年の総支出は155万152ドル(約1億7000万円)で、内訳は「Personnel(人事)」(82.5%)「Professional Services(専門サービス)」(10.6%)「Donation Transaction Fees(寄付金にかかる手数料)」(4.8%)「General&Administrative(一般・管理部門)」(0.9%)「Computer&Technology(コンピューターテクノロジー)」(1%)「Events&Travel(イベント&トラベル)」(0.2%)。2020年のメイン収入である寄付金の総額が230万ドルなので、支出を大きく上回る収入を得られています。
Thunderbirdの支出の大部分を占めているのが、「人事」部門。Thunderbirdは記事作成時点で15人の従業員を雇用しており、その内訳は以下の通り。
・テクニカルマネージャー×1
・コミュニティ&ビジネス開発マネージャー×1
・エンタープライズサポート&ドキュメンテーションエンジニア×1
・アドオン・コーディネーター×1
・リードUXアーキテクト×1
・セキュリティ・エンジニア×1
・シニアデベロッパー×2
・デベロッパー×4
・インフラチームリード×1
・ビルドエンジニア×1
・Thunderbirdリリースエンジニア兼ウェブインフラエンジニア×1
なお、Thunderbirdの会計担当者は「2021年も収益は増え続けることを期待している」と記しており、良好な財務状況をサポートしてくれたすべてのユーザーとコミュニティに感謝の意を示しています。
これとは別に、Thunderbirdのインストール数に関する統計も公開しています。
以下は2020年3月21日から2021年3月21日にかけてのThunderbirdのデイリーアクティブインストール数(ADI)と、7日間のADIを平均した数値を示したグラフ。2021年3月21日時点でのADIは約500万人で、7日間平均は約800万人。曜日別にチェックしてみると、ADIは平日が高く休日は低くなっており、休日にThunderbirdを開く人が少ないことがはっきりとわかります。
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