ソフトウェア

Red Hatがエンタープライズ向けLinux「RHEL」の無償利用条件を拡大


オープンソースソフトウェア開発を行うRed Hatが、同社のエンタープライズ向けLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)を無償で利用できる条件を拡大すると発表しました。

New Year, new Red Hat Enterprise Linux programs: Easier ways to access RHEL
https://www.redhat.com/en/blog/new-year-new-red-hat-enterprise-linux-programs-easier-ways-access-rhel


Red Hatは2020年12月、サーバー用途で広く利用されていた「CentOS Linux」の開発終了を発表しました。「Linux開発の歩調をIT業界の成長に合わせる」ための決定でしたが、無償で利用できる「RHEL互換のLinux」を失う発表にコミュニティは強く反発し、AlmaLinuxRocky LinuxといったCentOS代替OSが登場することとなりました。

「CentOS 8」が2021年末で終了、以後の開発はCentOS Streamに注力する方針が明らかに - GIGAZINE


そうしたRed Hat系のLinuxディストリビューションを取り巻く状況の中、Red HatはRed Hat Developer Program上でRHELを無償で利用できる条件を拡大すると発表しました。これまで無償利用の条件は1ユーザー、1台、ソフトウェア開発用途のみに限定されていましたが、今後は最大16台まで本番環境で利用できるようになります。

RHELを無償利用するには2021年2月1日に公開予定の「Individual Developer subscription」に登録する必要がありますが、登録費用などはかからず、Red Hatからの営業活動などもないとのこと。Individual Developer subscriptionによるRHELの利用はセルフサポートとなっていますが、必要に応じてフルサポートにアップグレードすることも可能です。

また、個人開発に限定されていたRed Hat Developer Programを拡張して、チームによる開発をカバーすることも発表。RHELのサブスクリプションを有する顧客が製品開発を行う際は、そのサブスクリプション経由で開発用途ではRHELを無償利用することができるようになります。また、顧客のサブスクリプションからRed Hat Cloud Accessを利用することで、AWSやMicrosoft Azure、GCPといったクラウドサービスにRHELを容易にデプロイすることができるようになるとのこと。

by Rich Bowen

また、FedoraやCentOS StreamといったRed Hat系Linuxディストリビューションの立ち位置についても、以下のように公式に定義されています。

・Fedora:新しいOSの革新、思考、アイデアの場。次のメジャーバージョンとなるRHELが生まれる場所
・CentOS Stream:次のRHELのマイナーバージョンを開発する継続的デリバリープラットフォーム
・RHEL:世界中のほぼすべての産業で使用されている本番環境用のインテリジェントなOS

今回の無償利用の条件緩和でも、CentOSがカバーしていたすべての利用ケースを網羅できたわけではないとのこと。Red HatはRHELをより利用しやすくするためにさまざまな障壁の解決に取り組んでおり、2020年2月中にさらなるプログラムを発表予定であるとしています。

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in ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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