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Googleが「特定のキーワードで検索したユーザー」の情報を警察に流していたことが判明

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通常は、警察官は犯罪者を特定してから捜査令状を請求し、犯罪者に関する機密情報を収集するものと定められています。しかし、「暴行事件の目撃者が襲撃された」という事件の捜査に対して、Googleが被害者の住所を検索したユーザーの情報を警察当局に提供していたと判明。警察が犯罪者を特定する前に機密情報を収集していたことが明らかになりました。

Google is giving data to police based on search keywords, court docs show - CNET
https://www.cnet.com/news/google-is-giving-data-to-police-based-on-search-keywords-court-docs-show/

Google is sharing user data tied to search keywords with law enforcement | Engadget
https://www.engadget.com/google-gives-search-keyword-user-data-to-police-144249434.html

Googleが特定のキーワードを検索したユーザーの情報を警察当局に提供していたのが判明したのは、ミュージシャンのR・ケリー容疑者に関する性犯罪事件が大本。R・ケリー容疑者はグラミー賞を3つ獲得した「アイ・ビリーブ・アイ・キャン・フライ」などで知られる全米でも著名なR&Bシンガーソングライターでしたが、児童ポルノ・誘拐・強制労働などの20件近い性犯罪容疑で起訴され、シカゴの連邦刑務所に収監されています。

しかし、R・ケリー容疑者の起こした性犯罪事件の捜査に目撃者として協力した人物の車が放火されるという事件が2020年6月に発生しました。この放火事件の捜査について、警察当局は捜査令状を取得し、Googleに対して「この目撃者の住所を火災発生に近いタイミングで検索していたユーザー」の情報提供を要求。Googleはこれに応じて当該ユーザーのIPアドレスと電話番号を引き渡しました。


Googleによって特定されたユーザーは、ジョージア州バルドスタ在住のマイケル・ウィリアムズ容疑者。ウィリアムズ容疑者はR・ケリー容疑者のもとで広報担当者として勤務した経歴を持っていました。通信事業者から得たウィリアムズ容疑者のGPS移動記録などの情報などから、警察当局はウィリアムズ容疑者が証人改ざんを目的として問題の放火事件に関わっている疑いが強いと判断しました。当局は新たな捜査令状を取得して、Googleにウィリアムズ容疑者の検索情報などを提出するように要求。Googleは、ウィリアムズ容疑者が事件当時に被害者の住所だけでなく、「50口径のマシンガンを購入できる場所」「証人改ざん事件 判例」「肥料爆弾 仕組み」など、放火事件に関連する検索を行っていたという情報を引き渡しました。

一連の捜査に関する経緯については、本件を担当した特別捜査官による宣誓供述書に詳細が記されています。

20 MC 1584 Search Warrant Package_reduced.pdf - Another-R-Kelly-Search-Warrant.pdf
(PDFファイル)https://assets.documentcloud.org/documents/7222789/Another-R-Kelly-Search-Warrant.pdf


今回の一件は、「不合理な捜索及び逮捕押収に対し、身体、住居、書類及び所有物の安全を保障される人民の権利は、これを侵害してはならない。令状はすべて、宣誓又は確約によって支持される相当な根拠に基づいていない限り、また捜索する場所及び逮捕押収する人又は物が明示されていない限り、これを発してはならない」と定めるアメリカ合衆国憲法修正第4条に違反しているのではないかという論争を招いています。一例では、事件発生当時に特定地域内にいた人物を位置情報を使って割り出すという「ジオフェンス令状」は、シカゴ連邦地方裁判所によって違憲だと判決を受けています。

位置情報を使って「特定地域にいる全ての人を割り出す」捜査は違憲という判決 - GIGAZINE


この指摘に対して、監視技術にまつわる公民権やプライバシーに関する専門家であるアルバート・フォックス・カーン氏は「特定のキーワードで検索した全ユーザーの情報提供を要求した場合には違憲だが、本件のようにユーザーを特定してから情報を引き渡している場合には違憲とはいえない」とコメント。Googleの法執行および情報セキュリティ部門のディレクターを務めるリチャード・サルガド氏は、「我々は令状を要求し、必要だと考えられる場合には法廷で異議を唱えるなど、警察の要求の範囲を狭めるように働きかけています」として、警察からの要請については対応に一定の基準を設けており、全ての要求に応じているわけではないとコメントしました。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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