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イギリス女王が持つ「立法上の特権」が議論を呼んでいる

by The Commonwealth

イギリスは君主の権力を憲法によって規制する立憲君主制を創始した国で、今もなおウィンザー家がイギリス王家と認定されています。そんなイギリス王家が有する特権が立法に強力な影響を与えているという問題が、2021年に入って議論を呼んでいます。

The Queen has more power over British law than we ever thought | Monarchy | The Guardian
https://www.theguardian.com/commentisfree/2021/feb/08/queen-power-british-law-queens-consent

イギリス大手紙のThe Guardianが指摘している問題は、「Queen's Consent(女王の同意)」という立法システムにあります。イギリスでは、王家が有する慣習上の権限である国王大権や王家の個人資産などに影響を与える法案は、文字通り「女王の同意」が必要で、女王は自身の意向によって拒否権を発動できます。さらにイギリス王室の公領であるコーンウォール公領に影響を与える場合は、女王だけでなく、同公領を有する王太子の同意まで必要です。

この「女王の同意」システムについて、The Guardianは「透明性および適用範囲について問題がある」という議論を展開しています。同紙によると、「女王の同意」は法案が両院の最終承認を受ける前段階として行われるプロセスですが、実際に「女王の同意」によって棄却されたか否かは不透明とのこと。これについて同紙は独自調査を行った結果として、「エリザベス2世は『恥ずかしい』私的財産を隠すために『女王の同意』を行使した」と2021年2月7日に大々的に報じました。

Revealed: Queen lobbied for change in law to hide her private wealth | UK news | The Guardian
https://www.theguardian.com/uk-news/2021/feb/07/revealed-queen-lobbied-for-change-in-law-to-hide-her-private-wealth


The Guardianは「『女王の同意』という制度がそもそも反民主的であるのは明らか」と前置きして、「女王の同意」がどういう起源を持つのかさえ定かではないプロセスだと指摘。「女王の同意」はあくまで形式的とされているはずが、実際には女王の権限によって発動されることもあるのだと言及しました。

さらにThe Guardianは「女王の同意」の適用範囲を際限なく広げられてしまうという問題点にも言及しています。例えば女王は税金を支払っているので、「金融に関連する法案であればすべて女王の個人資産に影響を及ぼしている」という主張も可能です。さらに女王はさまざまな人員を雇用しているため、児童扶養手当法や年金法も個人資産に影響を及ぼしているともいえます。

一連の問題点について、The Guardianは「国王大権は『相談を受ける権利、激励する権利、および警告する権利』を有するとされるものの、『女王の同意』のプロセスはこうした権利をはるかに越権している」と言及。21世紀の民主主義における同プロセスの必要性について再考するように呼びかけています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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