NVIDIAのマイニング性能リミッターが回避されたという情報はリミッター対象外の仮想通貨を用いた誤報か
NVIDIAが2021年2月下旬に発売したGPU「GeForce RTX 3060」をはじめとする「GeForce RTX 30」シリーズには、暗号資産(仮想通貨)・イーサリアムのマイニングを検知してハッシュレート(マイニング速度)を制限し、マイニング効率を最大で50%減少させるリミッターが搭載されています。
このリミッターを回避する方法が見つかったらしいとの情報が出回っていますが、一方で、リミッター対象であるイーサリアムのマイニング以外での結果が出ているだけで、リミッター自体が外れたわけではないとの指摘が出ています。
Chinese Cryptocurrency Miners Allegedly Bypass NVIDIA's GeForce RTX 3060 Hash Rate Limiter, Delivers Up To 50 MH/s
https://wccftech.com/chinese-cryptocurrency-miners-allegedly-bypass-nvidias-geforce-rtx-3060-hash-rate-limiter-delivers-up-to-50-mh-s-in-ethereum/
ITニュースサイト・Wccftechが、中国の仮想通貨マイナーによりGeForce RTX 3060のハッシュレートリミッターを回避し、50MH/sでマイニングできるようになったという情報を報じました。
情報源となったのは、Twitter ID「@I_Leak_VN」氏による以下のツイート。「RTX 3060」を用いて、それぞれ45MH/s以上のハッシュレートが出ていることを示すスクリーンショットです。この事例では8枚のRTX 3060を利用しているので、合計ハッシュレートは362.75MH/sに。
Dammit Chinese mod ???????? pic.twitter.com/dBNjpJQLMl
— I_Leak_VN (@I_Leak_VN) March 10, 2021
仮想通貨情報を扱うベトナムのFacebookグループ「Trại Trâu Công Nghệ」も、MODドライバーを用いてリミッターを回避し、ハッシュレート50MH/sを実現できるとの情報を投稿しています。
しかし、この件についてはスクリーンショットの情報が不正確であるとの指摘があります。指摘によると、当該スクリーンショットでマイニングしているのは、リミッターの対象であるイーサリアムではなく対象外の仮想通貨「Conflux」なので、ハッシュレートが高いのは当然だというわけです。イーサリアムの場合のハッシュレートはやはり25MH/sに抑えられているとのこと。
GPUをめぐっては、仮想通貨マイナーとゲーマーによる争奪戦が行われる状態となっており、NVIDIAは「GeForce RTX 30」シリーズにハッシュレートリミッターをかけてゲーマー向けとした一方で、マイニング用途向けには「CMP HX」シリーズを用意しています。
A Crypto Mining GPU for Professionals | NVIDIA
https://www.nvidia.com/en-us/cmp/
「CMP HX」シリーズは、2021年第1四半期にハッシュレート26MH/sの「30HX」と36MH/sの「40HX」、第2四半期にハッシュレート45MH/sの「50HX」と86MH/sの「90HX」が発売される予定です。
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