パートナーに「感謝を伝える」には何と言うのがベターなのか?
愛する人に感謝の気持ちを伝えることは、2人の関係を長続きさせるためには重要です。しかし、感謝を伝える言い方にも「感謝の効果を最大化させる表現」と「あまり効果がない表現」があることが、研究により判明しました。
How can I thank you? Highlighting the benefactor’s responsiveness or costs when expressing gratitude - Yoobin Park, Mariko L. Visserman, Natalie M. Sisson, Bonnie M. Le, Jennifer E. Stellar, Emily A. Impett, 2020
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0265407520966049
New Research Shows The Best Way to Express Gratitude to Your Loved One, And It's Easy
https://www.sciencealert.com/new-research-shows-the-best-way-to-express-gratitude-to-your-loved-one
When Thanking a Partner, Focus on Their Helpfulness, Not Sacrifice: Study | The Swaddle
https://theswaddle.com/when-thanking-a-partner-focus-on-their-helpfulness-not-sacrifice-study/
感謝の気持ちを示すことが、社会的な絆を作る上で重要な役割を果たしていることはよく知られていますが、「どのように感謝の気持ちを表現すればその効果を最大化できるのか?」についてはほとんど研究されていません。そこで、カナダのトロント大学で心理学を研究しているYoobin Park氏らの研究チームは、平均27歳のカップル111組を対象として、「感謝の気持ちを伝える言葉」について調査を実施しました。
調査の中で、カップルは自分がしてもらった親切や素晴らしい心配りについて、特に感謝の気持ちを表に出すような方法で会話をしました。これと並行して、それぞれのカップルが14日間の生活の中で「お互いの感謝をどのように感じたか」をアンケートで回答するサンプリング方式の調査を実施。また、カップルの会話を撮影した映像を第三者に視聴してもらい、第三者が「感謝がもたらした前向きな効果」を評価するというオブザーバー方式の調査も行われました。
感謝の効果を評価するにあたり、研究チームは感謝の方法を、相手の心配りが自分のニーズに応えたことを伝える「応答性強調(responsiveness-highlighting)」と、相手の親切がいかに大変だったかを認める「コスト強調(cost-highlighting)」の2種類に分類して、それぞれ感謝方法の効果を比較しました。
その結果、サンプリング方式とオブザーバー方式の両方で、「応答性強調」の感謝方法はパートナーの前向きな気持ちと関連性がみられたとされた一方で、「コスト強調」の感謝方法には効果がみられなかったとのことです。
例えば、ある時パートナーに車で職場に送ってもらったとします。この時、「もしオフィスに直接送ってもらっていなかったら、大切な会議に遅れるところだった」と自分がどれだけ助かったかを伝えるのが、今回の調査で前向きな効果が見られた「応答性強調」の感謝方法です。一方、「ラッシュアワーだったから、車で送るのは大変だったよね」という風に相手の苦労を認めてねぎらう「コスト強調」の感謝方法では、前向きな効果は確認できなかったそうです。
この結果について、Park氏らは論文の中で「私たちの研究は、相手の苦労を承認することに価値がないことを示しているわけではありません」と強調しています。その上で研究チームは「『パートナーが自分のニーズをどれだけ満たしたかを強調すること』が感謝のメリットを得るために重要であり、カップルの幸福度を改善するためにも意義深いことが示唆されています」と結論付けました。
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