バーチャル表現への挑戦が感じられたデザイン×音楽の新感覚ファッションショー「FAVRIC 2019」レポート
©FAVRIC 2019
バーチャルな存在であるバーチャルYouTuber(VTuber)がランウェイを歩く異色のイベント「FAVRIC 2019」では、3Dモデルというバーチャルな肉体を生かした衣装、いくつものモニターを使った音楽ライブの演出など、バーチャル×リアルライブへの挑戦が感じられました。
FAVRIC
https://favric.jp/
会場の様子は以下の記事を見るとよく分かります。
世界初のバーチャル美少女がランウェイを歩くファッションショー「FAVRIC 2019」とは?会場の様子まとめ - GIGAZINE
イベントではまずオープニングDJとしてミライアカリさんが登場。
一面に広がるブルーのサイリウムの中で、会場を暖めました。
オープニングDJのあとは、会場に作られたモニターのランウェイでVTuberたちがウォーキングを見せてくれました。以下の画像のようにランウェイ正面のモニター(写真左)とランウェイ両脇のモニター(写真中央から右)がありますが、正面のモニターではランウェイの奥から歩いてくる姿を、両脇のモニターではウォーキングを横から映した姿を見ることができます。
正面から見た様子は以下のムービーを見るとよくわかります。
バーチャルYouTuberがランウェイを歩く(正面)@花譜さん - YouTube
以下のムービーでは、歩いていくところを横から見た姿を確認できます。
バーチャルYouTuberがランウェイを歩く(ステージ左)@YuNiさん&ミライアカリさん - YouTube
ウォーキングからポーズまでを通しで見るとこんな感じ。
バーチャルファッションショー「FAVRIC 2019」ウォーキング@電脳少女シロさん - YouTube
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服というよりは「黒」という色をそのまままとったような樋口楓さん。
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イヌ耳のLITA(リタ)さんとネコ耳のLIZ(リズ)さんのユニットKMNZ(ケモノズ)。普段はラフなストリートファッションが特徴ですが、ここではシックでおしとやかな和装でウォーキング。幾何学的なデザインの傘も印象的です。
狼男のアンジョーさん(右)と吸血鬼のコーサカさん(左)の男性ユニットMonsterZ MATEは、ランウェイの最後に二人でクールなポーズをキメていました。
謎の浮遊物を従わせながら歩くピンキーポップヘップバーンさん。
普段の衣装に近いミライアカリさんとすれ違うのは、燃えさかる炎が特徴的なバーチャルシンガーのYuNiさん。
ばあちゃる学園に通う12人のアイドルグループ・アイドル部からは7人がランウェイに参戦。
アイドル部のお姉ちゃん的存在である電脳少女シロさんが入れ替わりで登場し特別衣装をお披露目。モデルさながらの決めポーズを見せてくれました。
ファッションショーのトリをかざるのは、持ち前の歌唱力で観客を魅了する花譜さん。普段の紺色パーカーよりも明るく光沢のある青い衣装です。
特徴的な後ろ姿はこんな感じ。
ウォーキングが終わると、間髪入れずライブパートに移行。出演者全員による、人気VOCALOID曲「ロキ」の合唱が行われました。正面のモニターではアイドル部と電脳少女シロさんが映っており……
サイドのモニターでは一人ずつモニターを占拠する形で出演者が並んでいます。
続いて、それぞれの出演者によるライブステージが行われました。FAVRIC 2019の特別衣装で歌って踊る、ここだけでしか見ることができないスペシャルなステージとなっていました。以下の写真はポップな衣装と普段以上にガーリーな髪型でキュートに「ダンスロボットダンス」を踊る電脳少女シロさん。
妹分であるアイドル部と電脳少女シロさんが共演した「ダダダダ天使」
続くアイドル部の「お願いマッスル」では、アイドル見習いとしてのジャージをイメージした統一衣装からそれぞれのアイドル衣装へと変化するバーチャルライブならではの演出が見られました。
【FAVRIC 2019】バーチャルならではのライブ演出@アイドル部 - YouTube
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ビビッドな色遣いが特徴のピンキーポップヘップバーンさんは、デビュー当初から大ファンだと公言していた相手であるアイドル部のもこ田めめめさんとステージで初共演。同じステージに立てた喜びを全身で表現していました。
そのまま二人で「ワールズエンド・ダンスホール」を披露。本家のPVを思わせる画面演出が光ります。
その後ピンキーポップヘップバーンさんは、イベントの2日前にPVを公開したばかりのオリジナル曲「P!NGPONG QUEST」をはじけるように歌い上げました。キャラクターのコンセプトアートをイメージさせるビビッとカラーの演出がとても魅力的。
Twitterで出演者を公募した「Rookie's Runway」を除くと出演者の中で唯一の男性グループとなるMonsterZ MATEは、オリジナル曲「千年愛」など3曲をクールに歌います。
普段のシンプルな衣装からうってかわって、メラメラと揺らめく炎が特徴的な、バーチャルならではの衣装を身にまとったYuNiさん。オリジナル曲を2曲披露しました。
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KMNZの二人は「Augmentation」「VR」の2曲で会場を盛り上げます。ラップパートもあるストリート系の楽曲ですが、特別衣装だとまた違った趣を感じられました。
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樋口楓さんはオリジナル曲「MapleDancer」と、自身のファーストライブでお披露目した「響鳴」を歌唱。特に「響鳴」では、バチバチと静電気をまとうエフェクトや、真っ黒な衣装をスクリーンにして彩るなど、まさしく「バーチャルならでは」のライブ演出が行われました。
【FAVRIC 2019】バーチャルならではのライブ演出@樋口楓さん - YouTube
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引き込むような歌声で、1stライブがTwitter世界トレンド1位も達成した花譜さんは、カバー曲を2曲披露した後、オリジナル曲「魔女」で会場を魅了。
「魔女」では、ラストのサビの最も盛り上がる部分で衣装がより華やかに変身する演出が印象的でした。
【FAVRIC 2019】バーチャルならではのライブ演出@花譜さん - YouTube
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ライブパートには、テレビアニメ「ギルティクラウン」から生まれたバーチャルアーティストの先駆け的存在であるEGOISTがスペシャルゲストとして登場。「名前のない怪物」「The Everlasting Guilty Crown」と立て続けに歌い上げ会場のボルテージは最高潮に。
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「ギルティクラウン」のヒロイン・楪いのりの衣装で登場して2曲歌った後、「Fate/Apocrypha」の主題歌「英雄 運命の詩」を、作中に登場するキャラクターを思わせる衣装で披露しました。
フィナーレにはバックモニターに出演VTuberたちが大集合し、EGOIST「咲かせや咲かせ」が華やかに奏でられました。
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一度イベントの幕は下り……
アンコールとして、イベントの最後には「Rookie's Runway」と題し、Twitterにて公募された美男美女からタンバリンまで個性豊かなVTuberたちによる「Dear」の大合唱が行われました。
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FAVRIC 2019は、それぞれのモニターに映るものが違うため客席によって異なる映像を見られることや、画面の中で歌って踊るだけではなく画面演出を工夫したりと、「バーチャルならではのリアルイベント」を追究する気持ちが強く感じられました。ただ、VTuberは3Dモデルの肉体を持っていてもモニターは平面であることや、どうせモニターなら中継を見れば十分ではという疑問への回答、また正面に大きいモニターがあることで奥のモニターが見えにくかったという意見があるなど、今後の課題も多く浮かびあがった印象。FAVRICはそんな「バーチャル×リアルイベント」の挑戦的な一例として注目できるイベントでした。
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