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GoogleのFitbit買収を欧州委員会が承認、ただし「コミットメントの完全順守」が条件


ウェアラブルデバイスメーカーのFitbitをGoogleが買収した件について、「Fitbitの健康データとGoogleの集めたデータを組み合わせることで、医療や健康保険などで消費者を搾取することが可能になり、プライバシーにも大きな影響を与える」と主張した欧州委員会が、条件付けでFitbitの買収を許可すると発表しました。

Mergers: Commission clears acquisition of Fitbit by Google
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_20_2484


EU approves Google's acquisition of Fitbit, subject to conditions
https://www.cnbc.com/2020/12/17/googles-2point1-billion-acquisition-of-fitbit-approved-by-eu.html


2020年11月1日、GoogleがFitbitの買収を正式に発表しました。買収額はおよそ21億ドル(2300億円)でした。

Google親会社がウェアラブルデバイス大手Fitbitを買収 - GIGAZINE

by Mike Mozart

GoogleによるFitbit買収に待ったをかけたのが、欧州委員会でした。欧州委員会は「Googleの過去10年間のビジネス慣行は、正確に言うと『世界のデータを収益化する』ことを示唆しています」と述べ、GoogleがFitbitのデータ収集機能を手にすることで、独占力の拡大や消費者の搾取という大きなリスクが生まれると、2020年9月に指摘しました。

欧州委員会は、特に以下の3点で懸念を抱いていたと述べています。

◆懸念1:広告
GoogleがFitbitを買収するということは、ユーザーの健康情報がまとめられたデータベースや、Fitbitのデータベースを開発・運営する技術がGoogleのものになることを意味します。Googleは、広告のパーソナライズに利用できるような膨大なデータを獲得することになり、ライバルが広告市場でGoogleのサービスに匹敵することはより困難になると考えられます。また、広告主にとっても、最終的に広告費の高騰に直面し、選択肢が狭まってしまう可能性があると欧州委員会は指摘していました。

◆懸念2:APIへのアクセス
ユーザーに対するサービスの提供やデータの取得のために、FitbitのデバイスはWebAPIを介してデータベースへのアクセスを行っています。欧州委員会は、Googleが競合他社のFitbit向けWebAPIへのアクセスを制限する可能性があると指摘し、そうなればヨーロッパのデジタルヘルスケア分野の新興企業が犠牲になるだろうと述べています。

◆懸念3:ウェアラブルデバイスのシェア
欧州委員会は、Googleが競合他社のウェアラブルデバイスの競合メーカーに対し、Androidスマートフォンとの相互運用性を低下させ、不利益をもたらす可能性があると懸念していました。


欧州委員会の諮問に対してGoogleは、以下のコミットメントを提示しました。

◆広告のコミットメント
GoogleはFitbitデバイスから収集したユーザーの健康データを広告に広告に使用しません。さらに、Fitbitのユーザーデータは広告に使用されるGoogleデータとは明確に区別します。また、Googleは欧州経済地域のユーザーに対して、FitbitのデータをGoogleマップやGoogle検索、GoogleアシスタントなどのGoogleサービスが利用する際に許可を求めることを保証します。

◆APIのコミットメント
Googleは今後もAndroidスマートフォンとの相互運用に必要なコア機能をカバーするAPIについて、AndroidのOEM企業に無償でライセンスを提供します。また、Fitbitの競合他社にも相互運用に必要なコア機能をカバーするAPIのソースコードをオープンソースで提供します。加えて、警告やエラーメッセージの表示、許可の要求といった方法で、サードパーティーのウェアラブルデバイスのユーザーエクスペリエンスを低下させたり、サードパーティ製アプリのGoogle Playストアへのアクセスを妨げることはしません。

by Nick Richards

欧州委員会は、Googleのコミットメント提示を受けて、「コミットメントによって修正された買収取引は、市場競争上の懸念を引き起こさない」と結論付け、上記2つのコミットメントを完全順守する限りでFitbitの買収を認めるという判断を下しました。

欧州委員会のエグゼクティブ・ヴァイスプレジデントであるマルグレーテ・ベステアー氏は「GoogleによるFitbitの買収案を承認できたのは、この契約によって、ウェアラブルデバイス市場と新しいデジタルヘルス市場がオープンで競争力のあるものであり続けることが保証されたからです。Googleが収集したデータを広告目的でどう使うか、ウェアラブルの競合によるAndroid端末の相互運用性をどうやって保護するかについて、ユーザーは自分のデータを共有するかどうかを選択できます」と述べました。

Googleの広報担当者は経済メディアのCNBCに対して「私たちは、欧州委員会がFitbitの買収取引を詳細に調査したいと考えていることを理解しており、法的拘束力のあるコミットメントを提示して、規制当局の懸念を解決するために建設的に協力してきました。この提携がウェアラブルデバイスのイノベーションに拍車をかけ、人々の健康的な生活を支援する製品の開発を可能にすると信じています」とコメントしています。

by Iyan Adeendren Ayyan

なお、オーストラリアの競争・消費者委員会もGoogleのFitbit買収について協議を行っており、この承認が下りれば、Fitbitの買収は完了となる予定です。

Consultation begins on proposed Google Fitbit undertaking | ACCC
https://www.accc.gov.au/media-release/consultation-begins-on-proposed-google-fitbit-undertaking

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in ネットサービス,   ハードウェア, Posted by log1i_yk

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