要望から21年の時を越えてThunderbirdに新しい暗号化機能が実装される
メールソフト「Thunderbird」は2020年8月29日にリリースしたバージョン78.2.1でOpenPGPによるメールの暗号化をサポートしました。PGPのサポートはMozillaのバグ管理システム「Bugzilla」で21年前にリクエストされ、議論や開発が行われてきました。
22687 - (pgp) [meta] OpenPGP support
https://bugzilla.mozilla.org/show_bug.cgi?id=22687
メッセージのデジタル署名と暗号化 | Thunderbird ヘルプ
https://support.mozilla.org/ja/kb/digitally-signing-and-encrypting-messages#w_pgp-jian-wozuo-cheng-suru
PGPによる暗号化機能のスレッドがBugzillaに作成されたのは21年前の1999年のこと。MozillaのPGP暗号化プラグインへの要望が最初の投稿です。1999年当時はアメリカの暗号の輸出規制により、Mozillaのソースコードにはいかなる暗号化技術も含まれていなかったとのこと。
Thunderbirdでは、2009年にバージョン1.0が公開されたEnigmailアドオンのおかげで、OpenPGPが利用できるようになっています。しかし、同スレッドのゴールは「PGPを用いた暗号化にプラグイン無しで対応すること」であるとされていたため、スレッドは閉じられることなく残り続けました。最初の投稿から20年後の2019年、MozillaのエンジニアであるKai Engert氏が同スレッドの担当者に割り当てられ、2020年8月29日にリリースされた「Thunderbird 78.2.1」にて、OpenPGPへのネイティブ対応が行われました。
実際にOpenPGPを利用する方法は以下。メニュ-バーの「ツール」から「OpenPGP 鍵マネージャ-」をクリック。
「生成」から「新しい鍵ペア」をクリックします。
対象の差出人と鍵の有効期限、鍵のタイプ、鍵長を指定して「鍵を生成」をクリック。
生成した鍵ペアの公開鍵は「ファイル」からファイルに出力したり、メールで送信したりして、メールを受信する相手に共有しておきます。
メールで公開鍵を共有した場合は、添付されている公開鍵を右クリックして「OpenPGP 鍵のインポート」をクリック。
インポートを行うと、鍵のフィンガープリントといった情報が表示されます。鍵の受け入れを行う必要があるので「詳細を表示し鍵の受け入れを管理」をクリックします。
「受け入れます。この鍵のフィンガープリントが正しいことを検証しました。」を選択して「OK」をクリック。
あとは公開鍵を共有した相手にメールを送信する際に「セキュリティ」をクリックし、「暗号化技術」に「OpenPGP」を選択して「暗号が必要」にチェックを入れればOK。
メール受信者の画面はこんな感じ。「OpenPGP」のマークが表示されています。
同じメールでも、Gmailのウェブクライアント経由ではOpenPGPによる暗号化により内容を確認することはできません。
最新版のThunderbirdは、以下のページよりダウンロードすることができます。
Thunderbird — メールを簡単に。 — Thunderbird
https://www.thunderbird.net/ja/
・関連記事
「Thunderbird 78」がリリース、デザインが一新&アドオン機能が統合されるなど大幅アップデート - GIGAZINE
Mozillaのメーラー「Thunderbird」プロジェクトが完全子会社化、Mozilla Corporationから切り離される - GIGAZINE
無防備すぎる日本のメールサービスでも暗号化したメールの送受信が可能になるセキュアなGoogle公式拡張機能「End-To-End」 - GIGAZINE
世界のメールの暗号化はたった一人の男に依存しており、開発資金はゼロになってしまっているという衝撃の事実が判明 - GIGAZINE
・関連コンテンツ