サイエンス

女性の性欲は家事や雑用の分担がパートナーと対等であるほど強いという研究結果


性行為はパートナーと良好な関係を築くために重要な要素の1つですが、中には「パートナーの性的欲求が薄くて欲求不満がたまってしまう」という悩みを抱えている人もいるはず。新たな研究では、「家事や雑用の分担がパートナーと対等である女性ほど性的欲求が強い」という結果が示されました。

Fairer Sex: The Role of Relationship Equity in Female Sexual Desire: The Journal of Sex Research: Vol 0, No 0
https://doi.org/10.1080/00224499.2022.2079111

Don't blame women for low libido. Sexual sparks fly when partners do their share of chores – including calling the plumber
https://theconversation.com/dont-blame-women-for-low-libido-sexual-sparks-fly-when-partners-do-their-share-of-chores-including-calling-the-plumber-185401

近年では、家事や育児といった家庭内における労働の負担割合が男女で不平等なことが問題視されつつあります。若い世代においては家事分担の男女平等意識が強い傾向があるものの、2020年の調査ではテレワークが増加したにもかかわらず、働く女性の75%が家事を5割以上負担しているという結果が示されるなど、依然として女性の方が家事や雑事を多く負担しているのが現状です。

そこで、オーストラリア・スウィンバーン工科大学の心理学者であるエヴァ・ヨハンセン氏らの研究チームは、「家事や雑用の負担がパートナーとの関係にどのような影響を及ぼすのか?」という疑問について、女性の性的欲求に焦点を当てた研究を行いました。オーストラリアの女性を対象にした2020年の調査では、性的欲求の薄さは50%以上の女性に影響を与えていることが示されているとのこと。


一口に「性的欲求」といっても、女性は単に「セックスをしたい」というモチベーションを性的欲求として表すだけでなく、パートナーとの関係性を示す指標としても性的欲求を用います。つまり、年齢や更年期障害といった生理学的な要因だけでなく、パートナーとの関係も女性の性的欲求に関わってくるというわけです。

また、研究チームは「最近の理論は2つの異なるタイプの欲望を提案しました。『dyadic desire(ダイアディック欲望)』は他人に感じる欲望であるのに対し、『solo desire(ソロ欲望)』は個人的な感情です」と述べ、関係性のダイナミクスと絡み合うダイアディック欲望と、他人を必要としないソロ欲望とを区別しています。

これらの女性の性的欲求に関する前提を踏まえた上で、研究チームはパートナーを持つ18歳~39歳のオーストラリア人女性299人を対象に、性的欲求および人間関係についてアンケート調査を行いました。今回のアンケートにはダイアディック欲望とソロ欲望という2種類の性的欲求に加え、家事の負担、精神的負荷(社会活動の調整や金銭の管理など)、自分とパートナーのどちらが多くの余暇を持っていたかなどの評価項目が含まれていました。


研究チームはアンケート調査の結果を基に、被験者を「平等な仕事グループ(女性とパートナーの家事分担が平等)」「女性の仕事グループ(女性の方が家事分担が多い)」「パートナーの仕事グループ(パートナーの方が家事分担が多い)」の3グループに分け、公平性の違いが女性の性的欲求に及ぼす影響を分析しました。

分析の結果、自分とパートナーの負担割合が平等だと評価した「平等な仕事グループ」の女性は、そうでない女性よりもパートナーとの関係の満足度が高く、ダイアディック欲望も大きいことが判明しました。残念なことに「パートナーの仕事グループ」の女性は少なすぎて正確な評価ができなかったものの、「女性の仕事グループ」の女性は明らかにダイアディック欲望が減退しており、パートナーとの関係にも満足していなかったと研究チームは報告しています。


一方で、女性のソロ欲望にはパートナーとの平等さは大きな影響を及ぼしていないことがわかりました。この結果から研究チームは、女性の性欲が薄いことは女性1人の問題ではなく、パートナーの側からも働きかける必要がある課題であることが示唆されていると主張しています。

今回の研究では「子どもの存在」「パートナーとの関係の長期化」など、家事負担とは直接関係ない要因も性的欲求の減少と関連していることが示されました。しかし、これらの要因について研究チームは、「子どもは女性の仕事量を増やしてパートナーとの平等性が減少する」「関係の長期化によって不平等が拡大する」など、家事分担の不平等につながるものだと指摘しています。

また、同性カップルにおいても家事や雑用の平等性と性的欲求の間に関連性がみられましたが、その程度は異性カップルにおいてはるかに強かったとのことです。


研究チームは今回の発見について、女性がパートナーとの関係における平等さを感じることで満足を感じ、それが相手への性的欲求に影響するというダイナミズムを証明するものだと主張。「今回の研究結果は、女性がパートナーとの関係において負担する仕事量に対処することが、女性の薄い性的欲求への対応策となることを示唆しています」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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