「羊から作られるウォッカ」とは一体何なのか、その秘密を解き明かすムービー
ロシアや北欧などで愛されている蒸留酒・ウォッカは主にジャガイモや小麦などの穀類から作られています。しかし、ユーラシア大陸から赤道をはさんで反対側に位置するオーストラリアでは、「羊から作られるウォッカ」が生産されているとのこと。一般的なウォッカとは一線を画す謎のウォッカに迫るムービーを、YouTubeチャンネルのGreat Big Storyが公開しています。
Making Vodka From Sheep - YouTube
ウォッカはロシアやその周辺国、北欧などで多く生産されている酒です。
ウォッカは主にジャガイモや小麦などの穀物から作られますが、少し変わったものだと、ブドウなどの果実から作られることもあります。
しかし、中にはもっと特殊な原料から作られるものもあります。その原料の源は……
羊です。
そんな珍しいウォッカが作られるのは、オーストラリアのタスマニア州に位置するバーチズ・ベイです。
バーチズ・ベイにあるハーツホーン蒸留酒製造所を仕切るのが、酪農家のライアン・ハーツホーン氏。
16年前から家族ぐるみで羊牧場を経営し、羊乳から作られるチーズを生産してきたハーツホーン氏は、ある悩みを抱えていました。
チーズの製造過程では、ミルクから乳脂肪分やタンパク質が分離した残りの水分であるホエイが発生します。
「以前はホエイには使い道がなかったので、下水に捨てるしかありませんでした」と語るハーツホーン氏。毎日大量に発生するホエイが無駄になるのがハーツホーン氏の悩みの種でした。
そこで、ホエイに乳糖が含まれていることに注目したハーツホーン氏は、ホエイをアルコール発酵させることを思いつきます。
理屈の上では、糖分が含まれていればアルコール発酵自体は可能ですが、道のりは決して平らではありませんでした。100回以上の試行錯誤を経て、ついにハーツホーン氏はホエイからウォッカを作り出すことに成功します。
ホエイからウォッカを作り出す最初のステップは「乳搾り」です。機械で搾乳した羊のミルクはチーズの製造工程に送られ、ホエイが残ります。
次に、集めたホエイに酵素を加えて「アルコール発酵」させます。
アルコール発酵が進んだら、「蒸留」させてスピリッツを作ります。
続いて、4カ月ほど「熟成」させるとウォッカの完成です。
ウォッカが完成したら、手製のボトルに詰めて出荷します。搾乳してからウォッカとして出荷する全行程には、約5カ月ほどかかるとのこと。
ハーツホーン氏のこだわりが認められ、ハーツホーン蒸留酒製造所の「シープホエイウォッカ」はワールドウォッカアワード2018の金賞を受賞しました。
ホエイから作られたウォッカは、ミルク由来の甘い香りとクリーミーさが特徴です。
飲み方は普通のウォッカと同じですが、ロックにせずそのまま飲むのもオススメだとのこと。
一口飲んだ男性は「とても滑らかな味わいだ」と感想を漏らしました。
「おいしいよ」
「とても美麗な味わいがする、良い蒸留酒ですね」
ホエイから作ったウォッカで世界的な評価を受けることになったハーツホーン氏ですが、今度はジン作りに挑戦しているとのことです。
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