「リスの剥製・アリ・子どものうんち・羊のフンでいぶしたクジラの精巣」など独特すぎる材料や製法の酒が博物館に集結

スウェーデンにあるDisgusting Food Museum(おぞましい食べ物博物館)が、2020年9月5日から珍しい酒を集めた期間限定の展示を開始しました。ウジ虫が入った「世界で最も危険なチーズ」ことカース・マルツゥの展示などで有名なDisgusting Food Museumの特別展示には、古今東西から集まった奇妙な材料や製法を持つ酒が勢ぞろいしています。

Squirrel beer, ant gin and poop wine are served up in Disgusting Food Museum's new exhibit | Live Science
https://www.livescience.com/most-disgusting-alcohol.html

Squirrel Beer, Poop Wine: 'Disgusting Food Museum' Opens Drinks Exhibition | Wine Spectator
https://www.winespectator.com/articles/squirrel-beer-fish-whiskey-poop-wine-disgusting-food-museum-opens-disgusting-drinks-exhibition-unfiltered

Taxidermized Squirrel Beer Among Offerings At Disgusting Food Museum | HuffPost
https://www.huffpost.com/entry/disgusting-food-museum-sweden-beer-exhibit_n_5f526fdcc5b62b3add400d7e

Disgusting Food Museumが開始した特別展示の中で、ひときわ目を引くのがリスの剥製にボトルが収められた「The End of History」です。アルコール濃度が55％と非常に度数が高いこのビールは、スコットランドのビールメーカー・BrewDogが、アメリカのオハイオ州でビールの度数を制限する法律が撤廃されたのを記念して、少数生産したものです。

また、博物館には大麦やホップ、そして「羊のフンで薫製されたクジラの精巣」を材料にしたアイスランドのビールである「Hvalur 2」もあります。アイスランドでは木材が貴重なため、木の代わりに乾燥した羊のフンでクジラの精巣を薫製にして、真冬のお祭りで飲む特別なビールの風味付けにしているそうです。

巨大なクジラではなく、小さな昆虫であるアリを使った酒が、イギリスの蒸留酒メーカーであるCambridge Distilleryの「Anty Gin」です。赤い体色が特徴のFormica rufaというアリを約62匹漬け込んだAnty Ginは、世界初の昆虫から作られたジンだとのことです。

特別展示の中には、上記のようにメーカーが生産しているものもあれば、現代では手に入らないためDisgusting Food Museumのアンドレアス・アーレンス館長が独自に製造したものもあります。館長の末娘からの「寄贈」によって作られたという、「うんち酒(poo wine)」もその1つ。

アーレンス氏は自作した展示品について、「韓国のうんち酒、つまりトンスルなどは自分で作らなければなりませんでした。トンスルは、4歳から7歳までの子供の便を水に入れ、米と酵母を加えて一晩発酵させることによって作られます。今日では一般の人には飲まれておらず、また以前も薬として扱われていたものであって、酔っ払うために飲むものではありませんでした」と説明しました。

他にもアーレンス氏は、ペースト状になるまでかみ砕いたトウモロコシで作る南米のチチャ、服役囚が刑務所のトイレのタンクで果物を発酵させて作るプルーノ、イギリスの植民地支配に抗議するウガンダ人がイギリス産のジンを駆逐するために作った密造酒ワラギなども自作しています。

by Sanjoy Ghosh

自作したものも含めてほぼ全ての酒を試飲したというアーレンス氏は、「私のお気に入りはチチャです。これはかみ砕いたコーンミールから作られる古代の南米の酒で、だ液中の酵素の働きが発酵を助けることで作られます」と話しました。チチャと同様の製法を持つ酒として、穀物をかんでから吐き出して作る口噛み酒という酒が古代の日本などでも作られていました。

そんなアーレンス氏でも、1つだけ挑戦できなかった酒があるとのこと。アーレンス氏は科学系ニュースサイトLive Scienceの取材に対し、「唯一うんち酒だけは試す気になれませんでした。それは、私の頭を混乱させるばかりです」とコメントしました。なお、「混乱(mess)」という言葉には「イヌやネコなどのうんち」という意味もあるので、このコメントはアーレンス氏なりの駄じゃれと思われます。