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GNUプロジェクトの一部として開発されているプライバシー重視の決済サービス「GNU Taler」


日々の買い物をオンライン通販で済ませるという人が増加する中、安全かつユーザーのプライバシーに配慮したオンライン決済サービスの需要が増加しています。「GNU Taler」は、GNUプロジェクトの一部として開発されている電子決済サービスであり、支払いを行うユーザーのプライバシーを保護しつつ、商人が収入を隠して脱税するのを防ぐ仕組みになっているとのことです。

GNU Taler
https://taler.net/en/index.html

GNU Taler: Features
https://taler.net/en/features.html

GNUプロジェクトはフリーソフトウェアを推進するためのコラボレーションプロジェクトであり、ユーザーが自由に実行・共有・修正する権利を持つソフトウェアの開発や、理念に基づいた啓発活動などを行っています。GNUプロジェクトによって開発されたものとしては、フリーソフトウェアから構成されたOSのGNUが代表的です。一般的に知られるLinuxは、正確にはLinuxカーネルとGNUのソフトウェアを組み合わせたものであるため、GNUプロジェクトは「GNU/Linuxシステム」と呼称するべきだと主張しています。

そんなGNUプロジェクトの一部として開発されている無料の電子決済サービスがGNU Talerです。GNU Talerを使用して支払いを行うには、公式の配布ページから専用の「ウォレット」を自身のデバイスにインストールし、クレジットカードやビットコインなどの仮想通貨ウォレット、あるいは単一ユーロ決済圏(SEPA)自動資金決済センター(ACH)国際銀行間通信協会(SWIFT)といった送金サービスを通じてウォレットに通貨をチャージする必要があります。


ウォレットへのチャージが行われると、通貨は一時的に暗号化された電子マネーに変換され、この電子マネーを使用して決済を行います。GNU Talerで使用される電子マネーは独自の仮想通貨ではなく、準備金に裏打ちされた「変換時のレートで引き出すことが可能なコイン」であり、相場変動のリスクにさらされることはありません。なお、ウォレットの作成や通貨のチャージにユーザー登録は不要です。

ウォレットに保管されているコインは、GNU Talerが統合されているウェブアプリケーションでの決済に使用することが可能。GNU Talerを通じた決済はワンクリックで数ミリ秒以内に完了し、フィッシング詐欺に遭ったり不正検出で決済を拒否されたりするリスクもないそうです。

また、GNU Talerで行われる全ての決済は暗号化によって保護され、完全に匿名のまま決済が完了する仕組みになっているとのこと。一方で、GNU Talerを通じて支払いを受ける側は出金の際に銀行口座が必要であり、徴税当局は受け取り側の収入を把握できるため、GNU Talerは闇市場の防止にも役立つとしています。


GNU TalerはGNUプロジェクトの一部として開発・提供されている無料の電子決済サービスであり、フリーソフトウェアとオープンプロトコルに基づいて開発されています。記事作成時点では、GNU TalerはChromeまたはFirefoxあるいはこれらに基づいて作成されたブラウザや、Androidデバイスで使用することができるとのことです。

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in ソフトウェア, Posted by log1h_ik

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