NANDゲートを使って自力でイチから回路を組み立てる「NandGame」レビュー

組み合わせを工夫することで、どんな論理回路も設計できると知られているNANDゲートを用いて、クイズ形式で出題されるさまざまな回路を作成し、遊びながら電子工学について学べるウェブサイトが「NandGame」です。

NandGame - Build a computer from scratch.
http://nandgame.com/#

NandGameの画面はこんな感じ。紫色のボード上にNANDゲートを設置し、新たな回路を組み上げていきます。

左には組み上げる回路の説明が書かれています。言語は英語・ロシア語・中国語から選択可能で、日本語には未対応。

ボードの左に配置された回路をドラッグ＆ドロップし、回路を配置していきます。

回路の「○」同士をドラッグ＆ドロップすると……

回路同士を接続することができます。

ボードから回路を消去する場合は左下のごみ箱部分に回路をドラッグ＆ドロップします。

最初に作る回路は「Invert」、つまり「1」の入力に対しては「0」を、「0」の入力に対しては「1」を出力する回路です。NANDゲートは入力が両方とも「1」の場合は「0」を、それ以外は「0」を出力する回路なので、NANDゲートを以下のように配置すればInvert回路の完成。

入力部分のチェックを入れると、入力の「0」と「1」を切り替えて動作を確認することができます。

回路が完成したらボード左上の「I have compeleted the level」をクリック。

正しい回路を設計できていれば「Level successfully completed!」という文字とともに、「Next level」と書かれた次のレベルへ進むボタンが表示されます。

次のレベルでは先ほど作成したInvert回路が利用できるように。このようにしてNANDゲートで新しい回路を作成し、その回路を使ってまた新しい回路を作成していく……というのが、NandGameの遊び方です。

次のレベルで作成するのはAND回路。AND回路はNAND回路の出力を反転させればよいので……

先ほど作成したInvert回路をNANDゲートに接続すれば、AND回路の完成です。

クリアしたレベルの確認は「Levels」タブで行えます。

クリアした回路は緑色、取り組み中の回路は青色、未クリアの回路は灰色で表示されています。基本的な回路からRAM、Computerといった高度な回路まで、かなり多くの回路を組み立てることができます。

AND回路の次のレベルであるORゲートはこんな感じ。ORゲートはふたつの入力が両方とも「0」の時のみ「0」を出力すればよいので、NANDゲートで反転した値をANDゲートに出力し、さらにそれを反転すればOK。

Invert回路を使えばよりシンプルに配置できます。

「Level Help」ボタンをクリックすると、回路に関する詳細な説明を確認できます。

ただし、「どの回路をどのように配置する」といったヒントは一切ないので、あまり使用する機会はないかもしれません。

基本回路の最後のレベルであるXOR回路の配置は以下。

XOR回路をクリアすると、次は「arithmetics(算術)」回路を作成するレベルに突入します。

最初の算術回路は一桁の2進数の加算を行える「Half Adder(半加算器)」です。

考え方は簡単で、「h」にはAND回路から、「i」にはXOR回路からの出力を入力すればOK。

半加算器の次は下の桁からの桁上がりを考慮して和を計算できる「Full Adder(全加算器)」です。先ほどの半加算器を2つとORゲートを利用することで全加算器を実現できます。

NandGameはこんな感じで正しく回路を設計していくゲームですが、ヒントや誘導がほとんどないため、全クリアには電子工学の知識が必須。しかし、シミュレーターとしては優れた出来栄えなので、回路図を見ながら回路を配置し、構造を学ぶにはいいウェブサイトです。

なお、NandGameの解答は有志によって公開されているので、どうしても答えが気になる人はチェックしてみてください。

GitHub - simsieg/nandgame-solutions: Solutions for nandgame.com
https://github.com/simsieg/nandgame-solutions