サイエンス

睡眠パターンの変化に対応できないことは睡眠不足よりもうつ病発症のリスクが高いと判明


定期的な睡眠や長時間の睡眠が健康にいいということは既にさまざまな研究によって実証されており、周知の事実となっています。しかしこれらの研究成果のほとんどが自己申告と前時代的な測定方法に依存していると考えたミシガン大学の神経科学者Yu Fang氏らは、ウェアラブルデバイスを用いた研究を行い、睡眠のパターンとうつ病の発症に関連性があることを明らかにしました。

Day-to-day variability in sleep parameters and depression risk: a prospective cohort study of training physicians | npj Digital Medicine
https://www.nature.com/articles/s41746-021-00400-z

Fang氏らはメディカルスクールを卒業してインターンシップ課程に進む医学博士2115人に対し調査を行いました。インターンシップはアメリカの臨床研修制度に組み込まれている最初のステップで、修了に1年間の期間を要するものですが、仕事量の急激な増加と変動するスケジュールにより、うつ病の発症率が急増するという研究結果が多数報告されています。


Fang氏らの調査では、インターン生に睡眠時間を計測するウェアラブルデバイスを装着させ、インターネットを通じて定期的に自分の気分を報告させたとのこと。そして、インターンシップの開始前と開始後にそれぞれうつ病チェックテスト「PHQ-9」を実施して、起床時間や就寝時間、1日の睡眠時間などの変化がうつ病の発症にどう関わってくるのかを分析しました。

調査の結果、インターン生はインターンシップ開始後の起床時間の中央値が1時間早くなり、就寝時間の中央値は30分早くなったとのこと。また、インターンシップ前後でPHQ-9スコアが平均3.5ポイント増加し、インターン生のうつ病リスクが高まったことが判明しました。


また、Fang氏らは調査を通じて平均で約130日分の睡眠パターンを計測しています。このデータを基にした分析では、睡眠時間が減少するほど翌日の気分やPHQ-9スコアが悪化することがわかりました。また、起床時間が早くなるほど気分やPHQ-9スコアが悪化する一方、就寝時間が早くなるほど気分やPHQ-9スコアが改善する傾向もみられたとのこと。

この結果についてFang氏らは、「起床時間の変動に応じて就寝時間をうまくコントロールできる人は睡眠の質が安定し、できない人は睡眠の質が悪くなる」と述べています。

Fang氏らは「潜在的に、睡眠不足よりも概日リズムの変動の方がメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性が高い」と結論付けています。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article Inability to respond to changes in sleep….