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CAPTCHAは回答者が「人間」であると証明するのではなく「アメリカ人である」ことを証明するだけとの指摘


ウェブサイトを訪問したりユーザー登録したりする際に遭遇するCAPTCHAreCAPTCHAは、「○○のタイルをすべて選択してください」といった問題を出し、ユーザーがボットが人間かを識別しています。そんなCAPTCHAについてイギリス人のハッカーであるテレンス・エデンさんは、「相手が人間であることを証明するのではなく、『アメリカ人』かどうかを証明している」と非難し、多くの人々が賛同のコメントを寄せています。

CAPTCHAs don’t prove you’re human – they prove you’re American – Terence Eden’s Blog
https://shkspr.mobi/blog/2017/11/captchas-dont-prove-youre-human-they-prove-youre-american/

CAPTCHAやreCAPTCHAによる認証を要求されると、以下のような画面が表示されます。「私はロボットではありません」にチェックを入れると……


以下の画面のように、「横断歩道の画像をすべて選択してください。すべて選択し終わったら[確認]をクリックしてください」といったクイズが出題されます。


出題されるクイズはさまざまで、「バスのタイルをすべて選択してください」という場合や……


「山や丘」を選択する場合もあります。


また、「信号機のタイルをすべて選択してください」といったクイズの場合、隣のタイルにほんの少しだけはみ出た部分を「信号機」に含めるのかどうか、非常に悩んだ経験がある人も多いはず。


エデンさんはCAPTCHAについて記したブログ記事の中で、小さい頃に受けたIQテストについて振り返っています。当時7歳だったエデンさんは、「キャンディー1個の価格は25『セント』です。ジョニーは『ダイム』を1枚持っています。キャンディーを買うために何枚の『ニッケル』が必要ですか?」という問題を読んで非常に困惑したとのこと。

問題文にあった「セント(約1円)」はアメリカ合衆国におけるお金の単位であり、「ダイム」は10セント硬貨のこと、「ニッケル」は5セント硬貨のことを指します。この点を知っていれば、答えは「3枚」だとわかりますが、イギリスに住んでいたエデンさんは問題文自体の意味がわかりませんでした。同様に、文化的な違いのせいで回答できない問題がIQテストには複数あったそうで、テストは他の文化的背景を持つ受験者への配慮を欠いていたといえます。

ある日、エデンさんは以下の画像のように、「タクシーの画像をすべて選択する」というクイズに回答するように求められました。しかし、イギリスのタクシーは一般的に黒色であり、黄色の車体を見て「これはタクシーだ」と気づけるのは、アメリカに住んでいるか映画などでアメリカの文化を知っている人だけだとエデンさんは指摘。日本でもタクシーの色はさまざまであり、「アメリカのタクシーは黄色である」という事前知識がないと、スムーズに回答することは困難です。


エデンさんは、CAPTCHAが判別するのは回答者が「人間であるかどうか」ではなく、「アメリカ人であるかどうか」だと主張。アメリカの文化を知らない人を「人間」だと識別できないシステムは問題だと述べています。

この記事に対しては、エデンさんと同じ疑問を抱いた多くの人々から賛同のコメントが寄せられています。IQテストの問題に対しては、各国にはさまざまな通貨や特定の硬貨に対する特殊な呼称があるという意見が集まったほか……


「crosswalk(横断歩道)」や「sidewalk(歩道)」といったアメリカ英語を使われる点も困りものだという意見も。イギリスでは横断歩道のことを「pedestrian crossing」、歩道のことを「pavement」と呼ぶため、CAPTCHAで「Crosswalk」を選択するように問われてもイギリス人にはわかりにくいとのこと。


また、多くのコメントで指摘されていたのが、「消火栓」と「パーキングメーター」についてのクイズです。以下のように、消火栓やパーキングメーターの画像を選択するように求めるクイズは、CAPTCHAでたまに目にします。


しかし、「信号機は少なくとも一般的といえますが、消火栓は……


私の子どもたちは消火栓とパーキングメーターに戸惑っています


私はこれまでに消火栓を見たことがありません」といったコメントが寄せられるなど、多くの人が消火栓やパーキングメーターをなじみのない存在だと指摘しています。


さらに、「インターネットはアメリカではないということを思いだしてください」というコメントや……


「アメリカ人が『地元の人々がアメリカのスラングを熟知していて、アメリカのポップカルチャーを知っている』と考えて他の国をのし歩くのを見るほど恐ろしいものはありません」など、アメリカ人が自分の文化を他国の人々に押し付ける点に不快感を示すコメントもあります。


また、アメリカ人のユーザーからも、「黄色いタクシーはおそらくニューヨークとロサンゼルスを中心に存在しています。私はアメリカのアイダホ州に住んでいますが、ここで黄色いタクシーを見たことはありません」と述べ、アメリカ国内でも文化が違うと指摘する意見が上がっていました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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