サイエンス

体内時計が乱れると気分障害に陥りやすくなる可能性

by Asdrubal luna

生物には生まれつき体内時計が備わっており、睡眠や行動の周期に影響を与えていると考えられています。イギリスの最新の研究によると、この体内時計を乱すと、人間はうつ病や双極性障害といった気分障害に陥りやすくなる可能性があるそうです。

Out-of-Sync Biological Clock Could Be Linked to Depression
https://www.livescience.com/62574-mood-disorders-circadian-rhythms.html

体内時計とも呼ばれる「概日リズム」は、脳の視床下部にある「視交叉上核」という領域により制御されています。太陽の光を手がかりにして視交叉上核は時間を把握し、その情報を体全体にある「周辺時計(peripheral clocks)」と呼ばれる場所に中継します。

しかし、人工光や夜間シフト、老化、特定の病気、さらには海外旅行などにより概日リズムを乱してしまうことがあります。そして、概日リズムの乱れは精神面に悪影響をもたらす可能性が示唆されています。

by Andrew Seaman

医学雑誌の(PDF)The Lancetで掲載された最新の研究で、概日リズムが乱れることでうつ病や双極性障害などの気分障害に陥りやすくなる可能性があると発表されました。ただし、研究者たちによると、この研究は概日リズムとうつ病や双極性障害といった気分障害に関連性があることを見いだしたに過ぎず、概日リズムがうつ病の原因であるとまでは証明されていないとのことです。

研究は、イギリスで行われた50万人規模の健康情報取得プロジェクトの参加者を対象に、2013年から2016年までの4年間にわたって実施されました。被験者の数は概日リズムに関する調査としては最大規模の9万人以上。被験者は手首に加速度計を装着して1週間にわたって運動状態を測定し、その後、メンタルヘルスに関するアンケートに回答するよう指示されています。このアンケートおよび加速度計が収集したデータから、概日リズムとメンタルヘルスの関連性について分析されました。

分析から、概日リズムが大きく乱れた人々は、そうでない人々よりも生涯にわたってうつ病または双極性障害が起こりやすいことが判明しました。また、概日リズムの乱れが強い人は、気分の変化が大きくなり、神経症や孤独感が高レベルになり、健康に対する幸福および満足度のレベルが低下する傾向にあること、さらには反応時間が遅いことも判明しています。

by Ivan Leung

オックスフォード大学の上級研究員であるアイデン・ドハーティ氏は、概日リズムの乱れと気分障害が密接に関係していることを認めつつ、気分障害を引き起こす原因であるとは証明できないことを強調しています。しかし、概日リズムの乱れを判断するために被験者に加速度計を使用する方法は、被験者に「朝型か夜型か」を尋ねるという従来の主観的尺度よりも正しく判断できる、と評価しています。

概日リズムは思春期に若干の変化を起こすことが知られており、気分障害の75%も24歳以前に始まることから、この新しい研究は年齢層ごとの気分障害の原因と潜在的な予防戦略を計画するために有用な情報を提供してくれたとドハーティ氏は述べています。

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in サイエンス, Posted by logu_ii