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年3億円も新卒コンサルタントに政府が支払った背景には何があるのか?

by Austin Distel

コンサルティング企業のマッキンゼーがトランプ大統領の移民政策を構築したと、2019年12月4日付けでThe New York TimesとProPublicaが報じました。マッキンゼーが民間企業だけでなく政府を顧客にしていることはかねてから知られてきましたが、なぜ政府がマッキンゼーに高額を支払うことになったのか作家のMatt Stoller氏が論じています。

Why Taxpayers Pay McKinsey $3M a Year for a Recent College Graduate Contractor
https://mattstoller.substack.com/p/why-taxpayers-pay-mckinsey-3m-a-year

The New York Timesで告発記事を書いた弁護士でありジャーナリストでもあるIan MacDougall氏によると、アメリカ合衆国移民・関税執行局(ICE)はマッキンゼーとパートナー関係を結んでおり、政府が違法移民の取り締まりを行うための方法をマッキンゼーに任せました。マッキンゼーのコンサルタントは移民のための食費や医療費、被拘禁者の監督費などを削減する提案を行っており、一部のICE職員から批判を受けていたとのこと。リークされた文書からは、いかにICEがマッキンゼーに依存していたのか読み取れるようになっています。

How McKinsey Helped the Trump Administration Detain and Deport Immigrants — ProPublica
https://www.propublica.org/article/how-mckinsey-helped-the-trump-administration-implement-its-immigration-policies


Stoller氏によるとマッキンゼーのサービスは非常に高価であり、ボストン・コンサルティング・グループで働く新卒コンサルタントが政府に対し週3万3063.75ドル(約360万円)を請求していたのに対し、マッキンゼーの「ビジネス・アナリスト」は週5万6707ドル(約620万円)、年間294万8764ドル(約3億2000万円)で貸し出されていたとのこと。このビジネス・アナリストは時に学生であったり、まったく経験のない人物であったりしたそうです。

なぜマッキンゼーがこのような高値で取引できるかという理由について、Stoller氏はまず「非倫理的な戦略を取っているから」だと述べています。連邦財産や公文書の管理を行うアメリカ共通役務庁(GSA)の監査官は2019年7月、GSAはマッキンゼーと政府の契約をキャンセルすべきだという(PDFファイル)意向を明らかにしました。監査官は以下のように、マッキンゼーの高額すぎる受注額を公開し、GSA内部が腐敗していると指摘しました。


なぜマッキンゼーとの契約額が高額になったのかというと、理由は単純で、マッキンゼーが既に高額だったIT専門家のサービス価格を10~14%引き上げたためだとStoller氏は説明しています。値上げの提案について契約担当者は「ばかげている」として断ったそうですが、これを受けてマッキンゼーは担当者の上司である事業本部長に対し、2016年に「Schedule 70の契約担当者が、この契約がいかに政府に利益をもたらすのかを理解することができれば、非常に役立つはずです」とメールを送ったとのこと。

この嫌がらせメールは機能し、最終的に事業本部長はマッキンゼーの提示する額で契約を更新。事業本部長は監査官にうそをつき、価格データを操作し、単独契約のルールを破り、アメリカ海洋大気庁を含むさまざまな政府当局にマッキンゼーを使うように提案したとのこと。後に事業本部長は「私の唯一の関心は請負業者を助けることにありました」と述べています。


マッキンゼーがオリジナルの価格明細にサインした2006年から2019年に至るまでに、マッキンゼーは年間7350万ドル(約80億円)、総額で9億5620万ドル(約1000億円)を受け取っています。監査官は2016年の契約変更「詐欺」によるコストを6900万ドル(約75億円)だと見積もっていますが、贈賄ではないと判断しており、事業本部長の解雇や逮捕を推奨していません。このため、なぜ政府のコストがかさむような行動を事業本部長が取ったのかという謎が残ります。

McKinsey & Company | Global management consulting
https://www.mckinsey.com/


ここで関係してくるのが、政府と契約を結ぶ企業がGSAに支払う必要がある四半期ごとの契約管理料である「Industrial Funding Fee」(産業資金費/IFF)というもの。GSAの連邦調達サービス(FAS)は契約料の0.75%を手数料として受け取ることができます。マッキンゼーに関していえば、契約を締結した2006年以降のIFF収入は720万ドル(約7億8000万円)にも上っています。IFFは政府の仕事を外部委託することで生じるインセンティブと指摘されることもあり、この問題が顕著な形で現れたのがマッキンゼーのケースだったわけです。同様のケースがCarahsoftやオラクル、Deloitteといった企業との契約でも発生しており、この時は公正価格で取引しようとした担当者のキャリアを上司が傷つけ、請負業者の要求に応じて契約を変更したと指摘されています

IFFは1995年に当時大統領だったビル・クリントン氏が、「政府改革」の一環として起業家精神を高めるために導入したもの。この施策は非常にうまくいき、2002年には議会予算に頼らなくてもよいほどに多くの資金を得られるようになりました。2010年までにGSAは年間390億ドル(約4兆2000億円)の「売上」を達成。GSAは多く得た収益を納税者のために使うことになっていますが、実際には準備金として扱われており、「基本的には、政府の調達機関の文化はゆがんでいます」とStoller氏は述べています。本来であれば政府のために専門知識を購入する仕組みであったはずのIFFは、請負業者に多くのお金を使わせることで収入を得る仕組みに変わってしまっているとのこと。

マッキンゼーは政府の仕組みを巧みに利用したといえますが、このような行為を行っているのはマッキンゼーだけでないのも事実。Stoller氏は、IFFシステムを廃止し、議会の予算編成を通じた予算の配分が行われるべきだと主張しました。

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in メモ, Posted by logq_fa

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