サイエンス

次世代素材「グラフェン」製のマイクロチップでPCやスマホを何千倍も高速化できる可能性

by LSHTM IDM102

炭素原子の六角形格子構造で構成されており、およそ原子1粒分という非常に薄いシート状の物質が「グラフェン」です。この次世代素材であるグラフェンを折り紙のように折り畳むことで、従来よりもはるかに小さいマイクロチップを作ることができるという論文が発表されました。

Structural Defects Modulate Electronic and Nanomechanical Properties of 2D Materials | ACS Nano
https://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/acsnano.0c06701


Graphene ‘nano-origami’ could make smallest microchips ever
https://www.imeche.org/news/news-article/graphene-nano-origami-could-make-smallest-microchips-ever


Tiny graphene microchips could make your phones and laptops thousands of times faster, say scientists | ZDNet
https://www.zdnet.com/article/tiny-graphene-microchips-could-make-your-phones-and-laptops-thousands-of-times-faster-say-scientists/

これまで、グラフェンや二硫化モリブデンなどのシート状のナノ物質の構造を変形させると、電気特性が変化することはわかっていました。しかし、どのように折ればどのような電気特性を得られるのかは解明されていませんでした。

論文を発表したイギリスのサセックス大学の研究チームによれば、グラフェンに意図的にねじれを作り出すことで、グラフェンシートが電子部品のような性質を持つとのこと。クシャクシャに折り畳んだグラフェンはマイクロチップのように機能し、従来のマイクロチップのおよそ100分の1の大きさになることが判明しました。


このグラフェンの折り畳みはグラフェン以外に材料を追加する必要がなく、高温下ではなく室温下で可能であるため、より環境に優しく持続可能な技術だと研究チームは主張しています。

マイクロチップ上のトランジスタ数が2年ごとに2倍になるという「ムーアの法則」は近年の技術発達でも達成するのが難しくなっているといわれていますが、IT系ニュースサイトのZDNetは「このナノフェンの折り畳みを応用することで、再びムーアの法則に準拠するようになるかもしれない」と期待を寄せています。

ダルトン教授も、「ナノマテリアルの折り畳みによる『ストレイントロニクス』は、あらゆるデバイス内でチップの小型化に役立ちます」「最終的に、グラフェンの応用によってコンピューターやスマートフォンが数千倍も高速になります」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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