プログラマーに最も愛される言語「Rust」の管理・開発を主導する非営利組織「Rust Foundation」が設立

高速でメモリ効率が高くランタイムやガベージコレクタもないため、パフォーマンス重視のサービス実装が可能なプログラミング言語の「Rust」は、プログラマーに最も愛されている言語でもあります。そんなRustの管理・開発を担うサポート特化の非営利組織「Rust Foundation」が設立されました。

Rust Foundation - Hello World!
https://foundation.rust-lang.org/posts/2021-02-08-hello-world/

Mozilla Welcomes the Rust Foundation - The Mozilla Blog
https://blog.mozilla.org/blog/2021/02/08/mozilla-welcomes-the-rust-foundation/

Microsoft joins Rust Foundation - Open Source Blog
https://cloudblogs.microsoft.com/opensource/2021/02/08/microsoft-joins-rust-foundation/

Rustは安全性・速度・並行性に重点を置いたオープンソースのプログラミング言語です。RustはMozillaの研究部門であるMozilla Researchのサイドプロジェクトとしてスタートしたプログラミング学習で、2010年に開発者のGraydon Hoare氏が発表した「より優れたメモリ安全性とより多くの同時実行性を提供できる『少しだけ煩わしくない』プログラミング言語」という論文をベースとしています。

Rustは非常に人気があるため、Stack Overflowによる開発者向け調査の中で、5年連続で「最も愛されているプログラミング言語」に選ばれています。

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Rustはこれまで主にMozillaが開発を支援してきましたが、2021年2月8日、Rustの管理・開発を主導するための非営利組織「Rust Foundation」の設立が発表されました。設立翌日となる2月9日には初の理事会が開催予定です。Rust Foundationの創設に携わったのはAmazon Web Services(AWS)、Huawei、Google、Microsoft、Mozillaの5社。Rust Foundationの取締役には創設に携わった5つの企業からそれぞれ1人ずつ、そしてRust Foundation設立に向けてリーダーシップを取ってきたというプロジェクトチームから5人、さらにCoreの開発チームから2人の計12人が選出されています。

Coreの開発チームメンバーであり、Rust Foundationで暫定事務局長を務めるアシュリー・ウィリアムズ氏は、設立に際して「業界をリードするグローバル企業(創設に携わった5社)からの正式な財政的コミットメントは、Rustがエンタープライズ製品に対応したテクノロジーとなることを告げるものです。このコミットメントから生まれる責任感に感動し、我々開発メンバーはやる気を起こしています。Rust Foundationの創設に携わったスポンサー企業の熱心なサポートは、Rustを現状のまま維持するというだけでなく、Rustの価値観を支持し、Rustの目指す未来を育む責任を共有することを約束するものです」と声明を出しています。

Rust Foundationの設立に際して、これまでRustの開発を主導してきたMozillaはパッケージレジストリのcrates.ioを含むすべての商標およびインフラストラクチャー資産をRust Foundationに譲渡しました。ウィリアムズ氏は「Rustが2010年に研究プロジェクトとしてスタートしてから、2015年にバージョン1.0がリリースされ独立したガバナンスが確立されるまでの期間、プロジェクトに対して思慮深いインキュベーションを行ってくれたMozillaに感謝の気持ちでいっぱいです。彼らのサポートがなければ我々の今日の成功はありませんでした」と、Mozillaへの感謝を綴っています。

創設メンバーの1社であるMozillaは、「新しいプログラミング言語が成功するには多くの時間がかかります。Rustの成長は文字通り何千人ものコントリビューターと強力なインクルージョン文化のおかげです。幅広いコントリビューターと採用者のおかげで、Rustはすべての人々にとって素晴らしい言語となっています」と記し、これまでRustコミュニティに貢献してきたすべての人々に感謝の意を示しています。

また、Mozillaは「Rustの開発において我々が担った役割に誇りを持っており、Mozillaがその起源を超えて、継続的に進化をサポートするための専用組織を確保できることをうれしく思います。その範囲と影響を考えると、Rustはプロジェクトに100％集中している組織から利益を得るでしょう」と記し、Rust Foundationの設立を祝福しています。

MicrosoftもRust Foundationの創設企業となったことを公式ブログ上で報告しており、創立メンバーとしてRustコミュニティと協力しながら言語の改善やツールとライブラリのサポート、学習リソースの作成などを行えることを「楽しみにしています」と記しています。

加えて、Microsoftの社内にRustチームを編成して、エコシステムにエンジニアリング的な取り組みを提供し、「コンパイラ・コアツール・ドキュメントなどを通してコミュニティと協力することを期待しています」とも記しました。