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法律で販売が禁止され闇市では高値で取引される「世界で最も危険なチーズ」とは?


原料や製法によって1000以上の種類があるといわれているチーズは近東からヨーロッパにかけて作られ、およそ7000年~8000年の歴史があるといわれています。発酵食品であるチーズには独特の匂いや味わいを個性として持つものも数多く存在しますが、その中でもあまりに強烈な見た目と味を持ち、その危険性から法律で販売が禁止されてしまった「世界で最も危険なチーズ」を、Great Big Storyが紹介しています。

This Rare Cheese Is Infested With Live Maggots - YouTube


「世界で最も危険なチーズ」は、イタリアのサルデーニャ地方で作られています。


サルデーニャ地方で3代にわたって羊農家を営むSimone Ibbaさん。


Ibbaさんは「サルデーニャン羊」と呼ばれる品種の羊を250~300頭飼育していて……


その乳を使って「世界で最も危険なチーズ」を作ります。


絞った羊の乳にレンネットと呼ばれる羊の胃から取れる酵素を混ぜて、何度も網でこしながらかき混ぜます。


酵素の力で凝固した羊のカードを型に詰めて……


海水の中に浸してから冷蔵庫で熟成します。


このまま乾燥と熟成を進めていけばペコリーノ・サルドというチーズになりますが、Ibbaさんはこのチーズにもう一工夫を加えます。


チーズに止まる一匹のハエ。「チーズバエ」と呼ばれるこのハエは放置されたチーズにたかり、卵を産み付けます


そして、産み付けられた卵からはハエの幼虫であるウジ虫が生まれます。知らない人には虫が湧いて腐っているようにしか見えないことから、「世界で最も危険なチーズ」はサルデーニャ語で「腐ったチーズ」を意味する「カース・マルツゥ」と名付けられています。


何千というウジ虫がチーズにたかっている様子はかなりグロテスクですが、このウジ虫はチーズの熟成に必要な存在。ウジ虫がチーズを食べて酵素を分泌して体外に排出することで、チーズの発酵がすさまじいスピードで進み、腐っているようにしか見えない状態にまで熟成が進行するとのこと。


3カ月ほどで熟成が終わったカース・マルツゥはウジ虫によって脂肪が分解されているため、手でつかめないほど柔らかくなっていて、まるでクリームのような触感に。地元の人の食べ方は、カース・マルツゥをナイフですくいとって……


バターのようにパンに塗りつけて、そのままパクリ。Ibbaさんによると、カース・マルツゥは「スパイシーでクセのある味と、生焼けのパンのような香り」があるそうです。また、現地の闇市で実際に購入して食べた人によると、「チーズの塊を感じないほどクリーミーで舌の上でとろける感じ」「(ブルーチーズの)ゴルゴンゾーラ・ピッカンテのような強い香りを感じて旨い」「(ウジ虫そのものは)ほろ苦い」とのこと。


さらに、カース・マルツゥには赤ワインを合わせるのが通なのだそう。カース・マルツゥはサルデーニャ地方の羊農家にとっては高級珍味のごちそうであり、結婚式や誕生日など特別な時に振る舞われるとのこと。なお、チーズを食べる前にウジ虫を取り除くか、ウジ虫ごと食べるかは好みの分かれるところだそうです。


ただし、カース・マルツゥが「世界で最も危険なチーズ」と呼ばれるのは、単にショッキングな見た目をしているからではありません。チーズバエの幼虫は人間の胃酸では殺すことができず、生きたまま胃を通過して腸に住み着くこともあります。そのため、ウジ虫が腸壁を食い破ってしまい、蠅蛆(ようそ)症を起こしてしまう恐れがあります。


また、チーズにナイフを入れた瞬間にウジ虫が飛び跳ねて目に入ってしまうことがあり、慣れない人が食べる時はゴーグルをかけることが推奨されているほど。そうした食品安全上の問題から、カース・マルツゥの販売は国の法律で禁止されています。地元の人以外がカース・マルツゥを食べるには地元住民から譲り受けるか、移動販売の闇市で入手するしかありません。ただし、闇市での末端価格は通常のチーズの2~3倍もするそうです。


法律で禁止されるほど危険なチーズですが、Ibbaさんをはじめサルデーニャ地方の住民は自分で食べるためにカース・マルツゥを作っています。「ほとんどの人はカース・マルツゥの作り方を知らないけれど、私も祖母も祖父も叔父もみんな作り方を知っているからね」とIbbaさん。


生ハムとメロンにカース・マルツゥを合わせて食べるのが最高に素晴らしいよ」とIbbaさんがおすすめのカース・マルツゥの食べ方を紹介して、ムービーは終わります。カース・マルツゥの味が気になる人はぜひサルデーニャ地方まで足を運んで、地元住民と交渉をしてみてください。


なお、虫をわざと繁殖させて熟成するチーズは他にも「ミルベンケーゼ」という、ダニを繁殖させて作るチーズが存在します。ただし、販売が完全に禁止されているカース・マルツゥと違って、ミルベンケーゼの販売は法的にはグレーであり、ダニごと食べても特に健康に悪影響はないそうです。

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