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なぜ「Web2.0は失敗に終わった」と指摘されるのか?


2004年頃、Wikipediaなどに代表されるウェブの新しい利用法を指す「Web2.0」という言葉が流行し始めました。Web2.0には「自動化」「双方向性」「相互運用性」「無料」などのさまざまな特徴が挙げられ、ウェブ上における情報発信の新たな時代が到来したと話題になりました。しかし、著名なアナリストであるベン・トンプソン氏は「Web2.0は特に『相互運用性』という面で失敗に終わった」として、ウェブの行く末について解説しています。

The Web’s Missing Interoperability – Stratechery by Ben Thompson
https://stratechery.com/2021/the-webs-missing-interoperability/


FacebookやInstagramを始めとする多くのSNSは無料で提供され、サービスが自動化されており、「発信側」と「見ている人」が双方向にやりとりできることなどから、一般的にWeb2.0の定義を満たしていると考えられています。しかし、トンプソン氏はWeb2.0の「相互運用性」という点を、多くのSNSが満たしていないという点を指摘。

そもそも「Web2.0の相互運用性」とは、他のシステムやサービスとの互換性があることを指します。しかし、昨今ネット上に台頭するFacebookやInstagram、Twitterなどのコンテンツは、1つの大きなサービスが多数のユーザーを囲い込む、排他的で閉鎖的なスタイルと化してしまっています。これらSNSは「相互運用性」とはほど遠く、ゆえにWeb2.0に当てはまらないというのがトンプソン氏の見解です。


トンプソン氏が「相互運用性の欠如」として例に挙げているものが、2021年2月にTwitterが発表した「スーパーフォロー」機能という機能。スーパーフォローは、Twitterユーザーが「通常のフォロワーには表示されない投稿をサブスクリプション方式で表示させるもの」で、Twitterによるユーザーの囲い込みを強化します。この機能はTwitterに利益を生み出す「優れた商品設計である」とトンプソン氏は評していますが、一方でユーザーが一つのプラットフォームに集中し、市場の独占状態が進むとも警告しています。

SNS事業の新規参入は難しく、現状としてコミュニケーション手段の異なる側面に焦点を当てたサービスが成功しているとトンプソン氏は述べています。TwitterやFacebookは主にテキストであり、Instagramは写真、TikTokはムービーを中心としたコンテンツを共有する場として、独自のサービスを展開しています。しかし、無料で提供されるこれらのサービスに最も必要とされるのはユーザーの獲得であり、獲得した既存のユーザーを逃さないよう、新しいサービスが生み出される前に既存のサービスに新しい機能を追加するという傾向に変わりつつあるとトンプソン氏は指摘しています。


2020年、FacebookはInstagramやWhatsAppの買収により市場競争を阻害したとして、独占禁止法違反で起訴されています。GoogleAmazonも同様の理由で訴えを受けており、トンプソン氏はこういった現状を踏まえ、こういった状況を打破する一つの解決策として、中小企業を含めた市場競争がより激化することを望んでいます。

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in ネットサービス, Posted by log1p_kr

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