月間視聴回数合計15億回を突破する日本生まれの「VTuber」文化を2020年の一大トレンドとしてYouTube公式が紹介
YouTubeが、2020年に流行した動画やミームをまとめた「デジタル カルチャー&トレンド レポート」を公開しました。その中で日本で生まれた「バーチャルYouTuber(VTuber)」の文化について、YouTube公式がムービーで紹介しています。
YouTube Culture & Trends Report: VTubers - YouTube
2016年に登場したキズナアイは、自身を「バーチャルYouTuber」と紹介しました。YouTubeはこれがまさに「日本のバーチャル伝説が誕生した瞬間」であるとしています。
モーショントラッキング技術や顔検出技術が進化したことで、アバターに対してリアルタイムで動きを反映させることが可能になりました。
3Dのアバターに人間の動きを反映させることで、ソフトウェアで1コマずつアニメーションを作らずとも、人間の「魂」をバーチャル空間のアバターに吹き込むことが可能になりました。
キズナアイが自己紹介に使った「バーチャルYouTuber」は、やがて「VTuber」という言葉に省略され、クリエイターにとって新しいカテゴリーを示す言葉として広く使われるようになりました。もはやVTuberは無視できないジャンルの1つとなっており、YouTubeによれば、VTuber関連動画の月間視聴回数は2020年10月までで15億回を突破しているそうです。
VTuberは当初、モーションキャプチャーで3Dアバターを動かすスタイルが主流でしたが、特に難しい機材を必要としない「2Dのアバターを顔認識システムで動かす」スタイルも定着し、新しい主流となりました。特にVTuberの中でも人気の高いグループである「にじさんじ」や「ホロライブ」に所属するVTuberは、この2Dアバターのシステムを主に使っています。
キズナアイが登場してからも、全身の動きをより高い精度で拾うモーションキャプチャー技術も大きく進化しました。
これによって、日本独特のアニメや漫画のような見た目をしたキャラクターが、まるで本物のアーティストのように洗練されたライブを行い、ファンと交流を行うことが可能になりました。
YouTubeは、特ににじさんじのVTuberである加賀美ハヤトのライブに言及しています。彼の3Dモデルお披露目ライブはYouTube上で無料でライブ配信されたもので、最高同時接続者数が13万人を超え、再生回数が公開初日で100万回を突破するほどの注目を集めました。
他にも、VTuberによる「うたってみた」動画が多数公開されています。
また、技術の進歩によって表現の幅が増えたことで、現実には不可能な表現も可能となりました。
YouTubeは、VTuber文化が日本を中心に発展したのは、オンラインでの匿名性を重んじる日本の独特なインターネット文化が背景にあるとみています。また、調査によれば、YouTubeの視聴者の47%は「フィクションあるいはバーチャルのキャラクターによるコンテンツを見てもいい」と回答しているそうです。
「VTuber文化が示しているのは、アバターでも人間のパーソナリティと同等か、それ以上の忠誠心(ロイヤルティ)とエンゲージメントをファンから引き出せるということです。また、クリエイターとファンの関係を再定義し、『本物』の定義がいかに柔軟なものかを示しています」とYouTubeは論じました。
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