40年以上続く「FPSの進化の軌跡」がたった3分でわかるムービー
操作するキャラクターの本人視点(一人称視点)でゲーム内の空間を移動し、武器や素手で戦う「ファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)」は非常に人気の高いゲームジャンルで、「レインボーシックス シージ」や「Valorant」など、一部のFPSゲームはeスポーツの競技にも採用されています。そんなFPSの40年以上にわたる長い歴史の中でエポックメイキングとなった作品を3分でまとめたムービーを、ゲームやPCの歴史をまとめるYouTubeチャンネル・4096が公開しています。
「first person shooter - YouTube」
1973年に、Imlac PDS-1向けにNASAのエイムズ研究センターで開発されたゲームが「Maze War」です。射撃要素はありませんが、「ワイヤーフレームで再現された迷宮を一人称視点で進んでいく」という内容は、FPSのみならず、ウィザードリィなどのRPGにも大きな影響を与えました。
そして、1981年にシンクレアZX81向けにリリースされたのが、「3D Monster Maze」です。3D Monster Mazeは、迷宮の中をプレイヤー以外にティラノサウルスが移動するという内容で、プレイヤーはティラノサウルスに食べられることなく迷宮から脱出する必要がありました。3D Monster Mazeはサバイバルホラーと一人称視点のアクションを組み合わせた初期のゲームといえます。
続く「Wayout」は、1982年にAtari 8ビットコンピューター用のゲームとして発売され、1983年にはApple IIやコモドール64でもリリースされました。Wayoutの画期的なポイントは、それまでは前後左右の4方向にしか視点を移動できなかったのが、視点を完全に360度動かすことができるようになったという点です。プレイヤーは迷宮内をさまよいながら、迷宮内を吹く風と光りながら飛ぶホタルをヒントに出口を見つけるという内容です。
「一人称視点で迷宮から脱出するアクションゲーム」ではなく、「一人称視点でマップ内をさまよいながら敵を倒すゲーム」というFPSの概念を確立したのは、1991年にid Softwareが発売した「Catacomb 3-D」と、このCatacomb 3-Dの拡張版として1992年に発売された「Wolfenstein 3D」といわれています。Wolfenstein 3Dはナチス・ドイツに捕らわれたアメリカ軍の兵士が城を脱出しながら、ナチス・ドイツの野望を打ち砕くという内容。
Wolfenstein 3Dのステージとなる城の中には敵としてナチス兵が登場し、拳銃やナイフ、サブマシンガンで倒すことが可能。また、マップの中には隠し部屋があり、武器やアイテムなどをゲットでき、現代のFPSにも通じるシステムを採用しています。
そして、1993年にPC-DOS向けに発売された「DOOM」は、欧米におけるFPS主体のゲーム文化を象徴する1本といわれています。暴力的な描写や演出を前面に押し出した世界観も特徴で、DOOMはホラーゲームの元祖ともいえる作品で、DOOMシリーズは2020年になっても続いています。
さらに、DOOMはオンライン対戦機能も搭載しており、「FPSをオンラインで一緒に遊ぶ」という文化を創り上げました。また、この初代DOOMはソースコードがGNU General Public Licenseのもとで公開されていることから、ハッカー文化の中でも重宝されているタイトルで、DOOMをポルシェ911や関数電卓、デジタルカメラ、ピアノ、Apple Watch、カラープリンターなどで動作する猛者も登場しています。
「Duke Nukem 3D」は3D Realmsから1996年にリリースされたFPSで、DOOMよりも豊富な兵器やアイテムが登場するほか、マップ内にある小道具を撃って破壊することもできるというインタラクティブな要素が画期的でした。
同じく1996年にid Softwareが発売した「Quake」は、DOOMの生みの親であるジョン・ロメロ氏の作品。QuakeはそれまでSFの世界観が当たり前だったFPSにファンタジーの要素を組み込んだ作品で、グラフィックやサウンドが大きく進化し、マップに高低差が生まれたことで、従来のFPSから3Dゲームとして大きく進化したタイトルとなりました。また、Quakeは「TCP/IPプロトコルによるオンライン対戦を初めて可能にしたFPS」としても知られています。
1997年にNINTENDO64向けに発売された「ゴールデンアイ 007」は、映画「007 ゴールデンアイ」を題材にしたFPSです。
007ならではの個性豊かな武器やスパイアイテムを駆使しながら映画のストーリーを追えるだけではなく、4人対戦も可能なゴールデンアイ 007は、それまでPCゲームをプレイする一部のゲーマーのみに人気だったFPSというジャンルの一般知名度を大きく上げた1本です。
Sierra Studiosから1998年に発売された「Half-Life」は、「迫り来る敵を倒していく」というFPSに、「フィールドに隠された謎を解きながら仲間と協力してクリアする」という謎解き要素と高いストーリー性が特徴。プレイヤーだけではなく、ノンプレイヤーキャラクター(NPC)がプレイヤーにあわせて行動し、ストーリーへの没入感を高める演出も採用され、高い評価を得ました。
また、プレイヤーが軍人やスパイではなく、「ただの物理学者」というのもHalf-Lifeの特徴。物理学者が振り回すバールは、まさに物理法則によって敵を打破できる強力な近接武器であり、Half-Lifeシリーズを象徴するアイテムでもあります。
「Quake 3 Arena」はマルチプレイヤー対戦専用のゲームとして、1999年に発売されました。Quake 3 Arenaでグラフィックはさらに進化し、対戦マップは多種多様で動作も軽く、対戦相手の一挙手一投足がプレイヤーアバターから判断できるようになるなど、現代では当たり前になった機能も搭載されました。
2001年に発売された「Return to Castle Wolfenstein」は、Wolfensteinシリーズの5作目。Return to Castle Wolfensteinにはシングルゲームモードとマルチプレイヤーモードの両方が搭載されていますが、特にマルチプレイヤーモードでは「プレイヤーのキャラクターに異なるクラスがあり、それぞれのクラスでスキルや性能が異なる」という要素が追加され、以降の対戦型FPSのシステムに大きな影響を与えました。
メダル・オブ・オナー アライドアサルトは第二次世界対戦時のヨーロッパや北アフリカを舞台にしたFPSで、2002年にエレクトロニック・アーツから発売されました。
メダル・オブ・オナー アライドアサルトは音響面が非常に進化しており、特に「スター・トレック」「スーパー8」などの映画で音楽を担当したマイケル・ジアッチーノ氏によるBGMは高い評価を受けています。
Valve Softwareが2004年に発売した「Half-Life 2」は、Half-Lifeの続編。Valve Software開発のゲームエンジン「Source Engine」で制作されており、高画質なグラフィックでありながら軽快な動作で話題となりました。また、ATI(後のAMD)のグラフィックボードに製品コードを添えるというキャンペーンで多くのプレイヤーを獲得。また、ゲーム販売プラットフォームとしてのSteamは、Half-Life 2のダウンロード販売を行うために正式リリースされました。
2007年にActivisionから発売された「コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア」は2007年で最も売れたゲームとなりました。
コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェアは、これまで第二次世界大戦を舞台にしていたコール オブ デューティシリーズで初めて「現代戦」をテーマにした作品で、イラク戦争が起こっていた2000年代の時代背景を受けて、中東を中心としたミリタリー色の強いハードなストーリーが人気を博しました。2019年にはリメイク作品である「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア」も発売されています。
2008年にUbisoftから発売された「Far Cry 2」は、広いマップの中を自由に動き回ることができる「オープンワールド」のFPS。舞台はアフリカで、車に乗ってサバンナを走り回ったり、敵が潜むアジト周辺の草に火を付けて焼き払ったりすることが可能。また、銃を撃つと耐久性が落ちて故障してしまったり、持ち運べる武器や弾の数が決まっていたりと、比較的リアルな設定が特徴です。
Tripwire Interactiveから2009年にリリースされた「Killing Floor」はオンライン協力型のマルチプレイFPSです。
Killing Floorや、同年にValve Softwareから発売された「Left 4 Dead 2」は、公式に用意されたマップだけではなく、プレイヤーが作ったカスタムマップを簡単に導入することができました。Tripwire Interactiveはカスタムマップコンテストも開催しており、PCゲーマーの間に広まっていたMod文化を公式に受け入れていました。また、Left 4 Dead 2はプレイヤーによるカスタムマップが、2020年9月の大型アップデートで公式マップとして配信されました。
2008年に発売された「ミラーズエッジ」は「一人称視点で銃を撃ち、敵を倒す」というFPSゲームと異なり、パルクールのようにビルからビルを一気に駆け抜けていくという、「移動」をテーマにしたFPSです。
Valve Softwareから2007年に発売された「Portal」、そして2011年に発売された続編の「Portal 2」は、「Portal」という名前の通り、ポータルガンでワープポータルを壁に作ってさまざまな障害を乗り越えるという内容で、FPSのパズル要素を徹底的に追及しています。
なお、Portalはもともと大学生が卒業制作で作ったゲーム作品でしたが、その出来に関心したValve Softwareのゲイブ・ニューウェルCEOが学生と作品をスカウトし、Half-Lifeシリーズの世界観と絡めた上で「Portal」として製品化したという経緯があります。
そして、Maze Warの開発から40年が経った2013年に、エレクトロニック・アーツから発売されたミリタリー系FPSが「Battlefield 4」です。ゲームの舞台は2020年で、マルチプレイに重きを置いています。Battlefield 4は映画のような重厚なストーリーと演出、4K解像度にも対応したグラフィック、そして自由度の高いゲーム性で人気を博しました。
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