サイエンス

体内のマイクロプラスチックがおなかの中の胎児に達する可能性が浮上


イタリアの研究チームが世界で初めてヒトの胎盤からマイクロプラスチックを検出しました。母体が取り込んだマイクロプラスチックが胎盤を経由して発達中の胎児に伝達される可能性が示唆されており、研究者は「重大な懸念がある」と警鐘を鳴らしています。

Plasticenta: First evidence of microplastics in human placenta - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160412020322297

Microplastics revealed in the placentas of unborn babies | Plastics | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2020/dec/22/microplastics-revealed-in-placentas-unborn-babies

‘Matter of great concern’: Scientists find microplastics in human placenta for 1st time - National | Globalnews.ca
https://globalnews.ca/news/7537031/microplastics-human-placenta-fetus-study/

マイクロプラスチックはその名の通り「微小なプラスチック粒子」のことです。マイクロプラスチックはプラスチック製品だけでなく、(PDFファイル)歯磨き粉や角質除去タイプの洗顔料などからも発生することが知られており、直近の研究ではプラスチック製のティーバッグや紙コップがマイクロプラスチックを大量に放出することも判明しています。

紙コップでコーヒーを1杯飲むと2万5000個のマイクロプラスチックを摂取することになる - GIGAZINE


ローマのテヴェレ島にあるファテベネ・フラテッリ病院の産婦人科チームは、出産後のサンプル提供に同意した女性6人のうち4人の胎盤にマイクロプラスチックが含まれていることを発見し、「妊婦が摂取したマイクロプラスチックが胎盤にまで達しているという研究結果」を新たに発表しました。

発見されたマイクロプラスチックは、胎児側の胎盤から5個、母胎側から4個、羊膜側から3個の計12個ですが、今回の研究では胎盤の約4%のみが分析の対象となったため、研究チームは「胎盤に含まれる総数ははるかに多い」と主張。これらのマイクロプラスチックは青・赤・オレンジ・ピンクに染色されていたことから、研究チームは「パッケージや塗料、化粧品、パーソナルケア用品から放出されたもの」と予測しており、胎盤からマイクロプラスチックが検出されなかった女性2名に関してはライフスタイルの違いが原因ではないかとみています。


今回の研究はあくまで胎盤のみを分析対象としたため、マイクロプラスチックが実際に胎盤を経由して胎児まで達したかどうかは不明です。研究チームは胎盤のマイクロプラスチックが子癇前症子宮内胎児発育遅延などの危険な妊娠症状を引き起こしかねないと主張し、ヒト胎盤におけるマイクロプラスチックが免疫反応を引き起こすのかどうかや、マイクロプラスチックに含まれる有害な汚染物質が妊娠に影響を与えるのかどうかについての研究が求められると語りました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
紙コップでコーヒーを1杯飲むと2万5000個のマイクロプラスチックを摂取することになる - GIGAZINE

プラスチック製ティーバッグが100億個以上のプラスチック粒子をカップに放出していると判明 - GIGAZINE

世界中の「食塩」ブランドの9割でマイクロプラスチックが発見される - GIGAZINE

世界をプラスチックで汚染している企業ランキングが公開される - GIGAZINE

人間が出した微小な「マイクロプラスチック」が魚の成長を妨げている可能性 - GIGAZINE

レジ袋を禁止するのは海洋汚染防止にそれほど効果がない - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.