サイエンス

ミクロと科学が織り成す美しさを競う「Nikon’s Small World」2020年度の受賞作品が発表


顕微鏡を通して肉眼では見ることのできないミクロな世界の画像を競う「Nikon’s Small World」2020年度の結果が発表されました。画像の美しさだけでなく「科学における意義」も含めて審査された受賞作品が公開されています。

2020 Photomicrography Competition | Nikon’s Small World
https://www.nikonsmallworld.com/galleries/2020-photomicrography-competition

Glowing brains, fish embryos and a snail tongue taste success in microscopy photo contest | Live Science
https://www.livescience.com/nikon-small-world-photo-contest-winners.html

◆1位:ゼブラフィッシュ幼体の背面
第1位は、アメリカ国立衛生研究所のダニエル・カストラノワ氏、ブラント・M・ワインスタイン氏、バカリー・サマサ氏らによるゼブラフィッシュの幼体を撮影したもの。蛍光画像を撮影できる共焦点顕微鏡によって撮られた画像を350枚以上もつなぎ合わせて作成されており、骨格は青、リンパ系はオレンジで彩色されています。


撮影した画像について、カストラノワ氏は「画像は美しいだけでなく、ゼブラフィッシュのリンパ管の発達モデルがいかに強力であるかを示しています。このようなタイプのリンパ系は哺乳類でのみ発生すると考えられていました。ゼブラフィッシュが持つリンパ系の研究を続けることで、科学界は薬物試験からがん治療まで、さまざまな研究や臨床試験の革新を促進できる可能性があります。なぜなら、魚は哺乳類より飼育がずっと簡単だからです」とコメントしました。

Nikon’s Small Worldの審査員の1人、ディラン・バーネット氏は「審査で画像をトップに押し上げるには、興味深い科学的観点も必要です。カストラノワ氏の画像は、鮮明さと美しさ、そして科学的意義が即座に審査員の注意を引き、審査員全員が賛同した唯一の画像でした」と語っています。

◆2位:カクレクマノミの胚
以下はカクレクマノミの胚を10倍の倍率で撮影したもの。撮影したドイツの出版社に勤めるダニエル・ノップ氏によると、左から受精後1日目、3日目の朝、3日目の夕方、5日目、9日目の胚となっているそうです。


◆3位:カタツムリの歯舌
カラフルな羽根のようにも見えますが、実際は40倍の倍率で撮影したカタツムリの歯舌。ハワードヒューズ医学研究所のイゴール・シワノウィッチ氏によって撮影されました。


◆4位:アーバスキュラー菌根菌の核と菌糸
アーバスキュラー菌根菌は植物の根と共生するカビの一種。そのアーバスキュラー菌根菌を63倍の倍率で撮影したものが以下の画像で、中央あたりにあるキラキラした物体はアーバスキュラー菌根菌の核です。オタワ大学農業学部のワシレイオス・コッコリス氏らの研究チームによって撮影されました。


◆5位:ボゴング蛾の頭部
一説によると「ポップコーンの味がする」とされるボゴング蛾を、5倍の倍率で撮影したのが以下の画像。Saipemのアフマド・フォーザン氏によって撮影されたボゴング蛾は、複眼や毛の1本1本まで細かく捉えられています。


◆6位:ヘーベのやく
赤や青、黄色の色とりどりな粒が集まった不思議な画像ですが、これはヘーベという花の雄しべが持つ器官である「やく」と呼ばれるもの。やくは花粉を生み出す器官であり、カラフルな粒はヘーベの花粉です。画像はノッティンガム大学生命科学部のロバート・マーカス氏らによって10倍の倍率で撮影されました。


◆7位:細胞内の微小管
以下はベイラー医科大学のジェイソン・カーク氏によって撮影された、63倍に拡大された細胞です。複雑に入り組んだオレンジ色の細い線は細胞の微小管で、水色の丸い物体は細胞核を示しています。


◆8位:カメレオンの胚
すでに成体のカメレオンのような姿に成長しているカメレオンの胚を10倍の倍率で撮影したのが以下の画像。クイーンメアリー大学生物化学部のアラン・カリロ氏らによって撮影されました。


◆9位:海馬におけるニューロンの接続
画像中で白く強調されているのは、脳の海馬にあるニューロンの1つを63倍の倍率で拡大したもので、隣接するニューロンとどのように接続しているかが示されています。撮影は7位にもランクインしていたベイラー医科大学のカーク氏らによって行われました。


◆10位:オオミジンコ
以下の画像では、大きなものは体長5mmほどになるというオオミジンコが10倍の倍率で撮影されています。5位と同じフォーザン氏によるもの。


記事中で紹介した以外にも、11位以降の受賞作や入選作品が以下の公式ページで公開されています。

2020 Photomicrography Competition | Nikon’s Small World


2020年度の「Nikon’s Small World」では、写真部門以外にもムービー部門のコンテストも実施されていました。ムービー部門の結果は、以下の記事で見ることができます。

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in サイエンス,   アート, Posted by darkhorse_log

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