脳波や筋電図を読み取るVRデバイスをValveが開発中、「これまでのエンターテインメントを絶滅させる」との意気込み
Valveの共同設立者であるゲイブ・ニューウェル氏がニュージーランドのメディア・1NEWSにVRの未来について語る中で、脳の信号を読み取る「Brain Computer Interface(BCI)」を搭載したVRヘッドセットを開発していると明らかにしました。ニューウェル氏によれば、BCIの研究は予想よりも早く進んでおり、2022年までにテストが行われるだろうとしています。
Gabe Newell says brain-computer interface tech will allow video games far beyond what human 'meat peripherals' can comprehend | 1 NEWS | TVNZ
https://www.tvnz.co.nz/one-news/new-zealand/gabe-newell-says-brain-computer-interface-tech-allow-video-games-far-beyond-human-meat-peripherals-can-comprehend
Valve Reveals Partnership with OpenBCI to Make VR Gaming More Immersive – Road to VR
https://www.roadtovr.com/valve-openbci-immersive-vr-games/
ゲーム開発企業のValveは、VRプラットフォームの、Steam VRを開発したほか、さらに自社開発のVRヘッドセット「Valve Index」を販売しており、VR分野の拡大に精力的に取り組んでいます。
そんなValveは以前から脳波を利用したVRデバイスの開発を示唆しており、Valveの実験心理学者であるマイク・アンビンダー氏は「VRデバイスへBCIを応用する可能性」について2019年に発表しました。実際の発表の様子は以下のムービーで見ることができます。
Brain-Computer Interfaces: One Possible Future for How We Play - YouTube
ニューウェル氏によれば、Valveは、OpenBCIというオープンソースのBCIデバイスを開発する企業と提携し、BCIを搭載したVRヘッドセットの開発を行っているとのこと。ニューウェル氏は「脳信号を高解像度で読み取る技術をヘッドセットに内蔵し、さまざまなモダリティを提供する方法を開発しています」と語りました。
実際に、OpneBCIは「Galea」と呼ばれる、VR/ARヘッドセットと連携可能なBCIの開発を2020年11月に発表しました。
Galeaには脳波の測定のほか、まばたきや視線を検知できる眼電位センサー、体の動きを検知できる筋電位センサー、皮膚電気活動センサー、血液や空気量の変化を測定する光電式容積脈波記録センサーも内蔵しており、装着者の体の動きだけではなく、装着者の興奮度や感情を非侵襲的に測定することもできるとのこと。
このGaleaがValveと共同開発しているデバイスの原型であるかどうかは明らかではありませんが、Galeaの性能は2019年にアンビンダー氏が発表したVRデバイスのコンセプトと非常に近いものとなっています。
BCIの研究速度は非常に早いことから、ニューウェル氏は「時期尚早にならないように、BCIデバイスの商品化には慎重を期しています」とした上で、「今から6カ月後、私たちは多くの機能を有効にする何かを手にするでしょう」と、GaleaのようなBCIを応用したVRデバイスの発表をほのめかしています。
ニューウェル氏は「BCIは、プレイヤーが目や耳など『肉でできた周辺機器』を通じて得るものよりも優れたゲーム体験を与えてくれます」「現実の世界は、人々が脳の中で作り出した体験に比べると、無色かつ平たんで、ぼやけているように見えるでしょう」と述べました。
さらに、ニューウェル氏は「2022年になってもテストラボでBCIデバイスの1つも所有していないソフトウェア開発者は、愚かな間違いを犯しているといえます」「BCIの登場は、これまでのエンターテインメントを絶滅させるレベルの出来事です」とまで豪語しました。
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