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チェスのストリーミング配信の視聴者数が爆発的に増加した理由とは?


チェスは世界中でプレイされているボードゲームですが、2020年頃からストリーミング配信サービスのTwitch上で人気が急増しており、視聴者数が爆増しています。突如人気を伸ばしているオンラインチェスについて、その要因などをニュースメディアのprotocolが解説しています。

Chess.com finds streaming success - Protocol — The people, power and politics of tech
https://www.protocol.com/chess-streaming-twitch-hikaru-botez

◆Chess.com
オンラインチェスゲームは数多く存在しており、誰でも自由に開発することができます。しかし、protocolによると、オンラインチェスプレイヤーの65~70%が「Chess.com」を利用しているとのこと。実際に、記事作成時点では、5700万人を超えるプレイヤーがChess.comのアカウントを保持しています。さらに、TwitchではChess.comでのゲームの様子が配信されており、2021年1月には1830万時間、2021年2月には記事作成時点までに1810万時間も再生されています


Chess.comは2018年にチェスエンジン「Komodo」を買収しました。Komodoはゲームの分析能力に優れており、ユーザーの技術向上に役立つとのこと。また、Chess.comは異なる性格の対戦用AIを数十種類作成しており、多様な戦術でユーザーを楽しませています。これらの特徴によってChess.comはオンラインチェスゲーム界で大きな人気を誇っていますが、protocolによると、2020年までChess.com関連のストリーミング配信はほとんど注目されていなかったとのこと。

◆ヒカル・ナカムラ
protocolは、「Chess.comのストリーミング配信での人気は、15歳で史上最年少グランドマスターとなったトップチェスプレイヤーの1人であるヒカル・ナカムラ氏の存在が大きく関係しています」と指摘しています。。

ナカムラ氏は2017年7月にTwitchでのストリーミング配信を開始しました。Chess.comによる宣伝の効果もあり、ナカムラ氏は最初の配信で数百人の視聴者を集めることに成功します。その後、ナカムラ氏は2018年から定期的に配信を行い、2020年初頭には、8万人を超えるフォロワーを集めたとのこと。しかし、protocolは「8万人程度のフォロワー数ではトップストリーマーとは言えません」と語り、ナカムラ氏の人気が高まったのは新型コロナウイルスの感染拡大によってストリーミング配信の需要が大きく伸びた時期だと主張しています。

新型コロナウイルスによってゲーム系ライブストリーミングの総視聴時間が1カ月で50%近くも急増 - GIGAZINE



ナカムラ氏は、2020年4月に、オーバーウォッチの元プロプレイヤーでTwitchの人気ストリーマーであるxQcに対してチェスの指導を行う様子を配信しました。この配信が話題を呼び、ナカムラ氏の配信の平均視聴者数は、2020年5月には1万3000人を超えたとのこと。その後も視聴者数は伸び続け、2021年2月には平均視聴者数が2万4000人を超えています。protocolは「Twitchでチェス関連の配信が再生された時間の内、20%はナカムラ氏の配信が視聴された時間です」と述べ、オンラインチェスの人気におけるナカムラ氏の重要度を示しています。

◆ボテス姉妹
protocolによると、チェスのプレイヤーとして生計を立てられるのは、ほんの一握りのトッププレイヤーだけで、それ以外のプレイヤーはコーチになるか他の職に就くしかなかったとのこと。しかし、ストリーミング配信におけるチェスの流行は、チェスプレイヤーに新たな人生設計をもたらしました。protocolはストリーミング配信におけるチェスの流行がプレイヤーに影響を与えた例として、カナダのチェスプレイヤーであるボテス姉妹を挙げています。

ボテス姉妹は、2人ともチェス世界大会のカナダ代表に選ばれるほどのプレイヤーでした。しかし、protocolによると、2人はチェスで生計を立てられるとは考えていなかったとのこと。ボテス姉妹は2020年に「競争の激しいトーナメントに参加するのではなく、趣味としてチェスを楽しみたいのです」と語り、2020年にチェスチャンネルBotezLiveを開設。さらに、2020年12月にはプロeスポーツチーム「Team Envy」に加入し、ストリーミング配信の世界でチェスを盛り上げています。

Welcome Andrea & Alexandra Botez To Envy - YouTube


◆オンラインチェストーナメント「PogChamps」
チェスがTwitchで盛り上がりを見せ始めた2020年6月に、Chess.comは5万ドル(約528万円)の賞金を賭けたオンラインチェストーナメント「PogChamps」を開催。「PogChamps」には、xQc氏を含む多くの有名ストリーマーが参加し、Twitchにおける同時視聴者数は15万人を記録しました。その後もChess.comは第2回「PogChamps」や、「BlockChamps」といったオンラインチェストーナメントを開催。2021年2月には3回目となる「PogChamps 3」を開催しており、Chess.comはグランド・セフト・オートVや、フォートナイトと並んで「Twitchで最も視聴されているゲーム」としてTwitchのトップページに表示されるほどの人気を獲得しています。


protocolによると、ストリーミング配信でチェスが流行していることに対して、「現実世界でのチェスが衰退するのでは」という不安を覚える人もいるとのこと。しかし、Chess.comの事業開発担当副社長であるニック・バートン氏は、「チェスは長い間親しまれてきたゲームです。eスポーツという用語が存在しないような未来でも、チェスの文化は残り続けているでしょう」と語っています。

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in ネットサービス,   ゲーム, Posted by log1o_hf

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