トランプ前大統領のアカウント無期限停止についてFacebookが独立監査機関に審議を要請
Facebookはドナルド・トランプ前大統領のアカウントを無期限に停止していますが、この決定の審議を独立監査組織である監督委員会に審議を要請したと発表しました。監督委員会から認可を受ければ、Facebookはトランプ前大統領のアクセスの無期限停止を維持することとなります。
Referring Former President Trump’s Suspension From Facebook to the Oversight Board - About Facebook
https://about.fb.com/news/2021/01/referring-trump-suspension-to-oversight-board/
Facebook calls in its Oversight Board to rule on Trump ban | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2021/01/facebook-calls-in-its-oversight-board-to-rule-on-trump-ban/
監督委員会はFacebookのマーク・ザッカーバーグ氏が提唱して設立された、Facebookから独立した監査組織で、元判事や元政治家、法学者、政治学者、哲学者など、専門家40名で構成されています。Facebookをはじめとするソーシャルメディアが運営上で難しい判断を迫られた時、監督委員会に審査を依頼し、自分たちの判断やポリシーについて審議を要請することができます。
2021年1月6日にトランプ前大統領の支持者層が引き起こした連邦議会議事堂襲撃事件を受けて、TwitterやTwitch、YouTubeはトランプ前大統領のアカウントを凍結。Facebookも同年1月7日にトランプ大統領のFacebookとInstagramのアカウントを「少なくとも2週間」の無期限停止処分にしました。
しかし、Facebookのグローバル・アフェアーズ部門ヴァイス・プレジデントであるニック・クレッグ氏は、「トランプ前大統領のアクセスを停止するという私たちの決定は、異常な状況で行われました。私たちの決定に対する反応は、民間企業が微妙なバランスを求められていることを示しています。『Facebookはもっと早くトランプ前大統領を禁止処分にするべきだった』『連邦議会議事堂での暴力はソーシャルメディアの産物だった』という意見もあれば、『民間企業の権力が説明責任を伴わずに政治的言論を超えて示されるのは容認できない』という意見もありました」と述べています。
クレッグ氏は「開かれた民主主義において、人々は政治家の言うことに耳を傾ける権利を持っています。しかし、政治家が好きなことをなんでも言えるという意味では決してありません」と述べ、暴力の扇動がFacebookのポリシーに抵触することが理由となって、トランプ前大統領がFacebookのアカウントを停止されたことをアピールしています。
一方で「たとえトランプ前大統領のアカウント無期限停止が妥当なものであったとしても、ハイテク企業が、民主主義によって選出されたリーダーを禁止する権限を持っているという考えには、当然ながら多くの人が不快感を覚えるでしょうし、Facebookのような民間企業が独自にこのような大きな決定を下すべきではないと述べています。私たちも同感です」とクレッグ氏は語り、今回のトランプ前大統領のアカウント無期限停止について、監督委員会へ審議を依頼した動機を明らかにしました。
クレッグ氏は「トランプ前大統領のアカウント無期限停止という決定は、民主的に責任のある議員によって合意された法律という枠組みにしたがって行われるべきです。しかし、そのような法律がない場合、私たちはこうした決定を避けて通ることはできません」と述べ、ソーシャルメディアに拘束力を持つ独立機関である監督委員会の決定を尊重するとしました。
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