睡眠不足だと「人生の喜び」が失われてしまうとの研究結果
睡眠不足はさまざまな健康問題を引き起こすほか、6時間睡眠を続けた人は認識能力が徹夜した人並みに落ちることが指摘されています。新たな研究で、睡眠不足が「人生で感じられる喜び」を損なうことが示されました。
Sleep duration and affective reactivity to stressors and positive events in daily life. - PsycNET
https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fhea0001033
New research finds people react better to both negative and positive events with more sleep
https://news.ubc.ca/2020/09/15/new-research-finds-people-react-better-to-both-negative-and-positive-events-with-more-sleep/
Not Getting Enough Sleep Really Does Suck The Joy Out of Life, Research Confirms
https://www.sciencealert.com/no-you-re-not-imagining-it-lack-of-sleep-sucks-the-joy-out-of-even-your-favourite-things
カナダのブリティッシュコロンビア大学で心理学助教授を務めるNancy Sin氏の研究チームは、合計1982人の33歳~84歳の成人を対象に、睡眠時間が日常の出来事に対する反応に与える影響を調査しました。
研究チームは被験者の基本的な睡眠時間などについて調査した後で、被験者へ8日間連続で電話インタビューを実施しました。インタビューでは、「前夜の睡眠時間」「その日に経験したポジティブまたはネガティブな出来事」「出来事から受けた感情」などを尋ねたとのこと。
Sin氏は、「人々が抱擁したり、自然の中で時間を過ごしたりといった前向きなことを経験すると、一般的にその日は幸せになります」とコメント。しかし、インタビューの結果を分析したところ、睡眠時間が通常より少ない場合、ポジティブな出来事から受ける前向きな感情が減少することがわかったとSin氏は述べています。また、ネガティブな出来事による前向きな感情の減少は、睡眠不足によって大きくなったそうです。
睡眠不足によるポジティブな感情の減少が確認された一方で、睡眠時間が長くなることにより、ポジティブな出来事から受ける前向きな感情が増大することも示されました。また、ストレスの多い出来事によるネガティブな影響も軽減されたとのこと。
研究チームは、慢性的な健康問題を抱えている人々において、特に睡眠時間が増加することによるメリットが大きいことも発見しました。Sin氏は、「慢性的な健康問題を抱える人において、通常より長い睡眠時間が、翌日のポジティブな出来事に対するより前向きな反応につながることがわかりました」と述べています。
Sin氏らは、研究が電話インタビューによる患者の自己申告に依存しているため、いくつかの制限があったと指摘しています。しかし、実験室での条件ではなく日常的な条件における初期の研究として、今回の研究結果が将来の調査に役立つ可能性があると考えています。
科学系メディアのScienceAlertは、ただでさえ先進国では人々の睡眠時間が推奨される7~9時間を下回る傾向が大きいことに加え、新型コロナウイルスのパンデミックにより睡眠時間はさらに減少傾向にあると指摘。睡眠の優先順位を高めてより長く眠ることで、健康だけでなく人生の幸福にもいい影響があると主張しました。
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