ラクダのミルクが牛乳よりも健康的な飲み物として世界的に注目を集めている
by Washington2Washington
アフリカや中東で伝統的に飲まれていたラクダのミルクは、一般的な牛乳よりも低脂肪であることから健康飲料として注目を集めており、世界的にその需要が高まっています。これを受けて、ラクダの野生化が問題となっているオーストラリアでは、ラクダの酪農業が急速に成長しているとBloombergで報じられています。
The World Wants More Camel Milk. Australia Can Help - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/features/2018-05-23/the-world-wants-more-camel-milk-australia-can-help
Marcel Steingiesser氏は鉱業会社で14年働いた後、オーストラリアでラクダのミルクを扱う企業Good Earth Dairyを設立しました。Steingiesser氏は「オーストラリアは食品品質安全基準で高い評価を受けています。オーストラリア産のラクダのミルク製品を世界に売り出すチャンスです」と語っています。
オーストラリアでは、1840年代に探検用の乗り物として大量のラクダが導入されましたが、その後、車の登場で需要がなくなると、オーストラリアの広大な砂漠に放置されてしまいました。その後の調査によると、野生化したラクダの群れは年に約8%という勢いで成長を続けていて、2010年には「2020年までの10年間で倍増する可能性がある」と報告されていたほど。
Good Earth Dairyは100頭以上の野生のラクダを確保・飼育しており、2020年6月までに3300頭まで飼育頭数を拡大することを目指しています。これが可能になると、1日に約1万リットルのラクダのミルクを生産することができるそうです。
ラクダのミルクは日常的に飲むにはかなりの高級品。例えばシンガポールでは、アラブ首長国連邦産のラクダのミルクが1リットル19ドル(約2000円)で、2リットル4.3ドル(約470円)の牛乳に比べるとはるかに高い価格となっています。これは、乳牛1頭が1日に約16リットルの乳を生産できるのに対して、ラクダ1頭から1日にとれる乳の量は半分以下となる約6リットルほどであることと、ラクダのミルクの生産量のうち90%がアフリカと中東となっているため、牛乳よりも生産コストと輸送コストがかかり、値段も高くなってしまうというわけです。
しかし、Good Earth Dailyの農場規模が数千頭を飼育するほど大きくなれば、少しでもラクダのミルクの生産コストを下げることができるようになるだろう、とSteingiesser氏は語ります。また、Good Earth Dailyの共同設立者であるスティーブン・ゲッペルト氏は「オーストラリアは独自の立場にあります。繁殖に頼らざるを得ないのであればかなり厳しい状況ですが、私たちは砂漠で大量のラクダを入手できます」と語っています。なお、ゲッペルト氏は経営者でありながら、オーストラリアの砂漠を1年かけて渡り歩き、およそ1.2トンもの体重がある雄牛に襲われながらライフルで自分と2頭のラクダを守り切った経験を持つ冒険者でもあるそうです
オーストラリアのラクダ産業協会(CIA:Camel Industry Association)によると、ラクダのミルクにはビタミンCが牛乳の5倍、鉄が牛乳の10倍含まれていて、さらにアレルゲンとなるようなカゼインや乳清タンパク質は含まれていないとのこと。そのため、粉ミルク・チーズなどの食品やスキンケア製品などへの応用も期待されています。なお、ラクダのミルクは牛乳よりもさっぱりとした口当たりで、わずかに塩味が感じられるそうです。
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