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オンラインゲームの先祖で今なお人気が高いゲーム「MUD」とは?


家にいながら見知らぬ人と一緒にゲームの対戦や協力プレイができるオンラインゲームは、インターネットの普及とゲーム機や技術の進化によって当たり前の存在になりましたが、オンラインゲーム自体は1970年代に「マルチユーザーダンジョン(MUD)」という形ですでに登場していました。そんなMUDについて、ホラー小説やファンタジー小説を執筆する作家のフレッド・ウィリアムソン氏が解説しています。

Multi-User Dungeons (MUDs): What Are They? And How to Play | by Fred Williamson | Medium
https://medium.com/@williamson.f93/multi-user-dungeons-muds-what-are-they-and-how-to-play-af3ec0f29f4a


MUDとはテキストベースのゲームで、Telnetクライアントを介して接続して遊びます。ファンタジーベースの世界観の中で、ユーザーが作成したキャラクターになりきってシナリオを進めていくという点ではテーブルトークRPGと同じ。一般的なRPGとは異なり、コンピューターはあくまでもルールの管理しか行わず、キャラクターやシナリオはすべてプレイヤーが用意する必要があります。

MUDのベースとなったのは1976年に誕生した「Colossal Cave Adventure」で、インターネットの先駆けとなるARPANETの開発にも携わっていたウィリアム・クラウザー氏によって開発されました。Colossal Cave Adventureは簡単なテキストコマンドを使用してキャラクターの行動を決定し、洞窟を探索するテキストアドベンチャーです。


Colossal Cave Adventureを皮切りに、コンピューター上で遊べるテキストアドベンチャーが誕生。特に、1960年にイリノイ大学で構築されたコンピューター支援教育システム「PLATO」をベースとしたテキストアドベンチャーが多く作られました。とりわけ、1977年の夏にマサチューセッツ工科大学の学生グループが作った「Zork」は、Colossal Cave Adventureに強く影響を受けたダンジョン探索テキストアドベンチャーとして人気を博しました。

そして、1978年にイギリスのエセックス大学の学生だったRoy Trubshaw氏が、MACRO-10というアセンブリ言語で動くマルチプレイヤー型のテキストアドベンチャーを開発。Trubshaw氏はZorkの大ファンだったことから、内容をダンジョン探索に設定し、このテキストアドベンチャーを「Multi-User Dungeon(通称:MUD1)」と名付けました。このMUD1が最初のMUDと呼ばれています。


MUD1はエセックス大学のネットワーク上でプレイされていましたが、1980年にエセックス大学のネットワークがARPANETと接続した時、世界で最初にインターネットを介してプレイできるMORPGとなりました。そして、MUD1を模倣したシステムが大量にリリースされました。

その中でMUD1に強く影響を受け、オープンソースで1987年に開発されたベースシステムが「AberMUD」です。このAberMUDが人気を博したことで、「MUD」というジャンルが確立し、多くのプレイヤーがリアルタイムでオンラインプレイを楽しむようになりました。なお、AberMUDを開発したメンバーの1人には、当時ウェールズ大学の学生で後にLinuxカーネル開発プロジェクトにも参加するアラン・コックス氏がいます。

MUDは「MORPG」の一種とされていますが、現代のMORPGと違い、テキストメインで進められるため、ロールプレイングに重きが置かれています。MUDのプレイヤーは特定の通信チャンネルを除いて常にキャラクターとして行動することが期待される上に、ゲームによってはキャラクターの服装や住居までをすべてテキストで説明することが求められます。

さらに戦闘に負けてしまった場合、そのキャラクターは死んでしまいます。再びゲームをプレイするためには「ダンジョンズ&ドラゴンズ」などのテーブルトークRPGと同じように最初から新しいキャラクターを作成しなければなりません。

by Marco Hazard

こうしたMUDは今でも一部で強い人気を誇ります。ウィリアムソン氏はなぜMUDの人気が続いているのかについて、「MUDの人気を持続させているものは、コミュニティです」と論じています。

どれだけシステマティックなMUDであっても、テキストチャットで他のプレイヤーとコミュニケーションを取り合う時間があります。どんなシナリオやルールでもほとんどが他のプレイヤーと協力しなければダンジョンをクリアできないようになっており、プレイヤー対プレイヤーが軸になっているゲームであっても相手や味方とのコミュニケーションが求められます。ウィリアムソン氏は「MUDの架空の世界を探索している間に形成された人間関係は、しばしば永続的なものとなります」と主張しました。


また、最新のハイスペックPCを要求するゲームとは異なり、MUDは低スペックのPCでも問題なくプレイできる上に、大半が無料で遊べるのも魅力の1つ。加えて、スクリーンリーダーや音声ツールを使うことで視覚障害を抱えるプレイヤーでも遊べるアクセシビリティの高さもユーザーの新規獲得につながっていると、ウィリアムソン氏は推測しています。

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in ゲーム, Posted by log1i_yk

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