サイエンス

食事の時間帯とうつ病の発症リスクが関係している可能性


睡眠時間や生活リズムがメンタルヘルスに影響を及ぼすことはこれまでの研究で指摘されていましたが、新たに「食事をする時間がメンタルヘルスに影響を与え、うつ病の発症リスクを左右する」という研究結果が発表されました。

Daytime eating prevents mood vulnerability in night work | PNAS
https://doi.org/10.1073/pnas.2206348119

The Time of Day You Eat Could Make a Difference to Your Mental Health : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/the-time-of-day-you-eat-could-make-a-difference-to-your-mental-health

論文を発表したのは、ハーバード大学医学部ブリガム&ウィメンズ病院に勤務する神経科学者のサラ・チェラッパ氏らの研究チームです。チェラッパ氏は「今回の発見は、精神障害を抱える人にも役立つかもしれず、睡眠や概日行動戦略の新しい扉を開くものです」とコメントしています。


研究チームは2週間にわたって、19人の参加者に夜間勤務のシミュレーションを伴うランダム化比較試験を実施。半分の被験者は5時~19時の日中と19時~翌日5時までの夜間に食事をとり、残り半分の被験者は日中にのみ食事をとりました。2つの群で異なるのは食事をとるタイミングだけで、消費カロリーや睡眠時間、身体活動、照明条件などは同じです。

その結果、日中と夜間に食事をとった群は、基準値と比較してうつ度が26%、不安度が16%上昇することがわかりました。一方で日中にのみ食事をとった群では、そのような変化は見られなかったとのこと。

研究チームは「私たちは、食事のタイミングが被験者のうつ度・不安度に中程度から大程度に影響を与え、そうした影響が概日リズムのズレの程度と関連しているという証拠を発見しましたた」と述べ、「この知見は、食事のタイミングを考慮することでシフト勤務環境で気分が落ち込む状態を防ぐ可能性を示唆するものです」と記しました。


なぜ食事のタイミングがメンタルヘルスに影響を与えるのかは不明ですが、夜遅くの食事が代謝に干渉し、ホルモンバランスが崩れることで概日リズムにズレが生じた可能性が考えられるとのこと。

また、研究チームは夜間に食事をした被験者に見られた耐糖能異常が関与している可能性を指摘しています。血糖コントロールの障害は気分障害の危険因子とされており、うつ病と肥満がお互いにリスクと重症度を高め合う悪循環に陥ることもあるとのことで、研究チームはさらなる研究が必要だとしています。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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