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SimCity・Cities Skylines・Transport Tycoon・A列車・Soviet Republicの都市開発シミュレーション5作品は何が違うのか?


都市開発シミュレーションは、学校・警察・消防・病院などの公共サービスや発電所・鉄道・空港などのインフラなどを設置することで、都市を発展させるというゲームジャンルです。都市開発シミュレーションの中でも特に著名な「SimCityシリーズ」「Cities Skylines」「Transport Tycoon」「A列車で行こうシリーズ」「Workers & Resources: Soviet Republic」という5作品について、ブロガーのAlfred Twuさんが比較を行っています。

Alfred Twuさん (@alfred_twu) / Twitter
https://twitter.com/alfred_twu

今回比較した5作品はどれも「都市開発」という点では共通していますが、それぞれの設計思想が異なります。


それぞれのゲームは、大別すれば「Player role(プレイヤーの役割)」「Player builds the following things(プレイヤーが建てられる施設の種類)」「Zoning(ゾーニング:住宅地域・工業地域などの地域区分)」「Vehicle routes(移動経路)」などが異なります。例えばSimCityはプレイヤーは「Government(政府)」という立場で、「Roads(道路)」「Rails(線路)」「Public buildings(公共施設)」などは自分の手で建設できますが、「Individual homes and businesses(個別の住宅・職場施設)」は建設不可。ゾーニングはできますが、移動経路の設定はできません。


都市開発シミュレーションというゲームジャンルを切り開いたのはSimCityシリーズとされています。SimCityシリーズは、1989年にコモドール64、アミーガ、マッキントッシュ、IBM PCなどのハードで発売された初代「SimCity」以降、「SimCity 2000」や「SimCity 3000」、「SimCity 4」などのナンバリングタイトルが発売されてきましたが、2013年の「SimCity(2013)」を最後に新作は登場していません。シリーズを経るごとにグラフィックは進化しましたが、ゲームシステム自体は大きく変わらないというのもSimCityシリーズの特徴の1つです。


SimCityシリーズの醍醐味(だいごみ)の1つが渋滞問題。SimCityシリーズは「人口が増えると渋滞も増える」というシステムで、渋滞をいかに解決するかが発展の成否を決定づけます。SimCityの謎の1つは「あれだけの車はどこから沸いているのだろうか?」というものですが、デザイナーいわく「駐車場が地下にあると思っておいてください」とのこと。


駐車場の謎に正面から取り組んでいるのが、Soviet Republicです。Soviet Republicで開発できる都市はSimCityシリーズに比べてコンパクトな規模ですが、住民に車を使わせたい場合には駐車場を建設する必要があるというのが特徴。


一方、「SimCityの後継」とも呼ばれるCities Skylinesは、SimCityに比べて交通機関に力点を置いた作品。Cities Skylinesの開発元であるColossal Orderは、鉄道・路面電車・バス・水上バス・ヘリコプターなどの公共交通機関の整備と経営をメインに据えた「Cities in Motion」を処女作としており、公共交通機関に関する同社の関心が特に高いことを伺わせます。


以上のSimCityシリーズ・Soviet Republic・Cities Skylinesはいずれも「プレイヤーは地方自治体という立場」な点では共通です。一方、日本のA列車で行こうシリーズは、プレイヤーが「鉄道会社兼不動産会社という立場」な点が特徴。


A列車で行こうシリーズでは、事業や住宅を自動で発展させるだけでなく、自分で建物を建築したり売買したりも可能。また、「建築資材の生産や流通」なども他の都市開発シミュレーションにはない独創的な要素として挙げられます。


Transport Tycoonもプレイヤーが輸送会社の社長であるという点は、A列車で行こうシリーズに近いといえます。しかし、Transport Tycoonには「ライバル会社」が登場するという他の都市開発シミュレーションには見られない特徴があり、自社の輸送効率が悪い場合にはライバル企業に屈して売上が下がってしまうので、輸送施設の敷設だけでなく、効率化も並行して行う必要があります。


それぞれの都市開発シミュレーションでは、経済に介入するシステムも異なります。SimCityでは税率や都市条例などのシステムで都市の発展に介入することが可能で、都市内の全原子力施設を強制廃止するという「核廃絶地区」という都市条約を制定して環境保護論者を喜ばせることもできます。


SimCity 4では、低所得者には低い税率を、高所得者には高い税率を課すといった「所得層に応じて税率を変更できる」というシステムが実装されており、特に高い税率を課すことで、特定の所得層を街から一掃することも可能です。これは、ニュージャージー州ニューアークやミシシッピ州エドワーズなどが特に割高な固定資産税を課すことで、アフリカ系アメリカ人などの低所得層を追い出そうとしたことがあるという歴史的経緯に由来します。


Cities Skylinesでは、住宅密度に応じて異なる固定資産税を課すことが可能。


一方、Transport TycoonとA列車で行こうシリーズは、プレイヤーが輸送会社という民間企業の立ち位置なので、税収とは無縁。Transport Tycoonでは、プレイヤーの資金源は輸送による営業利益のみで、税金なる概念は存在しません。


A列車で行こうシリーズではむしろ税金を払う必要があります。A列車で行こうシリーズの中でも初期の作品は「利益の50%」という特に高い税金が課せられていましたが、これは1990年代当時の日本の法人税を反映したもの。


Soviet Republicではプレイヤーは「社会主義国家の指導者」という立場なので、税金や個人資産などはなく、人民の衣服からテレビの電波に至るまで提供するのはプレイヤー次第。資金は国内産業だけでなく、他国との貿易によっても得ることができます。


Twuさんは5作品を比較した上で、「この5作品と異なるタイプの都市開発シミュレーションとしては、プレイヤーは政府という立場で、公共交通機関だけでなく住宅や職場施設まで建造できるという、中国やドバイのような『国家資本主義』タイプのゲームが考えられます」と指摘しました。

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in ゲーム, Posted by darkhorse_log

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